185系

特集・コラム

「ゆく列車くる列車」2023春のダイヤ改正 車両の動きを総おさらい!

2023.03.12

text:鉄道ホビダス編集部

 3月18日に予定されているダイヤ改正。今年もさまざまな車両が引退・登場・運用拡大する予定となっています。ここではそんなダイヤ改正によって変わると思われる車両の動きをまとめて見ていきましょう。

↓この春動きのある車両たちをイッキ見!↓

■2023年3月改正で引退する車両たち

●キハ85系が特急「ひだ」から引退

‘10.08.19 高山本線 下呂~焼石 P:安達宏行
(今日の一枚Memoriesより)

 まずは特急「ひだ」がHC85系に統一され、それまでのキハ85系がいよいよ引退します。キハ85系はJR東海が特急「ひだ」用として1989年にデビューした特急型気動車です。2022年3月までは(ワイドビュー)の名を冠していた通り、前面に大きな窓ガラスを配置し側面も連続窓と、その眺望が非常に良いものでした。内装もゴージャスな作りとなっており、「南紀」用に登場したキロ85形は2列×1列の豪華な作りとなっていました。機関は当時としては珍しかった輸入品である米国カミンズ社(製造国はイギリス)製のものを搭載。その後のJR東海の気動車エンジンの標準となっていきました。デザイン面でも後に続く特急型車両の基本となり、383系・373系はキハ85系の流れを組むデザイン・塗装となっているのが特徴と言えるでしょう。

 そんなエポックメイキングなキハ85系も最古参の車両では落成から34年が経過。新型のハイブリッド気動車であるHC85系に置き換えられることとなりました。なお、HC85系は特急「南紀」にも2023年7月導入予定となっており、ここで活躍するキハ85も近く見納めとなりそうです。

●651系引退

‘14.3.16 東北本線 赤羽 P:天本 翼
(鉄道投稿情報局より)

 「スーパーひたち」として1989年にデビューした651系。JR東日本が発足して初めて開発された新型車両であり、かつ、在来線で初めて130km/h運転をした車両でもあります。また今までに類を見ないその真っ白な車体は「タキシードボディ」と呼ばれ、1990年にはブルーリボン賞を受賞。これはJRグループの新型車両では初の快挙となりました。

 そんな651系ですが、2013年3月のダイヤ改正でE657系へ置き換え。同年10月からE657系改造工事に伴う穴埋めで「フレッシュひたち」1往復で復活したものの、2015年3月に終了しました。常磐特急撤退後、2014年3月からは「1000番代」と区分を改めた上で高崎線系統の特急「スワローあかぎ」「あかぎ」「草津」で運行されていましたが、こちらについても2023年3月18日のダイヤ改正でE257系リニューアル車に置き換えられることが発表されています。

 特筆すべき点が多く、名車と名高い651系もいよいよ終焉。国鉄型のみならず、JR化直後に誕生した系式たちが完全に姿を消してしまう日も近いのかもしれません。

●キハ183系引退

‘22.9.9 函館本線 美唄~茶志内 P:佐藤直幸
(鉄道投稿情報局より)

 北海道各地の特急列車で40年以上に亘り活躍し、多くのファンに愛されたキハ183系もついに運行を終えようとしています。元々は1979年に試作車となる900番代が落成し、その結果を反映して1981年に量産車となる0番代が登場。これらは非貫通構造で「スラントノーズ」と呼ばれる「く」の字型の先頭形状でした。

 その後国鉄末期には軽量化とエンジンが高出力となった500番代(N183系)、JR化後もさらなる高出力化に加えブレーキも強化された550・1550番代(NN183)系が登場。その後も高速化対応工事や、お座敷改造車、寝台客車であるスハネフ14形を連結した運用など、そのバリエーションや運用は興味深いもので、ファンたちの心を掴みました。

 そんなキハ183系も新型車の登場により徐々に活躍の場を狭め、このダイヤ改正でいよいよ引退となる予定です。現在、500番代が登場時に纏っていたアイボリーベースにオレンジ色と朱色の帯を入れた「新特急色」に復刻した車両も運行されており、最後の花道を飾ります。

●103系和田岬線から撤退

‘22.10.8 山陽本線(和田岬線) 兵庫~和田岬 P:芦原やちよ

 総製造両数3447両、改造車含め3503両もの車両が製造された通勤型電車103系。単一系式として日本で最も多く製造された車両でもあり、この記録は今でも破られていません。長年大量に製造された103系ですが、JR東日本管内からは2009年に完全消滅。大規模リニューアル工事などを受け、近年まで多くの103系が活躍していたJR西日本でもその数を減らし続け、今回いよいよ最後の0番代となっていた和田岬線103系の引退が告知されました。

