1959~1966年に名古屋線の主力通勤車として製造された1600系の「増結用Mc車」(クモハ)がモ1650形。1963~1966年に合計9輌が製造され、長く名古屋線で活躍したのちも「増結用Mc車」の機動性が買われ、多彩な車歴を刻むこととなった。まず、総数9輌のうち4輌は、1982年の京都線急行5連運転開始にあたって同線に転属して1990年まで異彩を放ち、その後も全車が救援車・入換車といった事業用車に転用された。また、名古屋線に残った5輌については、1輌が1989年に廃車となったが4輌は冷房改造を受けて1992~1994年まで活躍、さらには養老線(現・養老鉄道)に転属して今なお現役を続けている。写真は京都線で活躍した時代のもの。朝ラッシュ時に4連急行の先頭に途中駅(新田辺)で増結され5連となった急行の先頭に立ち京都駅にやって来たのち、同駅で解放・単車で留置され、別の到着列車(折り返しが車庫のある新田辺どまりとなる列車)の最後部に増結されて車庫に戻る、というユニークな運用も存在した。 ’82.7 近鉄京都 P:清水祥史