【EF62】 国鉄EF62型電気機関車は、信越本線横川-軽井沢間66.7‰の国鉄最急勾配、碓氷峠越えに直通する列車牽引用に登場、急勾配に対応し補助用EF63と協調運転等の特殊設計を施した。1962年にEF62 1が試作、計54両が製造され、高崎-長野-直江津-長岡等の信越本線系統で使用された。 軽量化用3軸配置の“♪タタタン タタタン”というワルツは、同線独特と思っていたが、碓氷峠の客車・貨物列車減少で、東海道・山陽本線の檜舞台に転属、1984年3月からEF58に代わり荷物列車・臨客も牽引した。しかし、それも束の間1986年11月に荷物列車の殆どが廃止となり、本来の碓氷峠越えの客車に、1997年新幹線開業、横川-軽井沢間廃止まで従事した。EF62は柔和な表情の中にも、碓氷峠急勾配、妙高山麓豪雪、青海川潮風、そしてEF65,66に伍して東海道・山陽本線高速走行と、過酷な運命に耐える実力と、晩年は無線強化アンテナを前面に取付け、派手な塗装変更もなく、実用重視のカマであったと思う。 私は、坂や階段で苦しい時、EF62重連の“♪タタタン タタタン(繰り返し)”と唱えると、今も不思議と力が湧いてくる。忘れ得ぬ鉄道車両である。 P:大久保広樹
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