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2007年05月09日
お疲れ様、くりでん その3 〔鉄道訪問記〕
こんにちは、副編まるはねです。廃止直前に訪問したくりはら田園鉄道のレポートの続きです。今回は保存車を含めた車輌たちについてと、あと大変貴重だった腕木式信号機についてお送りします。まずは現役車輌についてから…。
富士重工製の軽快気動車で、本鉄道の主力車。全長は16.5m、車内はセミクロスシート。鉱山を意識してカンテラ風にデザイン処理された前灯がワンポイントとなっていました。車体側面に1輌ずつ異なる楕円形のイラストプレートが付けられていたのも特徴。またKD952が「Oh! バンデス号」とされていたのは第一回の時にも触れました。ちなみに形式名の95は製造年を表します(「KD」については言わずもがなですね)。



イラストプレートに描かれたシンボルマークは、KD951=白鳥、KD952=野菊、KD953=栗駒山と馬。
2軸の富士重工製レールバスで、元名鉄からの譲渡車。11と12の2輌が常にペアを組んで朝の通学列車に使用されていましたが、近年は生徒数の減少でその運用もKD95に取って代わられ、ほとんど動くことがなかったようです。しかしなんでも廃止直前の2日間、1往復ずつ運用についたとか。ちょっと見てみたかったですね。形式名の10は名鉄時代の形式名キハ10から持ってきていると思われます。
DB101
KD12の影になってボンネットの先しか見えませんが、2軸の半キャブ型10tDLで、電鉄時代以来の生え抜き。かつては石越・細倉での貨車入換に使用され、近年は工事列車及び構内での車輌入換に活躍。最後の2年は車籍を失って機械扱いとなっていたようです。
以下は保存車で、ED以外は若柳駅に保存留置されていたものです。
元は日本車輌製の福島交通モハ5318・5319で、1991年に入線。間もなく内燃化されたので栗原での活躍期間は短いものでした。M182は自転車置き場に隣接して留置されており、車内にレンタサイクル (?) が置かれていたのはちょっとびっくり。ちなみに栗原電鉄時代の形式名は、電動車=M、制御車=Cで始まり、次の2桁は全長を表します。すなわち本車の全長は18m級です。M182の横の木造有蓋貨車はワフ74と思われ、また見えないですがト10形も連結して置かれていました。
1955年に3輌が製造された、地方私鉄としては画期的な新車でした。メーカーはナニワ工機。形式名からわかるように全長は15m級、バス窓の側面デザインもまとまりが良いものでした。KD10形の後ろになって見えない位置に保存されているのがM151のはずです。最後のもう1輌、M152は石越駅近くのチャチャワールドいしこしに保存されているとか。
M153と同系ボディを持つ制御車。こちらは新造ではなく古い木造車の車体更新的な成り立ちでした。車体更新の担当は西武所沢工場です。運転台が片側にしかないのはいいとして、連結面が非貫通(切り妻で3枚窓)というのがちょっと他に例の少ない形態だったと思います。僚車のC152はM152と同じ場所に保存とのこと。
前述のM182・183と形式こそ同じながら全く成り立ち・外観が異なる1輌。元は古い木造車を、西武所沢工場にて近代的な湘南顔のボディに載せ換えたもので、長いこと随一の大型車として重宝されました。現車は色あせた水色のような異色の塗装となっていますが、電鉄最晩年に運行されたイベント列車の塗装のままだったようです。
以上の電車たちはいずれも本線とつながったレール上に載っていました。なんとか良い方向で今後も保存されると良いのですが…。
こちらは細倉マインパーク前駅にて完全に途切れたレール上に保存されています。EDはナロー時代に誕生し、その後改軌されたという成り立ちからやけにガニマタなプロポーションが特徴の凸電。中日本重工(現三菱重工)製で同形式は3輌在籍しました。ワフは典型的な私鉄木造ワフの形態を持つもの。最短とはいえちゃんと編成の形態で保存されている点に価値があると思います。駅はなくなっても末永く保存されることを祈りたいものです。
さて最後になりましたが、今回のくりでん訪問で最も印象に残ったのが現役の腕木式信号機とタブレット方式でした。何年ぶりかなぁ、こうやって生きている腕木に会ったのは…。隣駅と電話でやりとりがあって、その後駅員さんが梃子で操作するとカコーンという思いのほか大きな音で腕木が転換。列車が入線するとまず腕木を赤に戻し、運転士さんからタブレットを受け取って対向列車の運転士さんとタブレット交換、また取って返して最初の列車に別のタブレットを渡す…そんな一連の「仕事」がホームからでも観察でき、「鉄道というシステム」を目で見て理解することができました。ちょうどNゲージの世界ではTOMIXより実際に作動可能な腕木式信号機が発売されたばかり。あの製品に対して「なんで列車と連動せず手動で操作しなければならないのか」という声がありましたが、実際のシステムを見れば、「手動だからこそ実物と同じで面白い」ということがよくわかります。しかし実物の世界においてはこのくりでんの廃止によって本当に絶滅間近。2007年というこの年に、生きているこれらを見ることができただけでも大変貴重な体験でした。いつか自分のレイアウトに腕木式信号機を組み込む時、私は絶対にくりでんのことを思い出すでしょう。

いつまでも心にあれ、くりでん!
P:まるはね(2007.3.23撮影)
参考文献:『ローカル私鉄車輌20年東日本編』寺田裕一著・JTB刊
『サヨナラ! くりでん』エムジー・コーポレーション刊
投稿者 まるはね : 2007年05月09日 22:41

