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2006年10月30日
映画『地下鉄(メトロ)に乗って』 〔身辺雑記〕
こんにちは、副編まるはねです。さて、浅田次郎氏原作の小説『地下鉄(メトロ)に乗って』が映画化され、去る10月21日よりロードショー公開されています。東京メトロの協力によって当時の地下鉄がリアルに再現されているとの触れ込みもあって早速観てきました。
ストーリーは基本的にタイムスリップファンタジーもの。父を憎んで生きてきた主人公・真次が、地下鉄を媒介としたタイムスリップにより過去に立ち返り、若く別人のようだった父に巡り合い、本当の姿を知る。と同時にある一つの悲しい別れも訪れる…というもの。原作を読んで大泣きした自分としては(『鉄道員(ぽっぽや)』でもそうだった…)、かなり期待して劇場に向かいました。

映画もストーリーとしてはかなり忠実に原作をなぞっており、メインキャストとなる4人も的確な配役でしっかり楽しめました。特に映画前半のハイライト、最初のタイムスリップで真次が昭和39年の新中野に降り立つシーンでは、東京オリンピックを目前に高度成長を駆け抜けた活気ある東京の街並が再現されて一見の価値があります。真次役の堤 真一は『ALWAYS 三丁目の夕日』にも出演しており、このところ昭和30年代づいている感がありますね。
肝心の地下鉄の登場は、現代のシーン以外では意外に少なく、まず1点がファンの間で話題となった丸ノ内線の300形風に見せた5000系が登場するシーン。最初は「どーなのよ、それって」と思っていたのですが、トンネルからライトの光が飛び出してくるシーンは確かに面影を感じさせるものがあります。それによく見るとサインカーブはシート的な薄い表現ではなくちゃんと金属薄板を貼っているようだったし、アルミサッシ部分も含めて全面赤色とするなど結構徹底した「300形化」が行なわれていました。この5000系ですら引退が近いのですから、今のタイミングで映画が出来たのは幸いだったのかもしれません。以降の車輌で300形に化かせられる形式はさずがに無さそうですからね…。
もう1点は戦時中のシーンでリベットだらけの1000形が駅に進入してくるところ。うー、これはあからさまにCGアニメって感じでちょっと残念。ただし車内の様子はひょっとしたら地下鉄博物館の保存車で撮影したのかちゃんと見られるものでした。駅進入時などに室内灯が消えて代わりに補助灯が明滅するところなどは映画でも緊迫感を出す演出として効果的に使われていました。
ストーリー的には残念な点が1つあり、原作で随一のアクションシーンである終戦直後の銀座での進駐軍物資横流しのシーンが別のシーンに差し替えられていたところ。さすがに往時の銀座を再現するのは大変だったのかな…? また、真次のトラウマとなっている兄の地下鉄自殺が自動車事故になっていたのも…そりゃ東京メトロ協力なんだからしょうがないですね。
全体的には地下鉄空間の持つ不思議さ(時間・時代・場所・方角が不明確で、出口の階段を上るとひょっとして別の空間が広がっているのではという)が映像においてもよく表現された佳作です。でも本当に地下鉄好きなら是非原作もお読みになることをオススメします。先に述べたような映像化の限界とは無縁で縦横に想像力を掻き立てられますし、何より原作・浅田氏の勤め人時代の経験を活かしたと言われる該博な地下鉄トリビアが随所に散りばめられていて、楽しめること請け合いですよ。
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投稿者 まるはね : 2006年10月30日 19:51

