text:鉄道ホビダス編集部
‘23.3.25 三鷹車両センター P:東條ともてつ
2023年3月、中央・総武線と東京メトロ東西線直通で活躍するE231系800番代の登場20周年を記念した撮影会が、三鷹車両センターにて行なわれました。このイベントでは800番代には20周年記念ヘッドマークを、500番代は往年の山手線帯にラッピング、0番代にはかつての6ドアステッカーを貼り付けて、ちょっぴり懐かしい姿での撮影会にレイル・ファンたちは大いに盛り上がりました。
プロトタイプとなる209系950番代が登場したのが1998年10月。今年で登場から25年が経過し、現在も通勤輸送の第一線で活躍を続けるE231系一族に今回は迫ります。
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■通勤型・近郊型の垣根をなくした「一般型」
▲0番代から改造された川越八高線用3000番代。右側は高崎線や宇都宮線、東海道線で活躍する近郊タイプのE231系。通勤タイプの3000番代とは随所が異なるのがわかる。
‘18.1.10 川越線 大宮 P:藤原匡秀
(鉄道投稿情報局より)
E231系の大きな特徴として、それまでのJR東日本では「通勤型」と「近郊型」で系式を分けていたのをこの系式から統一し、「一般型」としたことにあります。E231系には大まかに「通勤タイプ」と「近郊タイプ」が存在しており、通勤タイプに該当するのは0・900番代、500番代、800番代、そして0番代をベースに改造された3000番代です。そして高崎線や東北本線、また東海道本線などで活躍する、湘南色をイメージした帯を纏ったE231系が近郊タイプです。
そしてこのE231系以降のE233系やE235系でも、この一般型という概念が引き継がれ、幅広い活躍を見せています。
■山手線へのE235系投入で動きを見せたE231系
山手線へE235系が本格投入され始めた2017年以降、同線の主力であったE231系500番代は中央・総武線へとその活躍の場を移していくことになりました。それまでE231系の動きといえば6ドア置き換えなどが目立つものとしてありましたが、この頃から編成単位での玉突き転属が活発に行なわれることとなります。
この置き換え劇では、山手線を追われたE231系500番代が中央・総武線へ転属→中央・総武線の主力であったE231系0・900番代と209系500番代が武蔵野線の他八高・川越線へ転属→各地で残っていた205系や209系を置き換え廃車… という流れが発生しました。
中央・総武線で活躍していた0番代については、その多くが武蔵野線へと転属したほか、一部は八高・川越線に各種改造を加えて3000番代に改番して転属しました。ただし、山手線用500番代は52本しかなく、中央・総武線の運用数に足りなかっため、6ドア車を含む付随車2両を廃車し、代わりに3000番代化で余剰になっていた電動車ユニットを組み込み6M4T化。500番代と同等の性能(0番代オリジナルは4M6Tの10両)とした上で現在でも黄色帯で活躍を続けています。
■同じようで細かく違う形態差が魅力
一見、同じように見えるE231系ですが、通勤タイプと近郊タイプ、番代区分による大きな違いのほか、同一番代でも製造時期からメーカーによってその形態は細かく分類されます。ほぼ間違い探しのようなバリエーションを楽しむことができるのは、レイル・ファン的には面白いポイントで、さらに近年発生した転属により、新造時にはなかった形態差が生まれたりなどもしており、これらを調べ上げる熱心なファンたちも存在します。
■「標準型車両」として私鉄各社にも普及
▲2002年に登場した相鉄10000系はE231系をベースに製造された車両で、前面デザインや連結器など一部を除きほぼ同一の車両となる。
P:RM
E231系の設計はJRのみならず、私鉄各社でも同車をベースにした車両が登場しました。相鉄の10000系に始まり、東急の5000系とその派生系列、都営10-300形などがその代表例です。さらに関西私鉄である南海電鉄の8000系にもE231系の一部設計が取り入れられており、E231系ファミリーは会社や地域の垣根を超えて発展を遂げることとなりました。
今や首都圏の顔としてお馴染みになったE231系一族。デビューから20年以上経った今でも、標準型車両として各地で活躍を続けます。
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