鉄道ホビダス

最古の桟橋ナロー Hythe Pier Railway。(中)

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▲遥か洋上に続くピアを行く列車。軌道は桟橋の南側に敷設されており、北側は歩道となっている。歩く分には無料で、見ていると散歩する人も少なくない。なかには犬の散歩をする御仁も…。'08.10.23
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手押しトロリーで始まったこのハイス・ピア鉄道に動力車が導入されたのは今から87年前の1922(大正11)年のことでした。その経緯は定かではありませんが、なぜか一気に「電化」され、3輌の電気機関車が就役することとなります。

Hythe019.jpgその機関車が現在でも“現役”として使用されているのだから驚きです。しかもこの面妖な形態の電気機関車、その出自はなんと第一次世界大戦時にエィボンマゥス(Avonmouth)マスタード・ガス工廠で使用されていたものだそうで、さらに驚いたことには元々は蓄電池機関車だったのです。ハイス入りにあたって第三軌条集電式の電気機関車に改造されています。メーカーは英国国鉄の制式機も数多く手がけているイングランド中央部に居を構える老舗BRUSH(現BRUSH TRACTION/1865年創業)です。
▲車庫前で休む予備機。機番標記はないが、運用中の個体と形態的にはほぼ同一。それにしても蛸のような丸屋根が不気味…。'08.10.23
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▲桟橋突端のフェリー乗り場で発車を待つ機関車。編成は岸側から機関車+客車2輌+制御客車1輌+無蓋貨車1輌の“ペンデルツーク”で、フェリー乗り場に向かう列車は制御客車でコントロールされる。'08.10.23
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▲何とも奇怪な1エンド(?)側前面(左)と、救助用の浮き輪が備えられた2エンド(?)側。葛篭状の箱はいったい何だろうか…。'08.10.23
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特徴的なのは制御客車によって機関車を遠隔操縦できるいわば“ペンデルツーク”運転となっていることで、桟橋突端のフェリー乗り場へ向かう時は制御客車に運転手が乗り込み、最後部の電気機関車をコントロールする形となります。

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▲海側(南側)に敷設された第三軌条(200V)と集電靴(左)。えらく華奢なコレクターシューである。右は軸受部で、どうやらリジッドなサスペンションレスの下回り上のコイルバネに上回りが載っているらしい。'08.10.23
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▲キャブ床上にデンと置かれた主電動機(左)。メーカー・Brushの陽刻が見える。コントローラー(右)もえらく小ぶりなもの。こちらにもしっかりと銘板が付いている。'08.10.23
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▲連結面(左)とキャブ内全景(右)。連結器はプリミティブなリンク式で、客車側には板バネを用いた簡単なバンパーが備わる。運転機器はコントローラーと手ブレーキハンドル程度で実に簡素。乗務員は歩道側に横向きで座る形となる。'08.10.23
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客車はDrewry Car Company製の木造ボギー車で、これまた1922年当時に導入されたものを後生大事に使い続けています。合計4輌のうち2輌は3つのコンパートメント(各6人定員)を持つトレーラー客車、2輌は2つのコンパートメント(6人定員+8人定員)と運転室を持つ制御客車となっています。

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▲対岸のサウザンプトンからフェリーが到着。乗り換えた客を乗せてピア・トレインがハイスの町を目指す。'08.10.23
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現在は機関車、客車ともにグリーンに塗られていますが、1997(平成9)年以前はブルー+ホワイトのデュオトーンに、それ以降はレッド+ホワイトに塗り分けられていたそうです。歴史的なオリジナルとされる深いグリーンに戻されたのはつい最近、2004(平成16)年のことで、ヘリテージ・レイルウェイとしての再認識をアピールしてのことだったようです。

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