 和田岬線では2001年の電化により103系が入線。現在活躍するR1編成は、元大阪環状線所属車で、全車延命N40工事施工車となっています。リニューアルはされているものの、兵庫方の3両については妻窓が残存していたり、今や貴重なグローブ型ベンチレータを搭載していたり、見どころの多い編成でもありました。
 現在引退を記念したヘッドマークを付けて、所定の朝夕の運行をこなしております。この和田岬線からの撤退により、残る103系は播但線の3500番代、加古川線の3550番代、JR九州に所属する1500番代のみとなり、オリジナル0番代はこれにて全ての車両が運行を終えます。

●上越新幹線からE2系が撤退

‘22.6.12 上越新幹線 高崎~上毛高原 P:蔵光 淳
(鉄道投稿情報局より)

 上越新幹線は現在E7系の他E2系でも運行されていますが、3月改正によりE2系の運行が終了し、E7系に統一。さらにそれにより大宮~新潟間の最高時速が現行の240km/hから275km/hへと引き上げられ、所要時間は約7分短縮される見込みとなっています。
 これは以前から行なわれていた地上設備の改修が完了したことによるもので、改修内容は主に騒音対策がメインとなっています。

 これによりE2系は東北新幹線でのみの運用となる見込みですが、山形新幹線のE3系置き換え用としてE8系がお目見えするなど、同世代となるJR東日本の新幹線車両たちもまた大きな変革期を迎えており、今後の去就が注目されます。

■2023年3月改正で登場・運用拡大する主な車両

●特急「ひだ」HC85系に統一

’21.1.6 紀勢本線 阿曽~伊勢柏崎 P:下村 諒
(今日の一枚より)

 先述の通り、特急「ひだ」で使用されていたキハ85系については、3月のダイヤ改正によりJR東海の新型ハイブリッド気動車であるHC85系に全て置き換えられる予定となっています。HC85系は「シリーズハイブリッド方式」と呼ばれる動力方式で、ディーゼルエンジンは発電機とし、動力自体は電車と同様のものとすることで、エンジンを従来の2台から1台へと削減。さらにはブレーキ時に発生したエネルギーを蓄電池に溜め込み、これをサービス用電力としても活用できる次世代の車両となっています。

●相鉄・東急直通線開業に伴う各社乗り入れ範囲拡大

’22.11.24 相鉄・東急直通線 新横浜駅 P:鉄道ホビダス

 相鉄・東急直通線が開業することにより、相鉄線内で東急の電車が乗り入れ、運行を開始します。さらに相鉄の車両も東急線をはじめとした各社路線に乗り入れを開始し、神奈川県東部と東京都心部、さらには埼玉県へとその路線ネットワークが広がります。

 つい数年前までは相鉄線は他社との乗り入れはなく、都心部へは主に横浜駅で乗り換える必要がありましたが、2019年11月に悲願であったJR線との乗り入れを開始。渋谷や新宿といった都心直通を実現しました。あれから3年が経ち、東急線や地下鉄をはじめとした路線に直結、さらには新横浜を経由することにより新幹線へのアクセスも向上しその利便性は飛躍的に向上するでしょう。

 さらに、既に多くの乗り入れ車が行き来する東急線や東京メトロの各線に、さらにバリエーションが増えることとなり、車両運用面でもレイル・ファンにとっては見離せないものになりそうです。

●特急「草津・四万」誕生!E257系リニューアル車定期運用入り

‘23.1.28 高崎線 上尾~北上尾 P:奈良仁一郞
(鉄道投稿情報局より)

 現行の特急「草津」はダイヤ改正により特急「草津・四万」と名称を変更し、全車指定席化されます。それに合わせて先述の通り、車両も651系からE257系リニューアル車が運用入りする予定となっています。
 それまで波動用や臨時列車をメインに活躍していたE257系5500番台ですが、この「草津・四万」により初めて定期運行を開始することとなりました。こういった点からも、レイル・ファン的には注目の動きとなりそうです。

●225系Aシート車がいよいよ営業運転開始!

’23.1.18 近畿車輛 P:伊藤岳志

 JR西日本が2019年より、JR神戸線・JR京都線・琵琶湖線にて行なっている有料座席指定サービスの新快速「Aシート」ですが、このダイヤ改正で新造車の2編成が追加増備となり、「Aシート」の列車本数は現行の3倍となります。
 注目のポイントとしては、それまでの「Aシート」車両は従来からの車両を改造されたものだったのに対して、今回の追加増備ではなんと「Aシート」用車両が新造された点が挙げられます。近郊型車両である225系が、かつての急行型車両を思わせるような2扉で登場し非常に話題を集めました。改造車とは異なる整然と並んだ窓割も非常に魅力的です。普段は先頭に立つことはない同車ですが、今後の活躍に期待したいですね。

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◆2023年春のダイヤ改正の「開業ネタ」に注目!

あと1週間!2023年春のダイヤ改正を「開業」に注目しておさらい!

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