modeling:上石知足(鉄道ホビダス)
text & photo(特記以外):RMM・鉄道ホビダス
プラ製モデルなどと比べると、なかなかハードルの高い金属工作。確かに金属用の工具はより一層多様になりその工法も同様です。ですが近年では初心者向けの金属キットというものもあります。ここではその金属工作の中から真鍮のハンダ付けに親しむため、 16 番真鍮モデル老舗メーカー、カツミのチャレンジシリーズの新製品「クモハ123(5・6阪和線タイプ)」を題材に各パートの加工を見ていきたいと思います!
↓詳しい作業の手順はこちらから!↓
■まずは準備!
まずはハンダ付けに必要な工具の準備から。左上から順に電圧調整器、べークブロック、アン グル取付治具、フラックス、フラッ クス用ガラス瓶、 コテ台、フラックス塗棒(割り箸)、ハンダゴテ(100Wの出力/模型用コテ先のもの)、左下に移りエッチングバサミ(TAMIYA)、キサゲ、ヤスリ(細目)、マイナスドライバー、ヤスリ(粗目)、キサゲ刷毛、平ヤットコ、ベーク板、ハンダとなります。ここに写っているものがハンダ付け工作で必要となる工具。実際にチャレンジしたいと思う人は参考までに。
さて、ハンダ付けで必要になってくるのはまずハンダゴテの準備。これらもしっかりと進めます。まずコテ先をヤスリで同色の地肌が見えるくらいに磨き、馴染みを良くします。次にコテ先にハンダを絡ませやすくするために、熱せられたコテ先を小瓶に移したフラックスに一瞬付けます。そしてハンダの塊にコテ先をあてがい、ハンダが覆うようにします。これをハンダメッキといい、イメージとしては筆先に墨を浸透させる感覚に近い作業となります。
■ハンダ付けの基本!
▲接合部分に沿ってハンダゴテを奥から手前に引いてハンダを流す様子。最初は戸惑うが、何回か繰り返すうちに接合するのに適切なハンダの量はだんだんと掴めてくる。
ハンダ付けの作業がどのようなものなのか、その基本を見ていきたいと思います。中学校の技術科などで習う電気工作のハンダ付けでは対象物と線状ハンダ、ハンダゴテの3点を同時にスポットに合わせて行なうイメージがありますが、模型のハンダ付では、前述のハンダメッキによって、極端に言えば対象物にハンダゴテをあてがうだけでハンダが流れてくれます。
■金属キットの構成を見る
▲細かいパーツが多いので紛失には要注意!
今回作例に使ったのはカツミ製「チャ レンジシリーズ クモハ123-5・6 番阪和線タイプ」1両。両運転台の電車で、元は荷物電車クモニ143 からの改造車。登場からしばらくは 荷物電車を思わせる変則的な扉や客窓が特徴でした。
模型はこの当時の姿がプロトタイプで、キットにはボディのほか、 ホワイトメタル製の床下・屋上機器、手スリ類も収録され、オールイ ンワンキットに近い構成となっています。特徴的な深く窪んでいる客扉は折り曲げ済みの真鍮パーツが入るほか、窓サッシやディテールパーツ 類は塗装後の取り付けを奨励しており、接着剤や両面テープでの組み立 ても可能となっています。
■いよいよ組み立て!
組み立ての大まかな手順としては、まずは折曲済の扉周りを取り付けます。扉は靴ズリ部がちょうど車体側面より吐出した作りとなっているため、この部分を基準にハンダ付けを行ないます。
客用・乗務員扉の取り付けが終わると、続いては妻面(前面)パーツを切り出し取り付け。この時点で貫通扉も一緒に取り付けた状態で車体の方と接合しますが、その際ハンダの量が少ないとすぐに取れてしまうので、仮止後の本番ではきっちりと流し込んで接合しましょう。
その後、細かいパーツ類(ホロ座、手スリ、ライト・屋上パーツなど)を取り付けますが、これらの小さいパーツはどうしても手とハンダゴテ自体が近づきやすくなります。慣れないうちは誤ってコテ先から熱の伝わる車体に直接触ってしまい火傷!みたいにならないように注意しましょう。そして、最後に床板止めを取り付けてハンダ付けによる作業は終了です。
▲今回ハンダ付けのみで塗装直前状態までの組み立ての仮完成とした。P:浅水浩二
今回は、金属加工の基本編として真鍮素材の加工とハンダ付けを見てきました。そのためハンダ付けを必要としない箇所はここでは割愛し、塗装直前の組立までとしました。ここからさらに塗装した状態での本完成は、塗装関連の特集時に再びお伝えしようと思います。
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■今月のRM MODELSは「素材」特集!
今回の特集では、鉄道模型でもっとも用いられている「プラスティック」「紙」「金属」の3種の素材にスポットを当て、各素材のエキスパートによる素材の解説と、工作テクニックを詳しく解説していきます。
また、今回の「鉄道サブカルバラエティ」をテーマにした新企画「#鉄道絶対領域」は、鉄道玩具が主体の内容で代表的な「国民的鉄道玩具」の超絶作品やイベントの様子を紹介。さらに人気の「コンテナ弁当」や懐かしの「ブリキ電車」の思い出話など盛りだくさんでお届けします!