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模型で再現する沼尻軽便鉄道

 こんにちは、(み)です。唐突ですが、「汽車の窓からハンケチ振れば~♪」の歌い出しでお馴染みな懐メロの定番曲、「高原列車は行く」の歌詞のモデルをご存知でしょうか。歌詞のイメージから小海線や草軽電鉄あたりを想像しがちですが、実は作詞者の丘 灯至夫氏は福島県出身、氏が幼い頃より湯治などの機会で乗車していた沼尻軽便鉄道(川桁~沼尻間15.6km)がモデルであると自ら公言されているそうです。

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▲実際の川桁(福島県猪苗代町)の地に置かれた沼尻鉄道川桁駅モジュール。右手前の桜は模型だが、バックの桜は現地に咲く実物の借景だ。

 2008年4月26・27日の2日間、その沼尻軽便鉄道の起点であった磐越西線との接続駅・川桁駅付近の「猪苗代町東部地区ふれあいセンター」において、付近を流れる観音寺川の桜まつりに併せ「懐かしの沼尻軽便鉄道を訪ねて」と題されるイベントが開催されました。
 この催しに「軽便鉄道模型祭」などRMM本誌や当ブログ上でもたびたび紹介されております「軽便モジュール倶楽部」製作による一連の沼尻軽便鉄道モジュール(1/87、軌間9mm)が展示運転されました。今回はその模様を簡単ですがレポートいたします。

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▲会場とされた川桁駅付近の「東部地区ふれあいセンター」。当日は正に桜満開、大勢の観客で賑わった。

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▲会場全景。今回沼尻鉄道全駅を含む18のモジュールがずらりと勢揃い。周囲には地元の方々による現役時代の写真など貴重な展示物も。

 沼尻鉄道と言えば軽便鉄道ファンの間では比較的メジャーな鉄道の一つで、大正年間に沼尻鉱山で産出される硫黄を国鉄線接続駅の川桁まで運ぶ目的で誕生しました。その一方で沼尻周辺の温泉旅館やスキー場に向かう観光鉄道としても親しまれましたが、石油時代の到来でその精製段階で発生する硫黄が安く入手できるようになってからは、わざわざ硫黄を山から掘り出す必要がなくなり需要が激減、親会社の「日本硫黄」が倒産してからは別の不動産会社により「磐梯急行電鉄」として再建の道が探られたものの挫折、今から40年前の1968(昭和43)年に運転を取りやめ、特段のセレモニーもなく静かにこの地から消え去りました。

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▲展示された沼尻駅のモジュール。鉱山から索道で運ばれた硫黄を積み込むための施設まで再現されている。メンバーの共同製作によるもので、「軽便鉄道模型祭」などでその姿をご覧になった方も多いことだろう。

 さて実は「軽便モジュール倶楽部」がこの「ゆかりの地」とも言える川桁でモジュールレイアウトを展示公開するのは今回で2回目(1回目の模様はRM MODELS 143/2007年7月号参照)ですが、前回と異なり当日は「桜まつり」の名の通り桜が満開であったことと、前回の展示を見て感激した観客からの口コミもあって、前年以上の賑わいだったようです。

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▲モジュールを食い入るように見つめる地元の人たち。「あら懐かしい!」「良くできているわねぇー」との歓声が絶えない。

 実はモジュールを製作した「軽便モジュール倶楽部」のメンバーの中には、現役当時の沼尻鉄道を直接知る人はいません。それでも現地調査と当時の写真を元に、可能な限り忠実に作られたモジュールを見た地元の観客は、「ここ○○でしょ?」「そうそう、この隣が○○さんの家で…」「ここでしょっちゅう列車が脱線してね」と、当時の記憶を呼び起こし、あたかもタイムスリップしたかのように夢中に見入っていました。

 中にはモジュール内の民家を指して「あ、これ私のウチ!」と驚く観客と製作者の間に、当時の家の形がどうであったか話が広がるなど、通常の鉄道模型イベントとは全く異なる視点からの対話が各所で繰り広げられました。このあたりの様子を見るにつけ、とかく趣味の一つと片付けられがちな鉄道模型レイアウトにも、これだけ一般の人々に訴える潜在的な力を持ち合わせていることを再確認させられました。

 なお今回、せっかく川桁まで来ているのだからと「軽便モジュール倶楽部」メンバーの方にこのプロトタイプとなった実景観察にも連れて行っていただきましたが、それに関しては項を改めたいと考えております。

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▲今回のイベントで大きな役割を果たした「軽便おばさん」こと安部さん(左)と出口さん(同・会長)。

 今回は、地元において沼尻軽便鉄道を後世に伝える一連の運動の中心人物として親しまれている安部なかさん(写真左・「沼尻鉱山と軽便鉄道を語り継ぐ会」事務局)や同会会長出口さんをはじめ、地元の皆様ならびに「軽便モジュール倶楽部」の皆様には大変お世話になりました。この場を借りてお礼申し上げます。

2008年4月   

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