鉄道ホビダス

『国鉄時代』vol.17は「北の9600、南の9600」。

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▲キャビネ判のトヨフィールドで捉えた石北本線・名寄本線の9600たち。その鮮明な画質が圧巻。P:高橋和男
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3月21日発売の『国鉄時代』vol.17は「北の9600、南の9600」と題して、北海道と九州の9600を中心に構成いたしました。大正生まれ老雄はその牛のような外観のごとく、地道に粘り強く生き抜いて、結局、現役蒸機最後の形式となったのはご存知のとおりです。四国を除く全国で活躍した9600ですが、昭和40年代半ばになると、米坂・長井線、川越・八高線、宮津線と本州内では活躍の場が極端に狭まり、退勢いかんともしがたい状況となりますが、北海道では道北の主力機として、また九州では筑豊の主としてまだまだ矍鑠としていました。今回の特集の中心は蒸機末期の頃の愛すべき老兵の姿です。

kokutetujidai17n002.jpg巻頭の「さいはての老兵」は宗谷本線、名寄本線、石北本線、深名線、天北線、湧網線など道北から道東にかけての冬の9600を、6人の方々の思い出とともにワイドに展開。特に、冒頭の高橋和男さんが撮影したキャビネ判フィルムの限りなくシャープな味は感動的です。トヨフィールド2台にサブカメラのローライフレックス1台を担いで全国の蒸機を撮影された高橋さん、これからも多くの作品を発表していただけることと思います。昭和40年代初頭の稚内・名寄の美しい9600に感動し、追い求めた水木義明さん、学生時代の若き日を振り返った都築雅人さん、牧 和也さん、向山賢一郎さん、多田真也太さん、それぞれの心の中で今も走り続ける9600は、C62やC57にはない親しみに溢れています。

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▲現在では北海道遺産に指定されている音更川のコンクリート橋をゆく士幌線の9600。池田区の9600は池田~陸別間の1往復の貨物のみを受け持って晩年を迎えた。P:渡辺拓夫
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ベテランの齋藤 晃さんの「二つ目キューロクを追って」は、比較的作品が残されていない胆振線が舞台。倶知安機関区の二つ目を車で追いかけて長流川渓谷から羊蹄山麓に至る美しい沿線を辿ります。渡辺拓夫さん「さらば十勝の老雄」では士幌線の更別川渓谷で奮闘する9600の姿を、寺田牧夫さんの「Sの残像」ではキャブの裾が優雅にS字を描いた一次型2輌、日曹炭礦の9615と大夕張のNO.7の憧れを、三宅好文さんの「五月の空に消えた煙」では湧網線の9600の最晩年の姿を語っていただきました。

kokutetujidai17n004.jpgさて、長寿機が多いだけにさまざまな改造や装備の追加が見られ、細部まで見ると各機個性に溢れた9600ですが、中でも「変型機」の一群に焦点を当てた、ベテラン佐竹保雄さんの「変型機の構図」では,右運転台、煙突脇の小デフ付き、本省式給水温メ器をフロントに置いたものなどユニークな面々が顔を並べます。なかでも昭和30年代初頭、日豊本線で活躍した鹿児島機関区の9600は、巨大な敦賀式集煙装置を装備した異色機中の異色機、写真がほとんど残されていないだけに貴重な一枚です。それぞれの写真に研究家・関 崇博さんに解説を加えていただきました。
▲「サンパチ豪雪」で知られる昭和38年2月、九州・阿蘇も大雪に見舞われた。雪景色の外輪山を宮地区の9600がよじ登る。P:中村弘之
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一方、南といえば「志布志・古江線管理所」の9600が最南端の配置。林 嶢さんが都城で巡り合った9600の写真はC58に置き換わる半月前のものでした。南の9600の見せ場は何といっても豊肥本線阿蘇外輪山越えが筆頭でしょう。宮地機関区のあった昭和39年までは瀬田で後補機を連結、同機関区廃止後は熊本から重連で33‰に挑んでいった勇壮な姿を、地元・熊本にお住まいの中村弘之さんのアルバムから振り返ります。また、蒸機王国筑豊の落日とともに消えた9600の姿を捉えた谷口孝志さんの「筑豊に生きる」、筑後山地の小さな峠の光景を綴っていただいた松本 崇さんの「唐津線 笹原峠」など、印象深い記事が並びます。

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本州では、丹後半島の風光とともに9600の姿を林 嶢さんの「宮津線への招待」が、心に残る作品です。
一般記事では、高橋 弘さんの蒸機時代の東海道本線「関ヶ原越え」、C57がシラス台地の急勾配に挑む田中敏一さんの「霧島越えの印象」では、華々しい蒸機の舞台が今に甦ります。C51が行き交った時代の草津線を中心にした三橋 亘さんの「蒸機を追って草津から甲賀の里へ」は昭和30年代ののんびりとしたカメラハイクの思い出で綴られていますが写真には、C51、C57、C11の他にC62 4の牽引する「鳥羽快速」の貴重な記録もあります。
▲朝靄に包まれた多久盆地を見下ろす築堤。朝一番の791レを牽引する69610が冷気を切り裂くようなドラフトを吹き上げ峠に向かう。'69.11.4 多久-厳木 P:松本 崇
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さて、本年3月改正より昼間の貨物列車が復活EF64 1000番代の活躍が期待できる上越線ですが、国鉄時代のEF64 1000の活躍を捉えた「上越国境を越えるEF64 1000」。永井美智雄さん、三上泰彦さん、渡邉健志さん3人の作品に登場する同機は、登場からまだ年月を経ていない「初々しい」姿。考えてみれば同機も今年で登場28年、時代を感じさせます。また、来る4月25日から肥薩線「川線」で運転を開始する「SL人吉号」。再度復活を果たした58654は、現在元気に練習運転を行なっています。「川線」もともと8620に縁のある路線で、現役時代の8620の姿を地元の福井 弘さんにご発表いただきました。
特別付録DVDは宮内明朗さんの「老雄健在なりき 昭和30~40年代の9600」、三品勝暉さんの「晩秋 五稜郭のD52」、瀧藤岩雄さんの「南九州の美しい蒸機たち」の3本立て合計75分です。

※名古屋で開催される「鉄道フェスティバル2009inなごや」に出張のため、小ブログは22日まで休載とさせていただきます。あしからずご了承ください。なお、21日(土曜日)14時からは同フェスティバルで私のトークショー(→こちら)を行ないます。また、明日20日(金曜日)15時17分からはNHKラジオ(第一)「鉄道とっておき話」を担当いたします(→こちら)。今回は休日とあって特別枠で10分の生放送。小倉沙耶さんの中継を交えてお伝えいたします。

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