東武8000系は、東武の主力通勤車として1963〜1983年まで長きにわたって製造された。この製造期間は国鉄103系とほぼ同じであり、製造輛数も私鉄車輌としては最大の712輌を数え、「私鉄の103系」と呼ばれることもある。
そんな8000系だが、初期型の多くは廃車されており、経年50年を越える編成で現存するのは3編成となっている。
このうち、8150編成は南栗橋車両管区七光台支所に配置されており、唯一定期運用に就いている。また、現存する東武8000系は修繕工事を受けており、同編成も2期目にあたる1995年10月に修繕を実施した。なお、2期グループから前面形状を6050系に準じたデザインに改修しており、2期グループは行先・種別表示器が字幕式で、前照灯がシールドビームであるなどが外観上の特徴となる。
今のところ2019年度中期計画でも野田線の車輌置き換えには言及していないとはいえ、油断は禁物だと言えるだろう。
▲8150編成 定期運用を持つ8000系で最古参となるのは8150編成。1969年10月に4輌編成として製造され、後に6輌編成化された。現在は野田線で運用。 ‘19.10.19 東武鉄道野田線 大宮公園〜大和田 P:寺尾武士
南栗橋車両管区に配置されている2連の8506編成は、1965年2月に落成した。この編成には秩父鉄道のATSが搭載されており、東上線系統と伊勢崎線系統の間での車輌の移動の際に伴走車として使用されている。なお、秩父鉄道ATS搭載車はかつて3編成あったが、東上線池袋〜小川町間での定期運用が終了した後、8506編成は南栗橋車両管区に転属し、それ以外の編成は廃車された。
8111編成は東武博物館が所有する編成で、サハ8711・モハ8811以外は1963年11月に落成した車輌で、現存する8000系の最古参となる。8111編成は1986年度に修繕工事(1期)を受けたため、前面が原型のまま竣工した。これが幸いし、引退後に東武博物館所有の動態保存車となった。現在はセイジクリームに塗装され、団臨やイベントなどで活用されている。
▲東武博物館所有の8111編成 東武8000系、8111編成は東武博物館が所有する動態保存車という位置づけとなっているが、時折団臨に使用されており、イベントでも展示される。 ‘17.3.26 東武鉄道伊勢崎線 南栗橋車輌管区 P:松沼 猛
本文:RM 要約・再構成:RM レイル・マガジン436号より