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2006年03月31日

ND-708 / えちぜん鉄道モハ6101形

99:ND-708
 愛知環状鉄道が1988(昭和63)年の開業時に投入した100・200・300形電車のM台車(200形の履くT台車はND-708A)。国鉄DT50系をベースとした円錐積層ゴム式軸箱支持のボルスタレス台車で、牽引装置はZリンク式を採用している。100・200・300形電車は愛知万博終了後、2005年11月のさよなら運転を最後に愛知環状鉄道から引退したが、えちぜん鉄道に譲渡されモハ6001形、6101形となって活躍を続けており、台車も引き続きND-708を履いている。
 写真はえちぜん鉄道モハ6108のもの。
軸距:2100㎜ 車輪径:860㎜
軸箱支持:円錐積層ゴム式 枕ばね:空気ばね(ボルスタレス)

写真:2006.3.19 福井口 高橋一嘉
えちぜん鉄道6101形
勝山駅で顔を揃えたえちぜん鉄道6101形。愛環時代と基本的な造形に変更はないが、塗色の変更とスカートの取り付けで印象は大きく変わり、すっかり“越前”の電車になっている。

参考文献:
日車の車輌史 写真・図面集-台車編
日本車両鉄道同好部・鉄道史資料保存会(2000年 鉄道史資料保存会)

2006.3.31作成

投稿者 k-takahasi : 21:10

2006年03月28日

DT73 TR257 TR258 / JR東日本E331系

96:DT73
DT73(連節M台車)

97:TR258
TR258(連節T台車)

98:TR257
TR257駐車ブレーキ付き(編成両端)

 京葉線に投入される次世代通勤電車E331系の台車である。E331系は2002年に登場したE993系“ACトレイン”の成果を反映したもので、7車体連節×2の14輌組成という、国鉄時代から通じてJR初の営業用連節車となった。E993系では連節台車の枕ばねに2点支持空気ばね方式(DT957/TR914)と4点支持空気ばね方式(DT958/TR915)を比較試用していたが、E331系では車体ごとに独立した空気ばねを持つ4点支持式空気ばね方式を採用。また、編成両端と編成中央部に位置する非連節台車は、編成両端のみ駐車ブレーキを持つが、形式は同一である。
軸距:2100mm 車輪径:860mm
軸箱支持:軸梁式 枕ばね:空気ばね(ボルスタレス)

写真:2006.3.27 幕張車両センター RM(K)
E331系
E331系についての詳細は5月20日発売のRailMagazine274号で紹介の予定です。

2006.3.28作成 2006.4.28更新

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これまでに紹介した国鉄形式の電車関連の台車のリンク

投稿者 k-takahasi : 21:00

2006年03月22日

KH-53A / 伊予鉄道クハ760形

93:KH-53A
 当初は2700系から流用されたものを中心としたコイルばね台車を履いて登場した京王帝都電鉄5070系(後の5100系)のうち、第1~5編成のTc車の台車振り替えの際に採用された日立製作所製の台車である。原形式のKH-53は5000系第7・8編成のTc車で採用されたもので、KH-53Aでは空気ばねがベローズからダイヤフラムに変化している。
 京王5000・5100系は地方私鉄数社に譲渡され現在も活躍中だが、1372㎜という軌間からその多くは営団3000系のFS510など他社の台車が組み合わされており、京王時代の台車を履くのは伊予鉄に譲渡されたTc車のもののみ(1067㎜軌間に改軌)。ただし、京王時代とは車体との組み合わせは変化している。写真は伊予鉄道クハ760(もと京王5000系クハ5754)が履いているもの。
軸距:2100mm 車輪径:860mm
軸箱支持:軸箱守(軸ばね) 枕ばね:空気ばね

写真:2005.10.16 横河原 高橋一嘉
伊予鉄クハ760
伊予鉄郊外線の主力として活躍するもと京王5000・5100系。高浜方に連結されるMc車の台車は東武鉄道2000系からのFS340である。

参考文献
『鉄道ピクトリアルNo.578』(1993年 電気車研究会)
復刻版 私鉄の車両17 京王帝都電鉄
飯島 巖・森本富夫・荒川好夫(2002年 ネコ・パブリッシング)

2006.3.22作成

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これまでに紹介した伊予鉄道の台車
TS-321A

投稿者 k-takahasi : 20:59

2006年03月18日

KL-21A / 土佐電氣鐵道200形

92:KL-21A
 1950(昭和25)年から21輌が製造された土佐電氣鐵道200形のうち、1954(昭和29)年に日立製作所で製造された211~214号の4輌が履く台車である。車体こそ都電6000形に似たデザインの土電200形だが、台車に関してはこのKL-21A、さらに続いて登場した215・216・220・221号の履く川崎車輌製OK‐14と、2種の軸梁式台車を採用するなど、独自性が強い。また、後に登場した600形のうち1958(昭和33)年製の603~606号も、自社若松町工場製の車体に同系のKL-21Eを組み合わせている。
 写真は211号のもの。
軸距:1600mm 車輪径:660mm
軸箱支持:軸梁式 枕ばね:コイルばね

