横浜都市発展記念館では、1月15日より関東大震災から100 年の節目に向けた企画展を開催する。
被災した 120 形市電車両 (本牧箕輪下電車停留所付近)
横浜都市発展記念館蔵(プレスリリースより・以下すべて同)
今から 150 年前、新橋と横浜の間で開業した鉄道は、その後、全国に線路を延ばしていった。 大正時代は、2代目横浜駅の開業(1915年)や、東京・桜木町駅(初代横浜駅)間の電化、 電気鉄道の市営化(1921年)と新規路線の整備計画の策定など、横浜市内の交通網が大きく発展した時期でもあった。そうした中、未曽有の悲劇として、1923年9月1日に関東大震災が発生する。
2023年はその関東大震災から100年の節目。本展では、震災からの復旧工事に携わった鉄道技師の遺した写真アルバムを中心に、物流の大動脈となりつつあった鉄道や横浜の交通網の被災から復旧、復興に至る様子を多彩な資料で紹介する。本年は鉄道開業150年の記念の年でもあるが、 近い将来の発生が指摘されている大規模地震への備えが叫ばれる中、鉄道と災害の歴史を見直すきっかけになればという狙いで開催されるものだ。
■開催日時
2022年1月15日(土)~3月27日(日)
9:30~17:00(券売は 16:30 まで)
毎週月曜休館(月曜日が祝日の場合は翌日)
■会場
横浜都市発展記念館 3F 企画展示室
神奈川県横浜市中区日本大通12
◎みどころ
(1) 鉄道技師が遺した写真帳
関東大震災鉄道復旧工事写真帳
河邊啓太郎氏蔵 横浜開港資料館保管
鉄道技師・木村義麿 肖像 昭和3年頃
河邊啓太郎氏蔵 横浜開港資料館保管
鉄道橋を専門とする鉄道技師だった木村義麿(1885~1946)は4冊の写真帳を遺した 。関東大震災後、鉄道省の技術職員として東海道本線の馬入川橋梁、熱海線の酒匂川橋梁や白糸川橋梁の工事に従事し、その過程の写真約500枚を写真帳にまとめている。 木村の遺した写真からは、当時すでに物流の大動脈となっていた東海道本線の復旧工事の過程だけでなく、当時の高い土木工事の様子が窺える。
(2) 市民の足の崩壊と復興
オソ10形貨車と復旧工事に従事した人びと
河邊啓太郎氏蔵・横浜開港資料館保管
写真帳『大震火災電気鉄道被害情況』(横浜市電気局)も貴重な資料である。当時、電気局の置かれていた滝頭周辺の被災状況から車両や施設の被害、復旧工事、バラック電車の運行などが収められている。市民の足として身近な交通機関として定着していた電気鉄道(横浜市電)の、震災からの復興の様子を紹介する。
(3) 多彩な資料から追う鉄道と関東大震災
八木彩霞の日記
八木洋美氏蔵 横浜開港資料館保管
横浜から地方へ鉄道で避難する人びと
1923年9月 横浜都市発展記念館蔵
近年注目が高まっている市民が遺した日記や、震災遺構からの出土資料なども展示。 鉄道を用いて災害から避難する人々の様子をはじめ、関東大震災がもたらした鉄道や市民生活への影響を捉え直す。
■関連企画
・展示解説 …1月29日(土)、 30日(日)、 2月13日(日)、 3月12日(土)、 13日(日)
各日とも13:30~30分程度 先着15名
・パネル展示「鉄道橋の関東大震災」(1Fギャラリーにて)
■観覧料
一般 500円、小中学生および横浜市内在住65歳以上 250円