鉄道ホビダス

名残の「門デフ」C57を撮る。(下)

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▲喜多方をあとに残雪の磐梯山をバックに慶徳峠へとダッシュする。光線状態から列車側面がつぶれるのは覚悟のうえで、この第一舞台田踏切(18.146km地点)北側にポジションを決めた。想像以上に煙があがり、もう少しで磐梯山のピークが隠れてしまうところだった。ちなみに背後には大きな工場建屋があるが、この位置まで列車を引きつけることで機関車の陰に隠している。'09.3.18 喜多方?山都 試8233レ(PENTAX K20D DA55-300㎜F4-5.8ED/135㎜ 1/1000 f4.5 AWB)
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基本的に走行写真、ことに煙の動きに左右される蒸気機関車の撮影には三脚を使わない主義ですので、今回もすべて手持ちでの撮影です。上の作例は喜多方を発車、濁川橋梁を渡って慶徳隧道への11.4‰を登りはじめた試8233レで、第一舞台田踏切北側からの撮影です。列車全体に陽が当たるのは南側で、多くの皆さんは南側にポジションを構えておられましたが、バックの磐梯山の山容に惹かれてあえて北側を選択しました。

090320n005雲ひとつない好天に恵まれましたので、シャッター優先で安心して1/1000を選ぶことができました。たまたま同じ場所に三脚を立てていた知り合いの方から、良く手持ちで撮れますね…と声を掛けられましたが、こういった何回もシャッターチャンスがあると“錯覚”しがちなポジションの場合、意思が揺らぐと当初のフレーミングを崩して列車の動きを追いながら何枚もシャッターを切ってしまいがちです。最初にベストポジションと確信した場所に列車を引きつけるまで、煙の動きだけを注視して欲をかかないのが肝要です。

▲せっかくの門デフも真っ正面では意味がないが、正面がちでも多少角度をつけるとその存在感が際立つ。かつてC57 11でこういった角度の作品を見たことがあり、その現代版を狙った。DA55-300㎜は見事にピントの芯を捉えている。'09.3.18 鹿瀬?日出谷 試8226レ(PENTAX K20D DA55-300㎜F4-5.8ED/135㎜ 1/1000 f4.5 AWB)
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▲さすがに3月中旬とあって、戻しの試8233レが福島・新潟県境を越える頃には山陰が広がってしまう。有名な日出谷の橋梁も残念ながらすっかり山陰に入ってしまっていた。そこで後追いを狙ってみたが、とりたててどうということのない写真となってしまった。ちなみにこれもロッドの位置を気にしながらの一発切りだが、被写体の位置的には、もう動輪4分の1回転分手前で切りたかったところ。'09.3.18 日出谷?鹿瀬 試8233レ(PENTAX K20D DA55-300㎜F4-5.8ED/55㎜ 1/750 f4 AWB)
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同様にモータードライブに頼り過ぎるのも考えものです。私は基本的に一発切り主義(?)でモードラは使いませんが、モードラで連写された結果を拝見するに、えてしてベストポジションだけが切れていない悲劇が起こりがちです。動輪の回転とシンクロしてしまい、どのカットもメインロッド+サイドロッドが一直線…などという泣くに泣けない例もあります。

090320n002最近ではとんと耳にしなくなりましたが、かつてのいわゆる“SLブーム”の頃は「よるたの」という言葉がありました。「夜も楽しく」から夜間撮影を指す用語として広まったものです。日没後は食事を済ませて夜行列車を待つくらいしか術がなかったところ、増感現像などで夜間撮影を楽しもうという時代のトレンドでした。トライXパンをパンドールなどの増感現像液を使って自家現像するのも流行し、とりわけC62重連下り「ニセコ」の倶知安発車などは「よるたの」の三脚が林立したものです。
▲とっぷりと暮れた五泉を発車する試8233レ。対向列車待ちの1分停だが、結構な迫力での発車シーンだった。構内に補助光はまったくないが、こんな条件でもそれなりに撮れてしまうのがデジタルの有り難さ。ただし、前照灯に幻惑されてAFが合焦しないトラブルも…。“置きピン”にしておけばよかったと反省しきり。'09.3.18 五泉 試8233レ(PENTAX K20D DA17-70㎜F4AL SDM/48㎜ 1/6 f4 AWB)
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▲ラストは宵闇を切り裂く門デフのイメージカットを…と欲張ったが、結果はご覧のとおり。'09.3.18 五泉 試8233レ(PENTAX K20D DA17-70㎜F4AL SDM/21㎜ 1S f4 AWB)
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ひるがえって今日、デジタル機材の普及とともに、「よるたの」は特殊な現像処理も、場合によっては三脚さえも必要なく気軽にトライできるものとなりました。今回はご覧のように惨憺たる結果となってしまいましたが、ある面では日没後の蒸機ほど表情豊かなものもなく、ぜひまたトライしてみたいものです。

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