185系

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ファン驚愕!大人の心も掴んだ、リアルでマニアックなプラレールたちを振り返る

2023.04.14

text:鉄道ホビダス編集部

 60年以上の歴史を持ち、今もなお子どもたちを中心に愛される「プラレール」。もはや鉄道玩具の代名詞ともなっているほどの圧倒的な知名度を誇りますが、子どものおもちゃと侮るなかれ、実はこの長い歴史の中で「これは完全に大人をターゲットにしているのでは…?」と思わせるような、オイシイところを突いた製品は過去から現在に至るまで数多くリリースされてきました。今回はそんな大人が驚いたプラレールたちの歴史を少し振り返ってみましょう。

↓過去にも数多くリリースされた「大人な」プラレール写真一覧↓

■ディテールで魅せる!プラレールがリアルに変わった2000年代

P:なゆほ

 2000年代までのプラレールといえば、車両からストラクチャーに至るまで、はっきりした色使いを基本としたいかにも「おもちゃらしい」見た目をしていました。デフォルメも可愛らしく、金型を流用することで別な車両として発売するということも頻繁に行なわれていました。

 そんな中で、2004年の夏に開催されたJR東海のイベント「新幹線なるほど発見デー」でとあるプラレールが発売されました。それが上写真の0系です。このプラレールは「TVで遊ぼう!ぼくはプラレール運転手」に入っていたカメラ付きドクターイエローの金型をベースとした製品ながら、ただの塗り替えなどではなくきっちり0系の特徴を捉えた上でデフォルメしてあるという、これまでのプラレールとは一線を画すリアルな完成度に子供のみならず大人ですら驚愕しました。

 この金型の0系は様々なセットで商品展開された上に、後年にはそれまでの2000番代をプロトタイプとしたものの他に、大窓の初期車0番代をモデルとした製品も登場。もちろんこちらも実車同様に2000番代と0番代の違いを作り分けるこだわりよう。製作サイドの熱意がこちらまで伝わってきそうな勢いがありました。

■ラインナップがシブすぎる!大人なセレクトが光ったセット

P:なゆほ

 同じく2000年代の初頭は、3つのプラレールが一緒になった3編成セットが数多く登場した時代でもありました。この時期に登場したいずれのセットも、通常品ではない車両やギミック、塗装や行き先などなかなかにこだわった「名作揃い」で、現在でもプラレールファンを中心に大人から絶大な人気を誇っています。

 そんな中でも特筆すべきなのがこの「歴代つばめスペシャルセット」ではないでしょうか。このセットは2006年に発売されましたが、なんと入っている車両は全て国鉄時代をプロトタイプとしたもの。しかも機関車牽引の客車列車が2種も入り、唯一の電車も583系というなかなかにシブいチョイス。
 実物の「つばめ」の列車名自体は、戦前から存在する由緒正しい名前。プラレールとして製品化する際には、後年JR九州で「つばめ」として走った車両たちを選ぶこともできたはずです。ですが、敢えて国鉄時代の名車と言われる車両たちを集めたことで、その格式高い印象がより際立って表現されているようにも思えます。
 ちなみに、プラレールファンの間で常に人気の高い583系はこのセットを最後に製品として発売されておらず、実車の方も2017年に引退。今後プラレールで再び商品展開されることはあるのかどうか、注目したい車両の一つです。

 また、JR東日本の通勤路線で活躍する各車両もこの3編成セットで数多く製品化されました。中でも103系高運転台が各セットに入っており、こちらは完全新規の金型で製品化。しかもウグイス・スカイブルー・カナリアイエロー・オレンジ・エメラルドグリーンと揃ってラインナップされ、こちらも大人を中心に現在でも人気の製品です。注目の103系はユニットサッシの段差や、窓のサッシも印刷でリアルに表現。パンタやクーラーといった屋根廻りにも手を抜かず、モールドでリアルに表現されています。もちろんプラレールらしくデフォルメはされており、戸袋窓の表現などは省略されていますが、これによりJR西日本の更新車として発売された時も特に違和感なく溶け込むことができました。
 なお、JR東日本の首都圏管内から103系が姿を消したのは2006年のこと。山手線103系などに至っては引退は国鉄分割民営化直後の1988年。「山手線環状運転80周年記念セット」としてウグイス色の103系がプラレールで製品化された2005年当時でも、その頃を知る人たちは最低でも高校生以上。そんな車両を新規金型で、しかもリアルなディテールを持って製品化されており、この時すでにもはや「子供のおもちゃだ」とも言い切れなくなっていました。

■今も数多く発売される「大人目線」のプラレール

 近年においても、大人向けなのでは?と思われる製品は数多くリリースされてきました。例えば2022年に発売された「『のぞみ』30周年記念 300系ノスタルジックサウンド仕様」などがそれに当たるかと思います。こちらの製品、名前の通りサウンドが鳴る仕様ですが、「のぞみ」運行開始直後の1992年当時の放送が収録されており、今も半ば伝説として語り草な名古屋駅を通過する、所謂「名古屋飛ばし」をするアナウンスも再現されています。
 そもそもとして、300系新幹線が引退してから当時すでに10年が経過していた中、またこうして新規で300系の製品が店頭に並ぶといったところからも注目された製品でありました。

P:タカラトミー

 こうした流れの中で、先日ついに「大人向け」と謳った「プラレールリアルクラス」という新シリーズが発表されました。この「プラレールリアルクラス」では、まず185系と小田急3100形NSEが製品化予定と発表されています。

 185系は過去に製品化されてはいたものの、165系「東海型急行電車」の塗り替えであり、今回プラレールとして初めて専用金型で製品化されます。NSEに関しても過去製品化されており、こちらは今も人気の車両。同車が最後にプラレールとして発売されたのは、2003年発売の「小田急箱根の旅セット」以来で、約20年ぶりに装い新たに帰ってくるという点で注目されています。

 さらに気になる点としてNSEは後年の幕式ではなく、五角形の愛称板を付けた形態ながら冷房装置の増設改造後の姿で、時期的に当てはまるのは1977年〜88年頃と、なかなかに渋い時代設定。
 185系に関しても踊り子メインで活躍した0番代ではなく、タイフォンに防雪カバーが付いた200番代としている点が気になります。北へ西へ幅広い運行範囲と、多彩なカラーバリエーションがある200番代をチョイスしたというところからも今後が楽しみになってきます。

 サイズ感も今までのプラレールと大差はない上に、付属の屋根パーツやパンタグラフを「ロータイプ」と言われる低い仕様に組み替えることで、従来のプラレールレイアウトの立体交差なども潜れる仕様になっているとのこと。ここに、鉄道模型とプラレールの中間ではなく、あくまで「プラレール」として大人が遊べる点が新しいと言えるのではないでしょうか。

 子どもの頃夢見た部屋一面のプラレールレイアウト… 大人になった今だからこそ見えるディテールやこだわり、そして遊び方があると思います。童心に帰って、無我夢中で車両を走らせてみると、大人目線での新たな楽しみの発見もあるかもしれません。

「プラレールリアルクラス」の詳細はこちら

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