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レイトン・バザードの秋。(上)

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▲ロンドンから車で一時間半ほど、レイトン・バザードはイングランド中部の静かな街だ。この地に採砂軌道が敷設されたのは今から90年近くも前のこと。それ以来、住宅街を貫く2フィートの軌道は町の人たちにとっても日常の生活風景の一部となっている。'02.10.23
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先般の日本鉄道保存協会総会に合わせて来日された英国鉄道保存協会会長デビッド・モーガンさんは特別講演(→こちら)の中で、イギリスをはじめとしたヨーロッパ各国には370もの保存鉄道・観光鉄道が存在すると紹介されていましたが、私もメンバーになっている英国ナローゲージ・レイルウェイ・ソサエティーが毎年調査しているアニュアル・レポートによれば、イギリスとアイルランドに現存するナローゲージ鉄道は昨年時点で実に439箇所にも達します。このリストにはBord na Mona(ボード・ナ・モナ→こちら)のように現在も使用されているインダストリアル・ナローはもとより、ミニチュア・レイルウェイ、さらには膨大な数の非公開のプライベート・サイトも細かく記載されており、見ているだけでも改めて英国の“厚み”を思い知ります。

080929n101.jpgさて、そんな英国のナローゲージの保存鉄道というと、世界初の保存鉄道として知られるTalyllyn Railwayをはじめとしたウェールズ地方の数路線がまず思い浮かびますが、ロンドンからさほど遠くないLeighton Buzzard Light Railwayも忘れてはいけない鉄道のひとつです。特産の、いわゆる山砂を採掘運搬するインダストリアル・ナローとして1919(大正8)年に運行を開始したこの路線は、距離こそ約4.8kmと短いものの、現在では60輌あまりの保存車輌を有する、英国屈指の保存2フィートナローです。
▲数ある保有機の中でも主力の1輌が1913(大正2)年製のコッペル機“PC Allen”。コッペルの製造番号別納入台帳である“O&K Dampflokomotiven Lieferverzeichnis 1892-1945”によれば、スペイン向けに出荷された20psのウェルタンク機で、1963(昭和38)年にピーター・アレン卿によって購入されたもの。'02.10.23
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▲モーガンさんの英国鉄道保存協会による主要保存鉄道インデックスに見るレイトン・バザード鉄道の位置。(“UK HERITAGE RAILWAYS”より)  右は最盛期のレイトン・バザード周辺軌道図。国鉄側線に接続するPAGE'S PARKから北上する本線が現在も残されている路線。(“NARROW GAUGE TRACKS IN THE SAND”より)
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ちなみに“Leighton Buzzard”の発音ですが、片仮名の場合、“リートン・バザード”と表記している例もありますが、先日モーガンさんにお聞きしたところでは“レイトン・バザード”の方がより近いようですので、ここではレイトン・バザードと表記することにいたします。

090829n102.jpgレイトン・バザード鉄道は前述のように第一次世界大戦直後にタイルやコンクリート原料の砂を運搬するために敷設されました。最初期はハズウェル・クラーク製のCタンク機を導入したものの、なぜかすぐにモーター・レイル製の内燃機=いわゆるシンプレックスに置き換え、1920(大正9)年からは蒸機を廃止してすべてを内燃機牽引としています。ちなみに、同鉄道のオフィシャル・ガイドブックはこの顛末を捉えて、恒久軌道で内燃機関車を常用したのは“probably”(恐らく)世界初…と高らかに謳っていますが、数多の石油発動車軌道を擁したわが国からすると「ちょっとお待ちを…」と言いたくもなってきます。
▲秋の柔らかい日差しを浴びながらPAGE'S PARKで発車を待つPC Allen。どこか西武山口線を彷彿させるシーンでもある。'02.10.23
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▲かつての採砂場は広大な農場と化して面影はない。甲高い汽笛を響かせてPC Allenの牽く列車がやってきた。'02.10.23
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それにしても、なにゆえこんな変哲のない内陸部の地中から大量の“砂”が採取できるのかは不思議です。いずれにせよ、最盛期には2マイル四方に100輌近いシンプレックスが動きまくっていたのだそうですから、これまた驚きです。

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