初代名古屋鉄道デセホ700形として1927(昭和2)年に10輌製造された。同社初の半鋼製車である。また、同年11月の昭和天皇犬山行幸の際、デセホ707と他1両が貴賓車SCⅢと共にお召列車の大役を果たしたことは特筆すべきであろう。瓜二つの弟分モ750形との見分け方は車体の裾部の形状で、凹凸が深い方がモ700形である。当初西部線の主力として活躍したが、同線昇圧後は600v各線を転々とし、各務原線昇圧時までに7輌が他社への売却や廃車となっている。残る3輌が瀬戸線での活躍を経たのち、モ704が1973(昭和48)年に、残る2輌も1978(昭和53)年に揖斐・谷汲線へ転属、主にク2320形を従え揖斐線内のローカル列車や谷汲線の多客時輸送に従事した。モ702がモ755の事故復旧用部品供出のため1992(平成4)年に廃車、残る2両も1998(平成10)年のモ780形増備時に引退した。写真は当時1本設定されていた夕方の急行運用に就くモ703。 名古屋鉄道揖斐線 黒野-相羽 ’97.3.27 P:古川泰典