鉄道ホビダス

新緑の大井川鐵道を訪ねる。(中)

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▲ED90を先頭にアプト区間を下る千頭行き。背後には長島ダムの偉容が迫る。'08.4.20 長島ダム?アプトいちしろ
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大井川鐵道本線の蒸気機関車も久しぶりなら、井川線を訪ねるのもほぼ2年ぶりとなります。ただ、その間に白井 昭さんのRMライブラリー『大井川鐵道井川線』を編集していますので、感覚的にはそれほど久しぶりとは思えないのが不思議です。

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▲アプト区間ひと駅間で89mの標高差を克服するだけあって、眼下を行く列車も見事に傾斜して見える。'08.4.20 長島ダム?アプトいちしろ

ikawa420n3.jpgアプトいちしろ駅から坂を上がっていった所にあるアプト区間を一望できるポジションへ。1990(平成2)年のアプト区間開業時、いや開業前の試運転時から幾度となく訪れているお馴染みのポジションですが、ここに来るたびに思い出されるのは交通博物館副館長だった松沢正二さんのありし日のお姿です。日本鉄道保存協会の顧問で交通関係の著作が多い松沢さんですが、実は洋ランの研究家としてもたいへん高名で、植物に関しても信じられないほどの博識をお持ちでした。かつてこのポジションでご一緒した時、撮影の間合いに周辺の草木を丁寧に説明してくださいましたが、私のような者にはただの“雑草”にしか見えない足元の植物を、慈しむように熱心に語られていたのを昨日のことのように思い出します。
▲3輌のED90はそれぞれ異なった汽笛を備えており、その音色で個体識別が可能。'08.4.20 アプトいちしろ
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▲ED90のサポートでアプト区間を下り、再び自力で千頭へと向かうDD201牽引の上り列車。DD201はスイスの姉妹鉄道にちなみ“ROTHORN”とネーミングされている。'08.4.20 アプトいちしろ

早いものでアプト開通から18年、長島ダム周辺も大きく様変わりしました。かつては「閑蔵林道」だけだった沿線道路もすっかり整備され、少なくとも千頭~接阻峡温泉間は初心者ドライバーでも楽々走れる快適な道となっています。あまりの渓谷の険しさから人を阻む=接阻峡と名づけられたという秘境も着実に新しい時代を迎えているようです。

ikawa420n5.jpg余談ながらその閑蔵林道には苦い思い出があります。四半世紀以上も前のことですが、当時はそれほど普及していなかったレンタカーを借りて井川線の撮影に向かった時のことです。例のごとく、自損であろうと必ず警察で事故証明を…と借り受け時に営業所で念を押されたのですが、こともあろうに閑蔵林道で落石にあってしまったのです。ボンネット・リッドが凹む程度の損傷で走行に支障はなかったのですが、さて、事故証明となると…。
▲2001(平成13)年製の展望客車スロフ316。井川線用車輌としては一番新しい車輌である。'08.4.20 アプトいちしろ
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長島の駐在所まで行き、迷惑顔のおまわりさんを連れて現場確認に戻ったものの、今度は肝心の“現場”がどこだったかわからなくなってしまいました。とにかくいたる所落石だらけで、今さら思えばよくぞ普通乗用車であんな林道へ分け入ったのもだと思いますが、とにかく適当(!)に現場を確認して証明書を作ってくれました。ただ、そんなこんなで半日が潰れてしまい、結局、その日の井川線の写真はほとんど残っていません。

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