水間鉄道モハ11は複雑な経歴をもつ電車。もとは南海電鉄の「タマゴ」と呼ばれる前面半円形の木造車(明治42年製)を昭和24年に譲り受け、モハ111として使っていたが、車体の老朽化が進んだため、昭和31年、阪急63形67の木造車体を譲り受けて載せ替え、モハ11に改番したもの。写真は車体載せ替えから10年も経っていないが水間駅の側線で休車になっていたころで、塗装は阪急時代のマルーンより薄めの赤茶色がさらに色褪せてかなり薄くなっていた。オリジナルの台車はBrill 27 GE 1のはずだが、写真では外吊りモーターは変わらないもののBrill 27 E1と同様の構造のものとなっている。写真ではわからないが車輪はすべて松葉スポークだったので、明治42年のものがずっと使われていたのだろう。 ’65.12.25 水間 P:小西和之