鉄道ホビダス

日本鉄道保存協会2009年総会。(上)

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▲総会を前に東武博物館リニューアルオープン後の人気展示5700系を見学。復元の経緯のみならず、その理想的な保存展示方法が参加加盟団体の関心を呼んでいた。'09.10.1 東武博物館
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19年目を迎えた日本鉄道保存協会の年次総会が東京・東向島の東武博物館を会場に開催されました。日本鉄道保存協会は歴史的鉄道車輌や構造物、建物等を保存している団体が集い、情報を交換するとともに将来にわたる保存・活用を推進することを目的として設立された任意団体で、現在、JR各社をはじめとした鉄道事業者はもとより、北は遠軽町(旧丸瀬布町)から南は屋久島町まで33団体が加盟しております。

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▲モハ5701車内で花上館長の解説に耳を傾ける参加者たち(左)。右は新たに展示に加わった“ネコひげ”復元用の先頭部金型。'09.10.1 東武博物館
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今回の総会はこの7月にリニューアルオープンしたばかりの東武博物館(アーカイブ「東武博物館がリニューアルオープン」参照)のホールをお借りして行われました。総会に先だち、同博物館の花上館長のご案内でリニューアル後の最大の見所とも言える“ネコひげ”ことモハ5701とED101を見学、その理想的な保存・展示方法に参加者からも賞賛の声があがっていました。

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▲もうひとつの目玉展示、1928(昭和3)年英国イングリッシュ・エレクトリック製のED101にはゴードンさんらも大興奮。ディッカーの銘板を前にご満悦。'09.10.1 東武博物館
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ゲストとして来日されているゴードン・ラシュトンさんはナローゲージの電気機関車が何よりもお好きとのことで、お国のイングリッシュ・エレクトリック製の“ナロー電機”ED101には大興奮。花上館長のおはからいで特別に入れてもらった運転席に座り、英国式に背筋を伸ばしてエンジニア・ポーズをとり、記念撮影に興じておられました。

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▲午後からはいよいよ総会議事が始まった。会場は東武博物館の素晴らしいホールで、昨年に続いて司会進行は私が務めさせていただいた。'09.10.1 東武博物館 P:木村一博

総会ではこれまで代表幹事団体を務めていた財団法人交通文化振興財団が、東京・神田の交通博物館の残務処理終了にともなって大阪(交通科学博物館)に移転するため、新たに財団法人交通協力会(東京・千代田区)を代表幹事団体とするとともに、新しい公益法人制度を利用し、早い時期に一般社団法人化することが決議されました。

091004n008.jpg続いて観光庁の和田浩一観光資源課長による記念講演「観光立国の取り組み」が行われました。折りしもこの日、10月1日は国土交通省内に観光庁が設立されてちょうど一年目にあたります。2006(平成18)年12月に観光立国推進基本計画が策定されて以後、わが国は2010(平成22)年までに海外からの来日観光客を1000万人/年に増やすべく“VISIT JAPAN CAMPAIGN”をはじめとするさまざまな施策を講じてきましたが、国外のみならず、国内の観光資源の掘り起こしも、地域活性化と少子高齢化時代の経済活性化の切り札として積極的に取り組んでおられる現状が披露されました。鉄道を題材とした観光地域創りの例として、参加団体でもある若桜町が取り上げられ、今後は観光庁が軸となった産学官の連携強化も重要との認識を示されました。
▲観光庁の和田観光資源課長による講演「観光立国の取り組み」。終了後には参加団体からの熱心な質問があいついだ。'09.10.1 東武博物館
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091004n009.jpg恒例となったシンポジウムでは、陸別町商工会(りくべつ鉄道)小田専務理事、若桜鉄道沿線活性化協議会・若桜町自立政策課竹本係長、片上鉄道保存会森岡代表がそれぞれの取り組みを報告、コメンテーターとして顧問の堤 一郎先生が登壇いたしました。保存鉄道というカテゴリーが存在しない法令の狭間での苦悩や、資金の確保、それにマンパワーの問題と、決して他所事ではない報告に、会場の参加団体を交えて熱心な討議が続きました。
▲シンポジウムでは加盟3団体による事例報告が行われた。それぞれのフィールドでの取り組みがパワーポイントを駆使して披露され、続いて問題提起がなされた。'09.10.1 東武博物館
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▲会場を錦糸町の東武ホテルに移してゴードンさんによる特別プレゼンテーション「フェスティニオグ鉄道とウェルシュ・ハイランド鉄道」が行われた。次々と披露される支援の厚みに驚嘆の声があがった。'09.10.1 東武ホテルレバント東京

会場を懇親会が行われる錦糸町の東武ホテルレバント東京に移し、ゴードン・ラシュトンさんによる特別講演「フェスティニオグ鉄道とウェルシュ・ハイランド鉄道」が行われました。ゴードン・ラシュトンさんは英国屈指の保存鉄道、ウェールズのフェスティニオグ鉄道の元総支配人で、現在は英国鉄道保存協会で活躍されておられます。フェスティニオグ鉄道は1832年の開業で、ゲージは1フィート11 インチ半(600㎜)。現存する営業鉄道としては世界最古のものです。1946(昭和21)年に廃止されたものの、保存鉄道として復活、現在は実に6000名のメンバーによって運営されているそうです。

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▲参加者全員揃ってエントランスホールで記念撮影。今年の総会では東武博物館の全面的なご支援をいただいた。'09.10.1 東武博物館 P:山崎友也

しかも訪問者数は年間18万人、収入は何と3億円にのぼるとのことで、パワーポイントの画面を見つめる参加者からは大きな溜息が漏れていました。1937(昭和12)年に廃止されたお隣のウェルシュ・ハイランド鉄道の復活も進めており、今年、ついにこの両者を接続することがかない、ウェールズ地方に一大保存鉄道ネットワークが完成しました。このように順風満帆に進んできたかに見えるゴードンさんらの活動ですが、今回のプレゼンテーションで沿線住民への説明や行政の説得などたいへんなご苦労があったことが知れ、加盟団体にとっても大きな参考となったはずです。

ちなみにこのフェスティニオグ鉄道、スペルは“Ffestiniog”で、発音がきわめて難しく、ゴードンさんにマンツーマンで教えを請いましたが、なかなかOKをもらえませんでした。

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