写真:2005.10.19 領石通 高橋一嘉
tosa211.jpg
旭町三丁目に停車中の211号。

参考文献
『世界の鉄道'73』(1972年 朝日新聞社)
『路面電車ガイドブック』東京工業大学鉄道研究部・著(1976年 誠文堂新光社)

2006.3.18作成

これまでに紹介した土佐電氣鐵道の台車
OK-14

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投稿者 k-takahasi : 20:59

2006年03月15日

KH-20 / 東武鉄道5050系

91:KH20
 東武鉄道5050系4輌編成のうち、7860系から更新された後半の4編成が履く日立製作所製の台車。東武形式はM台車:TRH-58MB、T台車:TRH-58TBを名乗る。住友金属製のFS10にそっくりだが、よく見ると台車枠に開口部があり、ボルスタアンカーのボルスタ側の取り付け部の形状も異なる。そしてなにより、井桁の社紋とFS10の文字がない。FS10と同じく、5050系への更新に合わせてトラックブレーキ化、軸箱も密封円筒形コロ軸受に改造されている。
 写真はモハ5260のもの。
軸距:2500㎜ 車輪径:910㎜
軸箱支持:軸箱守(軸ばね) 枕ばね:板ばね

写真:2006.1.29 国谷 高橋一嘉
クハ5120
78系譲りの吊り掛けモーターの音を響かせ、夕暮れの野洲平川駅を発車するクハ5160以下4連。種車の7860系は1953(昭和33)年製で、78系の中では唯一の日立製作所製。登場時は4種の試験塗装に塗られていたことでも有名であり、当時の姿はRM LIBRARY50『昭和の記憶』の中に見ることができる。

参考文献:
『世界の鉄道1965』(1964年 朝日新聞社)
復刻版 私鉄の車両24 東武鉄道
飯島 巌 卓はじめ 諸河 久(2002年 ネコ・パブリッシング)

2006.3.15

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投稿者 k-takahasi : 20:59

2006年03月12日

FS10/東武鉄道5050系

90:FS10
 関東大手私鉄最後の営業用吊り掛け電車となった東武鉄道5050系電車の台車。もともとは5050系の種車である78系電車の標準的な台車であり、東武形式はM台車:TRS-52M、T台車:TRS-52Tを名乗る。78系は1952(昭和27)年登場の7330系(後の7800系)から1961(昭和36)年製の7870系にいたるまでの20m4扉車の総称であり、 高度成長期における東武鉄道の通勤輸送の要であったことはご存知の通り。5050系への更新は5000系に続いて1980(昭和55)年に始まり、その際にトラックブレーキ化、また軸箱も密封円筒形コロ軸受に改造されている。写真はモハ5257のもの。
軸距:2500㎜ 車輪径:910㎜
軸箱支持:軸箱守(軸ばね) 枕ばね:板ばね

写真:2006.1.29 国谷 高橋一嘉
TOB5157.jpg

参考文献:
「住友金属の台車6」鈴木光雄(『鉄道ピクトリアル№449』所収/1985年 電気車研究会)
復刻版 私鉄の車両24 東武鉄道
飯島 巌 卓はじめ 諸河 久(2002年 ネコ・パブリッシング)

2006.3.12作成

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投稿者 k-takahasi : 21:12

2006年03月09日

博物館の台車2/玉電デハ200形

88:TS-302
TS-302(両端M台車)

 電車とバスの博物館に保存されている、東急玉川線デハ200形電車の台車です。1955(昭和30)年に登場したデハ200形電車はM台車、T台車とも510mmという専用の小径車輪を使用しており、これにより床面高さ590mmという低床構造を実現。この記録は、国産車での動台車上の数値としては、2004年に長崎電気軌道3000形電車が誕生するまで、実に49年間も更新されることはありませんでした。
 両端のM台車は枕ばねは台車枠上に直接コイルばねを配する構造で、軸距は1500mm。軸箱支持は軸ばねにコイルばねを使用せず、軸箱の上部および左右が台車枠とゴムばねにより接合したものですが、台車枠は車輪の内側に配されるため、外からはほとんど見えません。また、2基の主電動機は平行カルダン方式で駆動されますが、小径車輪ゆえに小歯車と大歯車が届かないため、間に遊び歯車が介されています。

89:TS-501TS-501(連接T台車)
 一方、連接部のT台車は、電車用の連接台車としては国内では他に類を見ない1軸台車です。曲線通過時には車体と心皿とのリンク機構によって常にカーブの中心方向に向くよう操舵される構造で、ウイングばね状に配されるコイルばねによって懸架されています。

