鉄道ホビダス

石山に残る小型木造庫。

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▲さながら小レイアウト上のストラクチャーのような小型木造矩形庫。かつてはどこにでも見られたこのような建造物も、今や風前の灯。“そのうち”ではなく“今”記録しておくことこそ肝要。'09.8.15 石山
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東海道本線石山といえば、京阪石山坂本線との接続駅であるとともに、かつては東洋レーヨン専用線のポーターCタンク(現在「加悦SL広場」で保存)や日本電気硝子専用線のホイットカムなど、個性的なスイッチャーたちに彩られた専用線群でも知られていました。残念ながら一昨年の日本電気硝子専用線廃止でかつての賑わいはどこへやら、現在では構内に貨車の姿を認めることさえできませんが、往時を彷彿させる魅力的なストラクチャーが残っていると知り、先日立ち寄ってみました。

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▲石山駅構内から緩い曲線を描いて伸びる専用線。画面奥が石山駅旅客ホーム(左)。屋根上には煙出しの煙突と換気扇が見える(右)。'09.8.15 石山
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情報源は本誌トワイライトゾ~ンに森田利成さんがお寄せくださった記事。今年3月14日のダイヤ改正で日本電気硝子専用線への分岐器が取り外されてしまい、ついに専用線が孤立してしまったが、スイッチャー小屋だけはまだ残されている…という報告でした。周囲の近代化からそこだけ取り残されたような木造の小型車庫は模型心をくすぐる趣深いものです。

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▲庫の横をすり抜けた線路はすぐに一般道を横切って工場内へと入ってゆく。'09.8.15 石山
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石山駅の北口は京阪との接続で賑わう南口とは打って変わって、まるで日本電気の専用出口のような雰囲気で、階段を下りてこれまた企業専用駐輪場の脇を左に進んでゆくと、その名も「側線門」という専用線入口に至ります。この手前、JRの構内側にお目当ての木造矩形庫が残されていました。残念ながら敷地内のため近付くことはできませんが、外から観察するに全長は10mほどでしょうか、屋根に煙出しのような煙突と古めかしい換気扇を備えていることから見ても、かなりの年代ものに見受けられます。

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▲一般道を横切った線路はその名も“側線門”をくぐって工場内へ。なお、社名はNECセミコンダクターズ関西㈱に変わっている。'09.8.15 石山
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資料によれば、この庫には古くはホイットカム製の10t機が、その後は伊予鉄道からやってきたDB3が収まっていたはずです。近年は日本輸送機がOEM生産した三菱製15t機が活躍していたようですが、残念ながら私はそのいずれも実見することはかないませんでした。
車輌の姿はなくとも、こんなささやかなストラクチャーからも夢は広がります。ただ、「ここにあるスイッチャ-小屋もそのうち壊されるのではないでしょうか」と森田さんが結ばれているように、このささやかな庫も遠からずその姿を消してしまうに違いありません。

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