鉄道ホビダス

日本鉄道保存協会総会から。(上)

081005n1.jpg
▲2000(平成12)年から2004(平成14)年にかけて保存修理工事が行われ、建設当時(1911年)の姿に復原された丸山変電所。周囲に咲き乱れるコスモスは、“ロクサン”末期にファンや地元の皆さんが植えたもので、今年も可憐な花をつけている。“峠通い”をしたファンにとっては万感迫る光景のはず。'08.10.3
クリックするとポップアップします。

先週、10月2日(木)・3日(金)の両日にわたって、日本鉄道保存協会の年次総会が碓氷峠鉄道文化むらを開催地団体として行われました。今年は英国鉄道保存協会会長・欧州保存・観光鉄道連合議長のデビッド・モーガンさんをスペシャル・ゲストとしてお招きし、これまでにないグローバルな総会となりました。

081005n2.jpg初日は磯部温泉・高台旅館を借り切っての総会。地元安中市の岡田義弘市長も来賓としてお見えになるなど、開催地団体の意気込みがひしひしと伝わってくる幕開けでした。昨年に続いて私が司会進行を務めさせていただいた総会では、定例議事のほか、本年12月から施行される新しい公益法人制度を活用して、日本鉄道保存協会の一般社団法人化を目指すという重要な事業計画も可決され、いよいよ期待の来賓講演へと移りました。
▲わかりやすい統計分析で好評を博した上住国土交通省鉄道局地域鉄道対策室長の講演。'08.10.2
クリックするとポップアップします。

来賓講演の最初は、上住(うえずみ)まり国土交通省鉄道局地域鉄道対策室長による「地域鉄道の現状と活性化に向けた取組み」。参加者のなかには地方鉄道事業者も多いだけに、具体的な統計数字をベースにした分析がパワーポイントで映し出されると、食い入るように見入っている姿が印象的でした。

081005n3.jpg
▲来賓であるモーガンさんの講演は、鉄道発祥の地であるとともに保存鉄道発祥の地でもあるイギリスの現状を写真を交えて説明。わが国の現状とのあまりの差に会場からしばしば溜息が漏れた。右は通訳を務められた交通文化振興財団の菅理事長。'08.10.2

081005n4.jpg紹介された分析の例をあげると、1987(昭和62)年からの20年間での地方鉄道(同期間に廃止・開業等による営業路線の変化がない事業者)72社の輸送人員は約18%減少、鉄軌道部門社員数は約27%減少、平成19年度で鉄軌道業経常収支が黒字だった事業者21社(22%)に対し赤字だった事業者72社(78%)、国交省が目安とする車齢(内燃車11年、電車13年)に対し車齢31年以上の車輌が全体の46%(1203輌)…。第二の“国鉄”を作らないためのひとつのボーダーとされる輸送密度4000人/日キロをベースにした経常収支率によるグループ分けでは、69:32で圧倒的に経営環境が悪い事業者が多い点も明らかにされました。
▲全国から集った地方鉄道や保存鉄道、さらにはボランティアグループなどで満員の総会会場。'08.10.2
クリックするとポップアップします。

081005n5.jpg
▲現地視察から。碓氷峠六号隧道を見学する参加者たち。現在、横川の招魂碑を起点に、この六号隧道入口までの4.8㎞が遊歩道「アプトの道」として公開されているが、2年後にはさらに1.5㎞先の熊ノ平駅跡まで延伸される計画とのこと。'08.10.3
クリックするとポップアップします。

講演ではこれらの環境を踏まえたうえで、地域と一体で鉄道の活性化に取り組んでいるいくつかの事例を取り上げ、さらに「鉄道軌道輸送高度化事業費補助金」(平成20年度予算24億円)や「地域公共交通活性化・再生総合事業費補助」(同30億円)といった国の具体的支援策が紹介されました。

081005n6.jpg講演の第二部はデビッド・モーガンさんによる「英国及び欧州の鉄道保存運動について」。モーガンさんは英国の代表的保存鉄道であるノース・ノーフォーク鉄道およびグレイト・セントラル鉄道の会長、ウェスト・サマセット鉄道の副会長を務め、英国およびアイルランドの保存・観光鉄道の連合体である保存鉄道協会の会長と、欧州保存・観光鉄道連合(FEDECRAIL)の議長も兼任される世界的に著名な鉄道保存のスペシャリストです。
▲現地視察から。第三橋梁とともに国道などからも目につく機会の多い六号隧道だけに、トンネルポータルをはじめ意匠をこらしたものとなっている。よく見ると、なんとトンネル内壁の煉瓦目地も、入口付近のみこのように凝った「山形目地」となっている。'08.10.3
クリックするとポップアップします。

081005n7.jpg
▲現地視察から。六号隧道のポータルに残る隧道引幕のフック。1922(大正10)年の完全無煙化までこの六号隧道にも排煙幕を引く隧道番が詰めていたという。'08.10.3
クリックするとポップアップします。

現在、イギリスをはじめとしたヨーロッパ各国では370もの保存・観光鉄道が存在し、3000輌を超える蒸気機関車、2000輌を超えるその他の機関車、5000輌以上の客車、600箇所以上の駅、170箇所以上の機関庫が保存されているそうで、英国の保存鉄道だけでも年間900万人もの利用があるとの解説には会場から驚きの声が上がっていました。

keihaku-banner3a.jpg

レイル・マガジン

ホビダス・マーケット新着MORE

  • 俺がイル
ネコ・パブリッシングCopyright © 2005-2016 NEKO PUBLISHING CO.,LTD. All right reserved.