鉄道ホビダス

上毛700形のバリエーション

どうも、こんばんは甘木です。随分間が開いてしまいました。それで前回放ったらかした続きをやるのかと思えばそうでもないのだから性質が悪い。無論あちらも、このまま闇に葬り去ろうというのではなく近々再開するつもりですが、今回はそれとは違った話題です。


そうそう、その前に目出度いニュースがひとつ。以前RM MODELS誌上にて「列車紳士録」を連載された池田邦彦さんが、講談社による漫画賞「第54回ちばてつや賞」にて大賞を受賞されました。
受賞作はかつての飯田線沿線を舞台とした「RAIL GIRL~三河の花~」。簡易委託駅に住む女の子を主人公とし、人々の織り成すドラマを温かく描き出しています。
作品は発売中の「モーニング」1月1日号(講談社)に掲載されています。ぜひお手にとってご覧ください。池田さん、おめでとうございます。


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さて、開業80周年を記念して11月、古豪デハ101を営業運転し話題を呼んだ上毛電気鉄道。私も現地を訪ね、80歳の電車の姿にふれてきましたが、今回はその話でもありません。イベントへの行き帰りの足として皆さんお世話になったであろう、700形電車についてです。

700形は非冷房の旧東武車を置き換えるため、1998年から2000年にかけて順次入線。見ての通り、もとは京王井の頭線の3000系電車です。当線ではMc(デハ710形)+Tc(クハ720形)の2連に短縮、ワンマン対応に改造のうえ8本を導入し、現在通常運用は700形に統一されています。

さて、元々3000系にはMc車がないので、2連化には改造が必要です。当線の場合はTc車の電装(他形式の廃車発生品を一部流用)、中間M車の先頭車化の2つの方法が採られており、それぞれ形態に違いが出ています。京王時代のマイナーチェンジによる差異もあり、また2005年以降は前面FRP部分の塗装を編成ごとに違える塗装変更も進んで、いよいよバリエーションを増やしています。

今回はこの、模型的な目にも興味を増しつつある700形各編成を、大雑把ながら見渡してみることにしました。京王にも上毛にも精通したとは言いがたい身ゆえ、表層をなめる程度の解説ではありますが、皆さんの模型心を多少なりとも刺激できればと思います。

※写真はすべて2008年11月9日・16日撮影。必ずしも現状と同じとは限りません。アングルがひどいのは、当日デハ101を優先するあまり、ついぞ本腰を入れて撮る機会を得なかったからです。ごめんなさい。


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まずは種車による前面の違い。左が京王時代からの先頭部を持つ元Tc車、右が新製の前面を接合した元中間M車です。FRPマスクを被せるのは同様ですが、改造先頭車の前面はステンレスではなく普通鋼をベースにしており、腰板部分に継ぎ目がなく質感にも差があります(岳南鉄道への譲渡車も同様の構造です)。窓下の通風口の有無、アンチクライマーの長さなども、表情に微妙な変化を付けています。
ライトは京王時代には窓上に尾灯、窓下に急行表示灯という配置でしたが、上毛では窓下がテールライトとなりました。


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車内。写真の717は中間M車からの改造先頭車ですが、乗務員室仕切あたりの造作は元Tc車と大きく変わるところはありません。
ワンマン化にあわせて乗務員室直後の座席を撤去し運賃箱を設置、ドア付近に整理券発行機を取り付けたのが目立ちますが、臙脂色の座席モケットは京王時代を彷彿とさせます。
天井の空調装置は車輌によって差異があり、本車はファンデリア+集中式クーラーですが、クハ726・727はラインデリアを装備しています。


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客扉。写真は717(左)・727(右)のもので、それぞれ窓ガラスがHゴム支持・金属支持とされています。
上毛ではHゴム支持窓のものが大半で、金属支持窓は727と718+728のみ。因みに現在、井の頭線に残る3000系のドアはすべて金属支持窓です(手掛けが2段のものもありますが、このタイプは上毛には渡っていません)。


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715(元中間M車)のパンタ廻りと725のベンチレータ(右上)。ベンチレータは726・727を除くクハ720形の連結面寄りに残っています。


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721の台車。下は塗油器付のもので、クハ721・725の連結面寄りに装備されています。


