鉄道ホビダス

最古の桟橋ナロー Hythe Pier Railway。(下) 動画付き

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▲120年以上前に構築されたというピアは現代的感覚からすると恐ろしく華奢に見える。当然のことながらこれまでに幾度となく災害に見舞われてきた。桟橋上を行くのは岸へ向かう列車。'08.10.23 
※下記リンクよりこのシーンの動画がご覧になれます。
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ロンドン市内から2時間あまり…というものの、実はサウザンプトンのインターチェンジで高速M3からM27号線西行きに入るべきところを東行きのポーツマス方面に進んでしまい、とんだロスタイムを生じてしまいました。しかもしばらく気づかず、どうも周囲が見た記憶のある風景…なんと、かつて訪れたハンプシャー・ナローゲージ・ソサエティーのバーゼルドゥン・ブリックワークス(Bursledon Brickworks→こちら)付近ではないですか。結局このミスコースでハイスの町にたどり着いたのはお昼近くになってしまっていました。

Hythe042.jpgいかにもなイングランドのワインディング・ロードを“FERRY”のサインに従って海岸へと下ってゆくと、ピア・トレインの乗り場には拍子抜けするほど小さな事務所兼切符売場の建物があるだけでした。ただ、付近には町の規模には不釣合いなほど広い駐車場があり、この駐車場が“パーク&ライド”(?)用でした。ハイスのみならず、ソレント海峡沿いの多くの町村からハイス・フェリーを使ってサウザンプトンへ往来する需要が如何に多いかがうかがい知れます。しかもフェリーは6時10分ハイス発から23時サウザンプトン発まできっかり30分ヘッド。これにあわせてピア・トレインも動いているのですから、そのフリークェンシーの高さや恐るべきものがあります。
▲ハイス・フェリーとピア・トレインの案内リーフレット。時刻表を見ればそのフリークェンシーの高さがわかろう。'08.10.23
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▲3コンパートメントに分けられた客車の室内。3人掛けの木製ベンチをはじめ車内は落ち着いたニス塗りとなっている。'08.10.23
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▲運転手は往復のたびに機関車と制御客車の間を行ったり来たりせねばならない。風雨の時は結構たいへんそう。右は客室内に掲げられたギネス・レコードの表示。現役の実用桟橋鉄道としては世界最古…と記されている。'08.10.23
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▲平日の昼間でも結構な数のお客さんがフェリー+ピア・トレインを利用している。ハイスの住民にとってこの2フーターは代々続く生活の一部なのだ。'08.10.23
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Hythe017.jpg事務所兼切符売場にはおばさんが一人。特に運行管理を行っているようにも見えず、しかもほとんどのお客さんはホーム上の自動販売機でチケットを購入するため、なんとも手持ち無沙汰に見えます。ツナギを着込んだ運転手にあれこれ伺っていると、「そうか日本からわざわざ来たのか。俺の自家用車はホンダ、バイクはスズキで、日本車は良いぞ!」と妙なところで喜ばれてしまいました。ちなみに「私の愛車は1964年式のオースチンで、英国車は良いぞ!」と切り返すと絶句してしまっていましたが…。
▲全線通して分岐器は2箇所しかない。岸側ホーム手前で分岐した側線は隣接する工場へと入る。'08.10.23
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▲お願いして中に入れてもらった工場。工場といっても個人宅のガレージのようなもの。ちょうど制御客車が修理中だったが、木部の張替えなど見ているとさながら日曜大工。'08.10.23
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Hythe022.jpg第三軌条のため構内(…というほどの規模ではありませんが)への立ち入りは厳重に規制されていますが、わざわざ日本から来たのなら、というわけで工場建屋内を案内していただきました。工場設備そのものもたいへん由緒あるものだそうで、プーリー・ベルトを用いた工作機械類をはじめ、英国伝統のバックヤード・ビルダーを垣間見るような光景が広がっていました。折りしも制御客車の整備が行なわれていましたが、まさに現物合わせの手作業で、こうやって80年以上にもわたってピア・トレインが護られてきたのかと思うと感無量の思いでした。
▲岸側の車止め。気休め程度のバッファーが付く。'08.10.23
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▲制御客車の前にこのようなタンク車が連結されることもある。これはフェリーの燃料輸送のためだそうで、タンクには1500?のディーゼル燃料が搭載されている。'08.10.23
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Hythe032.jpgハイス・ピア鉄道の魅力は、なんと言ってもこの鉄道が保存鉄道ではなく、今もって実用鉄道として機能していることにあります。87年間にわたってその姿を変えることなく、しかも一年365日、早朝から深夜まで運転されているのですから、文字通りギネス級であること間違いありません。昼食をはさんでのわずか数時間の訪問ではありましたが、どう見ても前時代的なこんなナローが生き残っていられることが自体、英国の懐の深さなのかも知れません。
▲ハドソン(HUDSON)製を示すタンク車の軸受。締結ボルトが真新しいが、こうやって何十年にもわたって大事に使われてきているのだろう。'08.10.23
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▲歴史的ハイス桟橋を護ろう…とさまざまな取り組みが行なわれている。10ポンドのドーネーションで1メートルのデッキ床板を新調でき、ドナーの名前が永遠に登録されるとのこと。'08.10.23
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では最後にハンディカムで撮ってきたハイス・ピア鉄道の動画をご覧ください。なお、ハイス・フェリーのHPトップ画面(→こちら)にはライブカメラ映像があり、あまり鮮明ではないながら、桟橋の“今”が10秒ごとに映し出されています。日本と現地の時差は9時間ですので、現時刻マイナス9時間(たとえば、日本が夜19時であれば現地は当日の朝10時)を念頭に見ると、30分に1回はあの蛸のような機関車が木造客車を牽いて桟橋上を行き来するライブ画像をご覧になれます。

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※上の画像をクリックするとホビダスTV上の動画がご覧になれます。
(Mac OSXの場合は「今日の一枚 The Movie」からご覧ください。→こちら
再生時間=2分36秒
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