製作・本文:秋山 仁
鉄道模型を離れたところから遠隔で操作したい!と思ったことはないだろうか。鉄道模型のワイヤレスコントローラーは、各社から販売されており、持っている方もいるのではないでしょうか。遠隔操作のメリットは、コードの長さを気にする必要がないため、遠くから模型を鑑賞することができます。横になって操作したり、お酒を飲みながら模型を楽しむ…なんていうのもいいですね。
今回はタブレットから操作したり声で指示したりできる鉄道模型のコントローラーを製作したのでご紹介します。
■概要
▲コントローラーの全景。右の小さいグレーの箱状の装置がコントローラー本体であるマイコンになる。ここへWi-Fi・Bluetoothなどで接続したスマホ・タブレットから指令を出して模型を操作する。
本体となるマイコンにはボタンや操作盤等はないため、そのままではそもそも「コントローラー」になりません。そこで、スマートフォンやタブレットからWi-Fi・Bluetooth接続して操作します。そうすることで、これら手持ちのスマホやタブレットが「コントローラー」となってくれます。ワイヤレスの通信には「Blynk」というサービスを使用しています。BlynkはIoT化するのに便利なツールで、タブレット側のアプリで自由に操作盤を配置することができ、オリジナルのコントローラーを作り出すことが可能です。音声指令についてはiPadに標準搭載されている「ショートカット」というアプリで、鉄道模型指令用の動作を登録することで実現しています。その登録されたショートカットを、音声アシスタントの「Siri」から呼び出すことで車両を操作することができます。
このコントローラーは、以前プラレール用に設計した回路を使用しています。プラレールでは回路を車両に搭載し、箱根登山鉄道のスイッチバックを再現しました。この回路を何かに活かせないかと考え、今回鉄道模型用パワーパック製作に至りました。電源はマイコン(コントローラー)用にUSB電源、鉄道模型の給電用に単三電池6本を使用します。
■特徴
●端末から自在にコントロール
先ほど概要で解説しましたが、要するにこのコントローラーとタブレットは、それぞれインターネットにつながっており、ワイヤレスで運転が可能ということです。そのため、操作する場所に物理的な制約がありません。極端に言えば、インターネット接続できる環境にさえいれば世界中のどこからでも車両を操作できます。
●Siriでコントロール
発車や加速、停車などの簡単なアクションをiPhone等に搭載されている音声アシスタントの「Siri」に登録させています。これにより声でハンズフリー操作をすることができます。具体的には「出発進行」で発車、「停車」で車両が停止し、「進行方向前・後ろ」で車両の進行方向を変えられます。このように実際に声を出して運転させることで、さながら鉄道指令員の気分になれるかもしれません…!
また、「Siri」も発車の時は「車両を発車します。周囲の安全を確認してください。」と答え、停車の時も「車両を停止します。急停車にご注意ください。」などと、それぞれ異なる反応をするように設定しており、「声」で操作する楽しみもあります。
●サイズが小型
小型設計であるため、電池ボックスを除くコントローラー本体とケーブル類はなんとトミカの箱に収納が可能です。どうしても大きさが気になるパワーパックですが、これなら持ち運びをする際も簡単にできます。
■今後の展開
現在は常点灯の機能が動作しないので、改良して搭載したいと考えています。またSiriから操作したときに急発進・急停車になっているので、声での操作でも加速度を調整したらより実感的になるのではないかと考えています。
■動く様子はこちら
こちらの動画から実際に動く様子をご覧いただけます。「Siri」を使い、声で模型を動かしている様子などをぜひ動画でご確認ください!