鉄道ホビダス

復元された田野口駅を訪ねる。

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▲昔ながらのランプが駅名額に柔らかな光を投げかける。まるで昭和30年代にタイムスリップしたかのような光景。'08.8.23
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映画やテレビで鉄道施設、とりわけ駅設備がロケ地となることの多い昨今、鉄道事業者側も放映後の旅客需要につながることから、積極的に誘致を図る例が少なくありません。なかには“ロケーションサービス”を正面にうたった部門を独立させる例さえ見受けられます。

080905n02.jpgそんななか、古くよりロケ地として知られる大井川鐵道が、昭和初期の駅舎が残る田野口駅を復元・整備したと聞き、先日その内部を拝見する機会を得ました。田野口駅は1931(昭和6)年の開駅。かつては貨物側線を持つ交換駅でしたが、1970(昭和45)年に無人化され、出札室なども封鎖されたままとなってしまっていました。ただその後、手つかずでいわば“封印”されていただけに、駅事務室内には現役時代の調度品がそのまま残されており、一昨年、日本民営鉄道協会の「駅舎等を対象とするロケーション・サービス推進事業」のモデル駅として修復事業が行なわれ、昭和30年代当時の状況に見事に復元されました。
▲ホーム上の駅名標も木製+手書きのものに代えられている。'08.8.23
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▲待合室から改札口を見る。木製の出札窓口と小荷物扱い窓口がまるで“現役”であるかのような錯覚をおこす。'08.8.23
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080905n04.jpgご案内いただいた大井川鐵道の浅原 悟企画・営業部長のお話では、単に鉄道事業者の手によって修復するにとどまらず、この駅を核としてきた地元の皆さんの手によって、清掃はもとより花壇や植栽の手入れなどが積極的に行なわれているそうです。事務所に隣接するかつての倉庫スペースは地域の皆さんの集会所としても活用されており、荒廃しつつあった無人駅がまさに多角的に利活用されはじめているわけです。
▲美しく磨かれた出札口。ガラスは表面が完全な平滑ではなく微妙に波打っているアンチークガラスだ。'08.8.23
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▲駅事務室内も可能な限り復元されている。写真には写っていないが、地元の醤油=キッコーエンの広告入りゴミ箱も復元されている。'08.8.23

“地域住民と守る郷愁の風景”として静岡県知事賞最優秀賞にも輝いたそうで、今後は映画・テレビドラマのロケ地としても広く知られてゆくに違いありません。かつてご紹介した肥薩線一勝地駅も同様ですが、無人化され荒廃した歴史的木造駅舎を安易に解体・撤去するのではなく、地域に根ざした利活用を模索してゆくことこそ重要なのではないでしょうか。

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