富士急行では、今年で開業80周年を迎えた富士急行線の車輌を、九州新幹線〈つばめ〉等のデザインを手がけた工業デザイナー・水戸岡鋭治氏によるデザインでリニューアルし、“富士登山電車”の愛称で8月より運行を開始する。
また、あわせて“富士登山電車”が停車する下吉田駅の駅舎・待合室をリニューアルし、同駅はレトロな味わいを生かしつつ21世紀モダンを感じさせる駅へと生まれ変わる。
観光列車“富士登山電車”
▼“富士登山電車”の外観イメージ。
イラスト提供:富士急行(他画像とも)
Eiji Mitooka + Don Design Associates
“富士登山電車は”「富士山に一番近い鉄道」富士急行線沿線の恵まれた自然環境にふさわしい健康的で魅力的な公共空間として、また富士山の麓の山岳風景の豊かさと美しさを一枚の絵のようにプレゼンテーションできる移動空間として、「富士山再認識」のための日本一ゆたかな登山電車を目指すことをコンセプトとしている。
外観は元々の開業当初のさび朱色で歴史と伝統を感じさせるたたずまいとし、内装は懐かしさと新しさを調和させたレトロモダン。ベンチ、ボックス席、ソファ、窓に面した展望席など、多様なパターンや形のシートが設けられ、サービスカウンターやミニギャラリーなどの家具造作類も設置される。また、いずれもどこかに優美な富士山の曲線をモチーフに取り入れているほか、竹製のロールブラインドや木製の荷棚、床のフローリングなど細部まで出きるだけエコ素材を使用している。
▲モハ1305の客室内イメージ。折りたたみ式テーブル、木製荷棚のほか、木製ロールブラインド、木製の吊手や額が備わる。
▼モハ1205の客室内イメージ。こちらは富士山ライブラリーサロンも設けられ、本棚が設置される。
Eiji Mitooka + Don Design Associates
■運行開始日:2009(平成21)年8月上旬(予定)
※詳細な運転開始日と運転時刻は決まり次第発表
■運転区間:大月―河口湖間(26.6km)
■車輌:2輌1編成(モハ1305+モハ1205)
駅のリニューアル
▼駅舎イメージ図
Eiji Mitooka + Don Design Associates
下吉田駅開業当日の新しさと驚きを今また感じ取れるよう、レトロな味わいを生かしつつ、21世紀モダンの駅に生まれ変わることをコンセプトに、駅舎本屋のシンプルな構造と腰板や窓枠の色調はそのままに、吹き抜けには天井画を大胆に配置する。壁面には富士の絵を配し、コンコース内には富士の稜線をイメージしたベンチやセンターテーブル等を配し、今までの駅には見受けられなかったゆとりある雰囲気とする。また、ホーム上の古い構造の下にシンプルなガラス箱でつくった待合室を設置し、近景の桜並木や遠景の富士山を居ながら楽しめるレンガの床、木の家具や造作、布ののれんなどエコ素材中心に使用。明るく広々としたトイレを新設する。
使用開始日は2009(平成21)年7月中旬の予定で、総工費は約40,000千円。