京阪電気鉄道株式会社では、2016(平成28)年度の鉄道設備投資計画について発表した。 今年度は、運転保安度の維持・向上(約62億円)や旅客サービスの向上(約31億円)を目的として、総額約93億円の鉄道設備投資を実施する。【運転保安度の維持・向上(約62億円)】○新型車輌(13000系)の新造 環境への配慮やバリアフリーへの対応、安全性の向上に主眼を置いた 13000系車輌を順次導入する。従来車輌(2200系、2600系)との比較で走行時の消費電力を約35%削減、走行騒音の低減、車いすスペースの確保、車体強度の向上などを実現する。今年度は、新たに25輌4編成の営業運転を計画している。 ▼13000系車輌 P:京阪電気鉄道ニュースリリースより<今後の導入予定> 2016(平成28)年7月 4輌1編成 8月 7輌1編成 9月 7輌1編成 2017(平成29)年3月 7輌1編成○新型自動列車停止装置(新型ATS)の導入 京阪線において、さらに安全かつ安定的な輸送を目指した「多情報連続制御式ATS」を導入し、運転保安度の向上を図る。 従来のATSでは、列車が所定の速度を超えた状態で2点の地上子間を通過した場合、非常ブレーキを作動させる方式であったが、新型ATSでは、地上装置から列車に伝送された信号現示、転てつ器の開通方向などの情報と、車上装置に記憶された信号機位置、勾配などの情報に基づき、列車が走行している位置での上限速度を算出し、列車速度との常時速度照査を行う。信号現示や曲線などの情報に基づく速度制限に加え、踏切やホームでの異常にも対応する機能を有しており、従来にも増して運転保安度の向上を実現している。2015(平成27)年12月に出町柳~深草間で使用を開始しており、今年度末には深草~淀間および宇治線でも使用を開始する予定。○耐震補強工事 京阪電気鉄道では、駅の耐震補強工事を順次進めている。今年度は天満橋駅の耐震補強工事を実施する。今回は、2008(平成20)年度に実施した駅改札内の耐震補強工事に引き続き、店舗部において補強工事を実施する。天満橋駅は、駅施設としての役割のみならず、店舗を運営していることから多数の方が訪れるため、大規模地震発生時における安全や駅施設の機能を維持することにより、さらに安心して利用できる駅を目指す。【旅客サービスの向上(約31億円)】○「(仮称)京阪特急プレミアムカー」導入に向けた対応 京阪電気鉄道では、2017(平成29)年度上期のサービス開始に向けて「(仮称)京阪特急プレミアムカー」の検討を進めている。8000系特急車輌の一部車輌を大幅に改造、快適性をさらに高めたうえで、通勤利用の方にも観光利用の方にも「確実に座れる」「上質な移動空間」を実現する新サービスを提供する。今年度から対象となる車輌の改造や座席予約システムの構築に着手する。○旅客案内ディスプレイの導入 ダイヤ乱れ時などの異常時における情報提供の充実を図るため、昨年度末に京阪線18駅に旅客案内ディスプレイを導入した。これにより、輸送障害発生場所や列車の遅延・運休、振替輸送などの情報を視覚的かつ速やかに提供している。なお、平常時は沿線観光案内やマナー啓発など多様な用途に活用し、より一層の案内サービスの充実を図る。 今年度はさらに21駅での導入を予定しており、2017(平成29)年度には京阪線全駅への設置を完了し使用を開始する予定。○京都地下線(七条駅、清水五条駅、出町柳駅)のトイレリニューアル 昨年度に引き続き、駅トイレのリニューアルを行う。先般、リニューアルを行った祇園四条駅のトイレでは、全面洋式化や訪日外国人にも配慮した分かりやすい案内を行うとともに、温水洗浄便座や便座除菌クリーナー、ハンドドライヤーの採用による清潔感の向上、パウダーコーナーやキッズトイレを新設し使いやすさを向上させた。また、トイレブースを増やすことで待ち時間の軽減も図っている。 今年度は、七条駅(下り)、清水五条駅、出町柳駅(叡電口)について、リニューアルを進める予定。●詳しくはこちらを参照(pdf形式)●京阪電気鉄道 ウェブサイト