TKK204
電車とバスの博物館に保存されている204号。 写真:2005.11.16 高橋一嘉

参考文献:
「タルゴ君の夜話」飯島 巖(『世田谷のちんちん電車』/1984年 大正出版)
『東急電車形式集.3』(1997年 レイルロード)
「玉電200形その技術」守谷之男(『鉄道ピクトリアル』№749/2004年 電気車研究会)

2006.3.9作成

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投稿者 k-takahasi : 21:34

2006年03月06日

DT32I TR69I/JR東日本189系“彩野”

86:DT32I
DT32I (モハ188-43)

87:TR69I
TR69I (クハ189-511)

 DT32/TR69系台車は1962(昭和37)年登場の交直流急行型電車451・471系から採用された、国鉄の電車用空気ばね台車のロングセラー。それまでの空気ばね台車であったDT23/TR58(151系)、DT24/TR59(153・157系)に比べ、下揺れ枕を省略したインダイレクトマウント構造を採用、加えて大径心皿の採用により側受を廃止したもので、以後改良を重ねつつ165系、481系、181系100番代、581系などから185系までの国鉄急行・特急型電車(381・781系を除く)、さらに117系など一部の近郊型にも採用された。また、717系や107系電車など、この台車の廃車発生品を利用して誕生した系列も存在する。現在でも北海道から九州まで四国を除く全国各地でこの台車を履いた車輌が活躍している。
 写真のDT32I、TR69Iは1974(昭和49)年に上越特急用として耐雪機能を強化して誕生した183系1000番代から採用されたもので、続いて信越特急用の189系にも採用された。M台車のDT32Iでは歯車歯を加圧することにより浸水を防止、耐雪制輪子を採用している。一方、T台車のTR69Iでは凍結防止のためブレーキシリンダがゴムシリンダ化されている。また、M・T台車ともタイヤフラット防止のため踏面清掃装置・応荷重装置が取り付けられた。
 写真は189系“彩野”のもの。
軸距:2100㎜ 車輪径:860㎜
軸箱支持:軸箱守(ウイングばね) 枕ばね:空気ばね

写真:2006.3.6 小山車両センター RM(新)

彩野
東武直通色にリニューアルされた小山車両センター所属の189系“彩野”。東武直通用485系の予備車として東武線用の保安装置類が搭載されたが、前面形状は変更されていない。
JR東日本189系“彩野”:RailMagazine272号参照

参考文献
「183系1000番代特急形電車について」森下逸夫
(鉄道ピクトリアル№302所収 1975年 電気車研究会)

2006.3.6作成 2006.3.20更新

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投稿者 k-takahasi : 21:10

2006年03月02日

広島電鉄5100形“グリーンムーバーmax”

MKD001
 2005年3月に就役した広島電鉄5100形“グリーンムーバーmax”は近畿車輌、三菱重工業、東洋電機製造の共同開発による国産100%超低床LRV「U3・ALFAVeacle」の第1号であり、国産初の独立車輪台車を採用している。独立車輪台車とはLRVの100%超低床化のため、従来のような車軸を廃したもので、車輪間に車体通路部を落とし込む方式の台車。5100形のものは国産超低床LRV実現のため2001年に車輌メーカー8社によって設立された「超低床エルアールブイ台車技術研究組合」の研究成果をベースに開発されたものである。
軸距:1800㎜ 車輪径:600㎜
軸箱支持:積層ゴム 枕ばね:コイルばね

写真:2004.12.8 三菱重工業プラント・交通システム事業センター RM 

84:MKD001
両端のA車、B車に配されるM台車(メーカー形式MKD001)は内側台車枠で、通常の台車では車軸に対して取り付けられている駆動装置~主電動機を台車両側面に設置、直角カルダン方式で前後の車輪を駆動する仕組みである。ドイツ製の5000形のものよりコンパクトにまとめられ、M台車上の通路幅は860㎜が確保された(5000形はMT台車上とも通路幅830㎜)。車輪には弾性車輪を使用(写真は5101Bのもの)。

85:MKT001
編成中央のE車に配されるT台車(メーカー形式MKT001)は外側台車枠で、枕ばねの位置も低いなど、よりコンパクトになる工夫がなされており、この結果T台車上の通路幅は5000形より大幅に広い1120㎜を確保している(写真は5101Eのもの)。

GREEN MOVER max
広島県三原市の三菱重工業プラント・交通システム事業センター内の実験線で試験走行中の5100形。営業運転では台車部分はカバーが取り付けられるため、台車を見ることは出来ない。なお、5100形は5車体連接車だが、2車体目と4車体目のC車、D車は台車のないフローティング構造である。

2006.3.2作成 2006.3.4更新

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投稿者 k-takahasi : 21:00