12月下旬から、日本列島各地では発達した低気圧が猛威を振るい、鉄道にも大きな影響を及ぼしています。北海道から本州の日本海側では複数日に渡る運休なども発生しており、昼夜を問わず除雪に従事する職員の皆さんにも頭が下がります。
‘22.12.26 石北本線 瀬戸瀬 P:佐久間厚志(今日の一枚より)
ところでJR北海道から発信されたプレスリリースでは、現在同社が行っている日々の除雪作業について非常にわかりやすく解説されています。レイル・ファンとしても基礎知識として押さえておきたい情報だと思いますよ…!
■除雪作業の内容
除雪には大きく分けて、機械を用いる「機械除雪」と、人力による「人力除雪」があります。全道の駅構内では一日当たり1,100人の除雪係員が、昼夜を問わず徐排雪作業を行っています。
■機械除雪とは
線路上に積もった雪は、排雪列車や除雪機械を使用して取り除きます。
○雪を押しのけるタイプ(排雪列車・排雪モーターカー等)…先頭部に装着したラッセル装置により、線路上の雪を押しのけていきます。主に駅間の除雪に活用します。
(プレスリリースより)
【編集部追記】「排雪列車」は線路閉鎖をせずに走行可能なもので、車籍を持つ「車両」によって運転されます。「モーターカー」は一般的に車籍を持たず(=車両ではなく機械扱い)、保安装置が十分ではないため、線路閉鎖をしてからでないと走行できません。線路閉鎖とは、作業中に他の列車が絶対に入ってこないようにする手続きのことです。
○雪を飛ばすタイプ(排雪モーターカーロータリー等)…ロータリー装置により、積もった雪を遠くに飛ばすことで除雪作業を行っています。駅間のほか、駅構内の除雪にも活用しています。
(プレスリリースより)
【編集部追記】一般的に、ラッセルによって線路脇に積みあがった雪壁を、ロータリーで一度崩して遠くへ飛ばすという作業手順となります。かつては車両としてDD14形などのロータリー除雪DLが「特雪」列車として運行されていましたが、JR北海道では既にロータリー除雪は「機械」によって置き換えられています。
■人力除雪とは
駅構内など、機械での除雪に不向きな個所では人力での除雪を行います。
○ポイント除雪…ポイント部分は複雑かつ破損の恐れがあるため車両・機械での除雪には向かず、手作業により雪を取り除きます。除雪を怠ると列車が駅に進入・進出できなくなったり、使用できる線路が制限されてしまったりします。
(プレスリリースより)
○側雪(がわゆき)除雪…線路脇に壁のようになった積雪のことを側雪と呼びます。前述のようにラッセル作業によって溜まる雪によって生じ、これが重なると吹き溜まりの原因にもなります。側雪除雪も人力に頼る部分が大となっています。
(プレスリリースより)
○ホーム下除雪…列車の走行で雪が押され、駅のホーム下に溜まっていきます。そのうち雪の逃げ場がなくなると列車が動けなくなってしまうので、その前に除雪を行います。
(プレスリリースより)
○高架除雪…高架区間の積雪は、民家や道路があるため除雪機械などによって高架下へ飛ばすことはできません。そのため高架区間ではあらかじめ設置された「投雪口」という穴から雪を人力で高架下に落とし、そこからダンプカー等で雪捨て場に運んでいます。
(プレスリリースより)
■予防除雪とは?
通常の除雪は、雪が降ってから、積もった雪を支障のない程度に除けるものですが、JR北海道では「降っても耐えられる状態にすること」を目的に予防除雪を実施しています。その時点では列車運行に支障がなくとも、予防除雪を行うことによりその後の除雪作業がスムーズになり、結果的に輸送障害を防止することにつながります。
(プレスリリースより)
◎12月27日18時時点での各線の運転再開見込みについて
■宗谷本線…12月28日の特急列車から運転再開の見込み
■石北本線…上川~西留辺蘂間は除雪に時間を要しており、少なくとも12月29日まで運転再開は困難。見込みは立っていません。
■釧網本線…川湯温泉~緑間は、倒木の撤去に時間を要しており、運転再開の見込みは立っていません。