text & photo(特記以外):上石知足(鉄道ホビダス)
岡山県の北西部に位置する新見市の主要駅である新見駅。その隣に、レイル・ファンからはいわゆる「秘境駅」のひとつとして有名な駅があります。それが今回ご紹介する布原(ぬのはら)駅です。周辺には民家は点在するものの、山に囲まれた渓谷沿いにある駅で、まさしく秘境の中に存在しています。
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■列車本数1日数本「9時台の次は16時前の列車です」
秘境駅と名高い駅ということもあり、列車本数も1日数本となります。具体的には上り新見方面が平日6本。休日5本。下り東城・備後落合方面が平日5本、休日4本という少なさ。平日だと新見行きの9:24発の列車を逃すと、次に来る新見行きは15:56発と6時間半近く列車がやって来ません。
■伯備線の駅なのに、伯備線の列車には乗れない
さて、この布原駅は、正式には伯備線の駅です。もちろん伯備線の車両もこの駅を通り、一部の列車は停車もしますが、ドアを開けて客扱いをすることはありません。というのも、ここは芸備線に直通する気動車列車のみが客扱いをする駅ということになっており、駅時刻表にも「芸備線」と案内されています。
また、布原駅のルーツは信号場であり、国鉄時代に仮乗降場ということで旅客扱いを行なっていたものの、「駅」ではありませんでした。その後、国鉄分割民営化により正式に駅に昇格したものの、先述の通り、芸備線から乗り入れてきた列車にのみ乗ることができ、伯備線に属していながら伯備線の列車には乗ることができません。
■かつてはSLの名所だった布原
’72.3.12 布原信号場-新見 P:山下修司
そんな布原駅ですが、この駅の周辺はかつて伯備線にSLが走っていた頃、レイル・ファンにとっては撮影名所でもありました。当時の布原はまだ駅ではなく、信号場という扱いでしたが、ここを走っていた三重連の蒸気機関車を撮影するために、多くのレイル・ファンが訪れていました。このSL三重連の列車は、この地域で採掘された石灰石を輸送しており、力強いその貨物列車の姿は人々の記憶に強く残るものとなりました。
到達難度が高い布原駅ですが、訪れてみると川の流れが聞こえる静かな山間の風情が、なんとも疲れた心を癒してくれる場所でもあります。一方で線路に目を向けると、客扱いをする芸備線の列車こそ少ないですが、伯備線ということで115系や381系といった懐かしい車両から、人気の285系「サンライズ出雲」も行き交い、賑やかな印象を受けます。かつてはSLの聖地であったこの場所ですが、今の岡山も国鉄型が多数生き残る数少ない地域として注目を集めつつあります。
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