text & photo(特記以外):鉄道ホビダス編集部
▲「鉄顔コレクション」のE231系にヨミレンズを取り付けた際の比較。キラリと輝くレンズがヘッドライト部に入るだけで、車両の表情がより生き生きとして見えるのがわかるだろう。
Twitterで活発な情報発信を行なう個人メーカー「ヨミテックス」のヨミさん。まるで本物のようなヘッドライトを再現できる「ヨミレンズ」や、今までありそうでなかった床下機器パーツなどを続々と発売し、今話題となっています。 3Dプリンタが急速に普及した現在、個人でもこうしたパーツを出力・販売できるようになりました。
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■鉄道模型ファンが唸った!「ヨミレンズ」とは?
▲現在試作中という丸型のヨミレンズ。鉄道模型用ながら入れられた筋掘りが非常にリアル。
さて、今回紹介するヨミさんとは、「ヨミテックス」ブランドで製作した3Dプリント製品をネットショップで販売しているモデラーの一人。中でも一際注目を集めたのは、模型のヘッドライト消灯時、レンズが真っ黒く沈んでしまうのを解決した製品「ヨミレンズ」でしょう。
これは既存のヘッドライトプリズムを切り詰め、接着して取り付けるパーツで、実車のように消灯時でも輝いて見えるという優れものです。そしてこのレンズ自体が、「部品模型」に近い設計思想をしているので、点灯時も本物のライトバルブを通したかのような光り方になるのがもう一つの特徴と言えるでしょう。
ヘッドライト自体、鉄道車両の顔に命を宿す重要なパーツ。ここが本物らしくなるだけで一層車両の表情やディテールが際立ち、生き生きしてくる効果が生まれます。さらに、加工自体も容易なことからSNSを中心に話題となり、パーツを使用した作例も多く上がりました。
■製作の原点は意外な理由だった!?
そんなヨミテックスのヨミさん、こうしたパーツを作る原動力になった考えに「楽をしたい」というものがありました。というのも、ヨミさん自身が元々鉄道模型のモデラーであり、ヨミレンズや床下機器パーツに繋がるような製品加工も行なっていました。ですが、ある時技量に限界を感じてしまったところでひらめいたのが「3Dプリンタを活用する」というものでした。
3Dプリンタであれば、スキルさえ身につければ精密なパーツを大量製造できるということで始めたというこの活動。そのうち販売を通じて3Dプリンタを持たない人たちにもこの恩恵を広げることが可能となりました。
さらに、実物車両のライトバルブもほぼ全てJIS規格等で定められた形になっていることを発見。そこで実物同様の規格通りの形状に設計すれば、作業を簡略化しつつリアルにできるのでは?というアプローチで設計したのがヨミレンズを始めとした3Dパーツ製品なのです。
■ 3Dプリント鉄道模型の今後のビジョンは…?
▲Oスケール(1:45)の103系1000番代の前面を出力し塗装を施したもの。ビッグサイズの前面模型という新たな需要を感じさせる。写真:ヨミ
最近より大きいサイズのものを出力できる3Dプリンタを導入したというヨミさん。これにより16番スケールの車体を一体成形で出力することが可能になったといいます。さらにそれだけでは留まらず、「Oスケールの鉄道模型を出力した人はまだいないだろう!」との思いからOスケール(1:45)の103系1000番代の前面も出力するなど、パーツのみならず、車体の方にも現在力を入れ始めているようです。そこには、モデラーとして車両工作の経験があったことも活かされており、随所に補強パーツなどを入れることで歪みのない、美しい車体出力を実現しています。
いずれは3Dプリンタが一家に一台という時代が来れば、「データ販売」という形態も実現するのではないか?と語ったヨミさん。意外にも、そうした未来はすぐそこまできているのかもしれません。
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◆この記事の詳しい内容は今月のRM MODELSで!
実車にこだわったディテールパーツや大手メーカーでは発売されないニッチな製品で、鉄道模型業界を底上げしているサードパーティ。現在は各種デジタル機器の普及とユーザーの嗜好の変化により、現在はステッカーやインレタといった印刷物、さらには3Dプリントやレーザーカットといったデジタル出力による製品が続々と登場し、既製品に付加するだけで見栄えが変わる製品が盛り上がっています。本特集では今注目のサードパーティの特徴や最新情報、各製品の使い方を詳しく紹介していきます。