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【いつの間にか半分以下に!】鉄道を象徴する「踏切」の未来とは?

2023.05.30

 鉄道線路と道路が同じ平面上で交差する場所。
「踏切」と辞書で調べると、概ねこのような表現で解説されています。

 警戒色である黄色と黒、点滅して車両の接近を知らせる警報灯、「カンカンカン!」という誰もが知る警報音など、安全運行を支える重要な設備であるとともに、踏切は鉄道のアイコンとしても親しまれてきました。

 私たちの日常に溶け込んできた踏切がいま、大幅にその数を減らしていることをご存じでしょうか。

 国土交通省の資料を見ると、1961年(昭和36年)度には71,070か所あった踏切は、2021年(令和3年)度には32,540か所と、半数以下にまで減っています。

踏切道数の推移(国土交通省鉄道局資料より)

 そもそも、踏切は1961年に制定された踏切道改良促進法によりいくつかの種類に分けられています。遮断機も警報灯もある「第1種踏切」、警報灯はあるが遮断機がない「第3種踏切」、そして遮断機も警報灯もない「第4種踏切」が現在も使用されている踏切で、一定時間のみ保安係を配置して遮断機で道路交通を遮断し、それ以外の時間においては第4種となる「第2種踏切」もかつては存在しました。

警報灯も遮断機もない「第4種踏切」のイメージ

 では、なぜこれほどまでに踏切の数が減少しているのでしょうか。

 最も大きな理由として、「踏切事故の抑制」が挙げられるでしょう。国土交通省の統計を見ると、1961年度に発生した踏切事故はおよそ5,500件。単純計算で1日に15件もの事故が起こっていたことになります。

 特に第4種踏切の事故率は高く、それらの統廃合や第1種踏切への切り替えが推し進められてきました。その結果、2021年度の事故件数は217件にまで減っています。

警報灯のみの「第3種踏切」のイメージ。

 また、近年では都市部での交通渋滞緩和を目的とした線路の高架化も、踏切現象の大きな要因です。「開かずの踏切」という言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、都市部への人口集中や、乗り入れも含む運行本数の増加により、踏切によって寸断される時間が長くなり、周辺の渋滞が社会問題化した場所が各地に発生しました。

 路線すべてではないにしろ、急激な高低差を付けることが難しい鉄道において、高架化によって削減される踏切が1か所では済まない場合も多く、工事の完了によっていくつもの踏切が姿を消すことになります。

高架化工事のイメージ

 踏切道改良促進法により、2021年度以降に「改良すべき踏切道」と指定された踏切は全国に241か所。まずは踏切の種類変更、統廃合によりその数を減らし、その後は高架化で減少しているというのが実態で、今後もその流れは加速していくと想像されますが、一方で改札を増やすことで通行経路を整理したり、踏切の拡幅を行うことで、歩行者空間を確保するような試みも見られ、その地域に適した方法による安全対策も並行して行われているようです。

 いつの日か、誰もが知る鉄道のアイコン「踏切」を見かけることが稀な時代もやってくるのでしょうか。

高架化された駅のイメージ。

photo:PIXTA

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