ここからは、各編成をざっと見渡してみましょう。


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西桐生← 711+721 →中央前橋
元Tc車(クハ3757・3707)で、FRP部分は「フィヨルドグリーン」。入線時はすべての編成がこの色で、側面帯色もこれに合わせたものです。クーラーはどの編成も原車のものが残され、元Tc車はすべて分散式となっています。


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西桐生← 712+722 →中央前橋
FRP部分は「ロイヤルブルー」で、こちらも元Tc車(クハ3758・3708)ですが、ちょいと変わっているのはMc車の712。同車は京王時代に事故復旧で車体の大部分を新製しており、その際京王での第20編成以降採用された軽量車体に合わせた形態とされたため、コルゲート本数が少なく屋根際の造作が異なったり、ドアの縁取りが角張っていたり(他車は開口部に沿った形)、クーラーに引き込まれる配管がなかったりと一部形態が異なっています。722は他のクハ720形と変わらない形態です。

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712(奥)。


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西桐生← 713+723 →中央前橋
FRP部分は「フェニックスレッド」。元Tc車(クハ3756・3706)です。この当時は車内に紅葉の飾りを施して走っていました。上毛ではこれ以外にも、四季折々に車内への飾り付けを行なっています。


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西桐生← 714+724 →中央前橋
FRP部分は「サンライトイエロー」。元Tc車(クハ3759・3709)で、これも形態は711+712に準じますが、現在は車内が青色に海の生き物のイラストを配したラッピング仕様とされ「マリン号」として運行されています。

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724の車内。


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西桐生← 715+725 →中央前橋
FRP部分は「ジュエルピンク」。ここからの3編成は元M車(デハ3009・3007)の改造で、このグループのクーラーは集中式となっています。前頭部、銀色が白っぽく見えるのが新製した部分。普通鋼製なので、乗務員扉の縁取りもありません。改造先頭車では本編成のクハ725のみ、ベンチレータを搭載しています。


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西桐生← 716+726 →中央前橋
元M車(デハ3008・3055)の改造先頭車で、FRP部分は「パステルブルー」に塗られています。


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西桐生← 717+727 →中央前橋
元M車(デハ3006・3105)の改造先頭車で、FRP部分は「ミントグリーン」。形態は基本的に715+725に準じますが、727は井の頭線5連化で追加されたデハ3100形がベースのため、扉窓が金属支持となっています。

なお前面の金具はヘッドマーク取付用のもので、京王で急行表示板の取付に使っていたものと同様です。元Tc車はそのまま存置、改造先頭車は当初は装備していなかったようですが、ヘッドマーク取付の機会がしばしばあるためか、現在は全編成に装備されています。


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西桐生← 718+728 →中央前橋
元Tc車(クハ3760・3710)で、FRP部分は撮影時点では入線時同様の「フィヨルドグリーン」ですが、今後塗色変更により8色目のニューカラーを纏うことになっています。本編成は種車の関係から、扉窓が金属支持となっています。

※2009年2月、本車は新色「ゴールデンオレンジ」となって出場しました。こちらに写真を掲載しています。


さて、鉄道模型製品としては、今のところ量産品の上毛700形は存在しません。しかし種車となった京王3000系は、Nゲージではグリーンマックスから板状キットが製品化されており、この製品からの改造が最も簡単と思われます。クハの屋上にパンタを搭載する改造が主となりそうですが、こだわらず簡単に済ませるならデハの屋根を組み合わせるぐらいでも雰囲気は出そうです。まだ試してはいませんけれど…
改造先頭車の場合は、銀色に塗るだけに腰板を加工しようとすると少々手を焼きそうな感じですが、アンチクライマを短くし、通風孔やドア縁を削るだけでも印象は変わるかなと思います。
現在では各譲渡先の行先方向幕・ロゴステッカーも同社から登場しているので、より容易に再現が可能でしょう。


以上、駆け足かつたいへん見にくい写真で恐縮ながら、上州に働く元井の頭線の現況の一端をお伝えいたしました。井の頭線に残る3000系リニューアル車も、今年度より始まった1000系3次車の増備で廃車が進みつつあり、今後の地方私鉄への譲渡も含めて目が離せない状況にあります。これを機に模型の世界でも、色とりどりのステンプラカー・モデリングを楽しんでみてはいかがでしょう?

2008年12月   

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