鉄道ホビダスのBOOK REVIEW欄では初紹介になる、モデル8の「模型製作参考資料集」シリーズ。一般にモデラーが求める資料となる鉄道写真は、通常の鉄道誌に掲載されるようなカッコよい鉄道写真ではない…そんなジレンマを感じていた向きに、まさに「こういう本が欲しかった!」という定評を浴びているシリーズなのです。
それもそのはず、版元はハードコアなキットやパーツをこれまで多数世に送り出してきた模型メーカーで、主宰の澤田節夫さん自身が「自分が模型で作るとしたら、必要になるところを撮影しただけや(笑)」というコンセプトなのです。今のデジカメの時代と異なり、フィルムをむやみに費やすことには勇気が必要な時代だったと思うのですが、さすがのカメラアイで必要部分のディテールをたっぷり味わうことができます。
また、おおらかな時代だったからなのか、澤田さんのお人柄なのか、機関区にお邪魔して、ひょいひょいと屋上に上がってなかなか観察が難しい天面のディテール写真なども多数撮影。本書にもそれが豊富に収録されているのには唸らされます。
本書では、EF15・16合計202両のうちの90両弱の姿が何らかの形で収録されています。中には形式写真としては不十分…と著者が感じるカットもありましょうが、モデラーであれば「そんな1枚によって救われる作品がある」こともよくご存じでしょう。本書は表紙回りのみがカラー印刷となっていますが、裏表紙に「屋上の汚れ具合がよくわかる」カットを掲載しているのも、本書の編集方針の真骨頂だと思います。
■発行:モデル8
■A4判/126ページ/2,750円(税込)