modeling & text & photo:根本貫史(RMM)
日照時間が日に日に少なくなり、徐々に秋の足音が聞こえてきた今日この頃。数ある都会の夜景スポットの中でも、最近は工業地帯の夜景が注目されています。その人気は工場夜景を見学するための観光バスやクルージングのツアーが組まれるほど。また近年では、Nゲージ製品が充実したことで手軽にコンビナートを再現することができるようになりました。そこで今回はこのジオコレのコンビナートセットをベースにLED を組み込んで、模型で「工場夜景」を再現してみました。
■「工場夜景」はライトアップではない!
昨今の工場夜景ブームで、工場周辺を撮影したり、バスツアーで団体客も訪れたりと、かつては近寄りがたいエリアだった工業地帯が、今や観光名所の如く注目されるようになりました。 しかし工場の「夜景」は観光名所のライトアップとは全く異なり、当然「見せ物」ではありません。それでは工場夜景の「光源」とは一体何なのでしょうか?
工場の夜景は一体どの部分が光っているかを探るべく、京浜工業地帯の川崎エリアへ行ってみました。訪れたのは日付の変わった深夜から明け方にかけて。実際に見に行ってみると、その正体は作業通路や階段の照明灯で、それらが工場施設全体を光らせているというのが分かりました。工場夜景の写真集や高速道路から見ると、幻想的かつ未来的な 空間が広がっているように見えますが、その一つひとつの光は、作業員が安全に作業するために必要な光の集合体なのです。
■作るのは工業地帯のミニレイアウト!
工場夜景の実例がわかったところで早速模型に反映してみましょう。今回はトミーテックのジオコレシリ ーズのコンビナートセットを使用したミニレイアウトを作ります。900×600mm のレイアウトボードに、ミニカーブレールC140で構成する小判形エンドレスのシンプルな線路配置です。 それに交換設備と積み出し設備へ入る引込線、そしてレイアウト手前には一部ダミーの貨物ヤードを配置しました。
■照明組込のメインは蒸留塔!
実物の蒸留塔は塔に巻き付くように設置された作業台や、それを結ぶ階段に設置された照明灯 が点灯しています。製品の蒸留塔には作業台が1ヶ所だけなので、1つにつき2セット使用して、 作業台を増設し、蒸留塔の高さも増しました。それでも実物より作業台が少ない印象なので、作業台のない部分にも点灯箇所を増やして雰囲気を出しました。
■ディスプレイとして工場夜景を自宅で…
完成したコンビナートレイアウトを、トミーテック製「ジオラマベースボード」を使い、工場夜景が楽しめる「部屋のインテリア」としてディスプレイしてみました。
一日の仕事を終え、部屋で水割りを一杯やりながら工場夜景を眺める…。仕事の疲れを癒しつつも、コントローラーのツマミを回してもうひと仕事。ポイントマシンを操りながら、貨車の入換作業をほろ酔い気分で楽しむ…。
好きなお酒を呑みながら、好きな鉄道模型を走らせる。これが大人の鉄道模型の楽しみ方…と言ったら偉そうに聞こえますが、鉄道模型も部屋のお洒落なインテリアとして飾れば、家族や同居人もきっとこの 趣味を理解してくれる。…といいのですが。
※こちらの記事は『RM MODELS 194 2011年10月号』の記事から抜粋しており、情報は当時のものとなります。あらかじめご了承ください。
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