text & photo:なゆほ
60年以上の歴史があるプラレールの製品・歴史・情報をまとめ、自身のホームページ「プラレール資料館」で公開しているプラレールコレクター なゆほさん の鉄ホビ連載!長い歴史を持つプラレールというおもちゃをコアな目線から語っていただきます!今回はプラレールの中でも一風変わった「ディスプレイ仕様」の製品たちをピックアップ!本来、走らせて遊ぶおもちゃのプラレールですが、歴代製品の中にはディスプレイ(=鑑賞)目的と思われる、ちょっとマニアックな製品もリリースされていました。
基本的には子供向けのおもちゃで、エンドレスのレイアウトを走らせて楽しむプラレールですが、実はちょっぴり大人向けでマニアックな「ディスプレイ仕様」も存在します。プラレール初となるディスプレイ仕様は2001年に発売された「ファーストトライセット くろ」です。グレーに成型されたレールで構成され、車庫とD51形882号機が入っただけといったセットでした。
ものがものだけにラインナップは少ないですが、今回はいくつかあるディスプレイ製品のうちから2つを紹介します。
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▲高架直線上に0系フレッシュグリーンを展示するセット。
0系新幹線の引退を記念し、2008年12月に発売された「さよなら0系新幹線 フレッシュグリーンセット」が正にディスプレイ用のセットになっています。
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同年10月に原色5両編成が入った高架エンドレスのセットも発売されていますが、原色を出すなら当時現役だったフレッシュグリーンも出すべきだろうという事で発売されたのでしょう。こちらはしっかり実車通りの6両編成となりました。
高架線の直線4本分に盛り土のコンクリート擁壁を模した形式名入りのパネルが付属し、箱に書いてある通り「カッコよく」飾れます。もちろん動力もついているので、レイアウトを組めば他の車両と遊ぶ事も可能です。ちなみに高架線用の単線門型架線柱はこのセットオリジナルの付属品になっています。高架レールと一体になって見える「PC橋脚」を採用しているため、飾った時の印象がスッキリしているのが推せるポイントです。
もう一つ、レールは付属しませんが動力車が少ないディスプレイ向けの車両セットを紹介します。
▲並べた様子。通常品ラインナップにある500系を除き、絶妙に入手しづらい車種が揃っている。
鉄道系の博物館が開館した時に発売される展示車両をまとめたセット、通称「開館記念セット」というものがあります。2007年の「鉄道博物館開館記念スペシャルセット」、2011年の「リニア・鉄道館開館記念スペシャルセット」、そして2016年の「京都鉄道博物館スペシャルセット」の3つです。いずれも展示車両のうち、プラレールで製品化されているものを集めたセットになっています。この「京都鉄道博物館スペシャルセット」は、展示車両の中からC62 2、500系新幹線、トワイライトエクスプレス、103系が選ばれました。
C62 2はこれまでに何度か製品化されていますが、このセットでは前照灯が省略されています。また、テンダー車が切り離し可能となっており、棒連結器で永久連結となっている「サウンドC62重連セット」「スーパー列車大集合セット -新幹線・SL・貨物列車-」の個体と仕様が異なるのが特筆できます。トワイライトエクスプレスは2003年に一度絶版となっており、2010年からイベント限定品で発売されていますが、一般流通品として店頭に並んだのはこの時が最後です。
機関車と客車でセットになっている列車ですがセットの性格上3両編成にするわけにはいかず、1両省略してEF81形とカニ24形の2両という組み合わせにされてます。
▲103系は側面に車番が印刷されている。
このセットの発売時に一番話題になったのが、この103系の存在です。後尾車のみとは言え、2006年にJR西日本限定で発売されていた「103系(オレンジ色)大阪環状線」と同様、オレンジバーミリオン色の低運転台タイプが10年ぶりに登場しました。展示車同様、車番は「クハ103-1」となっていますが、前面を見ると2灯シールドビーム仕様になっているのはご愛嬌です。既存の金型を使ったために実車との差異が生まれてしまいましたが、これはこれでプラレールらしくて興味深い点です。
ちなみに、500系は通常品の後尾車そのままです。
走行できる車両はC62とEF81のみと、セット内容から車両を走らせるには少し悩む内容なのが大人向けと言えましょう。京都鉄道博物館の展示車両の中には、大窓の0系新幹線や583系、489系などプラレールで製品化されている車両が他にもありますが、子供も大人も喜ぶような車両を満遍なくチョイスした結果だと思います。
このようなディスプレイ仕様はあまり高頻度では発売されませんが、近年では2021年にロマンスカーミュージアムの開館記念として「ライト付 小田急ロマンスカー7000形LSE」が先頭車1両のみのディスプレイ仕様として発売されています。
今後もまた有名な車両の引退や、博物館以外にも全国に点在する保存車であったりと、ディスプレイ仕様を発売する余地はまだまだあると思います。今後も大人向けとしか思えない、ディスプレイ仕様のシブいプラレールの発売に期待したいところです。
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