鉄道ホビダス

名鉄パノラマカーに乗る。

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先週末は名古屋方面に出掛け、久しぶりに名鉄7000系パノラマカーに乗る機会がありました。かつては名古屋本線に限らず、犬山線、河和線等々、移動の足としてとりたてて意識することもなく乗ってきたパノラマカーですが、引退まで一年あまりと聞くと、改めてその存在を意識せざるをえません。
▲名鉄名古屋駅に到着しようとする犬山行きパノラマカー7011F。通常運用にも関わらず、先頭展望室はまるでイベント列車のような賑わい。'08.4.19
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それにしても、噂には聞いていたものの、パノラマカーの人気ぶりには驚かされました。須ヶ口?佐屋間の区間運用(津島・尾西線)あたりでも家族連れを含めて前面展望室は満員。折り返しの間にはその特徴あるフロントマスクをカメラ(携帯電話?)に収めようという人たちでホームは時ならぬ賑わいとなっています。

meitetu7000n2.jpg最盛期には116輌の大勢力を誇った7000系ですが、今や残されているのは6連4本、4連6本の48輌のみ。しかも土休日は6連の運用が極めて少なく、4連運用も充当される営業列車は往時とは比べものにならないほどの激減ぶりです。それでもまだ今のところは、本線は名鉄岐阜?東岡崎間、犬山線は犬山、津島・尾西線は弥富、河和線は河和、知多新線は内海までなどの運用が組まれており(土休日は常滑方面への運用はなし)、各線でその走行シーンを目にすることができます。
▲鳴海で発車を待つ7011F。もと白帯車編成で前面方向板にその名残をとどめる。'08.4.19 鳴海
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ただ、それもあとわずか。6月以降は4連3本を除いて運用を離脱する模様で、そうなると乗るチャンスはおろか、遭遇する機会さえほとんどなくなってしまうと思われます。

meitetu7000n5.jpg名鉄パノラマカーと言えば思い出すのが、本誌41号(1987年5月号)のインタビュー「萩原政男さんのデザインと発展期の国鉄車輌」です。1956(昭和31)年から4年間にわたって国鉄諮問委員としてさまざまな提言を行ない、またインダストリアル・デザイナーとしてEH10などのデザインに足跡を残された萩原政男さんに国鉄分割民営化の機を捉えてお話をうかがおうという企画で、京王帝都電鉄参与を務められておられた合葉博治さん、デザイナーの岡田徹也さんと八王子のお宅に伺いました。
▲よく見ると先頭部ライトケース(ショックアブソーバー)上などには滑り止めが施されているのがわかる。'08.4.19 鳴海
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▲本線はおろか、津島線の区間運用が到着してもこの賑わい。今や老若男女入り乱れてパノラマカーは大人気。'08.4.19 須ヶ口
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主題は国鉄車輌だったのですが、それでもかなりの比重でお話が及んだのが、萩原さんの代表作のひとつ、ほかならぬ名鉄パノラマカーでした。イタリア国鉄のETR300形「セッテベロ」にいたく感激した萩原さんが、折りしも特急車の相談があった小田急に二階運転台のプランを提案したものの実現せず、その後、国鉄臨時車輌設計事務所の紹介で名鉄の新車デザインに関わり、結果として7000系パノラマカーが誕生してゆく経緯には、思わず身を乗り出して聞き入ってしまったのを昨日のことのように覚えています。

meitetu7000n6.jpg名鉄は当初計画していたボンネット形を覆し、萩原デザインに傾倒してゆきます。「前面ガラスを前端まで出して展望室の空間を大きくとるとともに乗客の安全に万全をつくす。前面ガラスも製作・維持効率の悪いカーブガラスをあえて使わず強度も出せる平面ガラスとし、万が一の事故に備え強力なショックアブソーバーを前面に内蔵する(中略)特にショックアブソーバーはむき出しにしますとそれだけで乗客に“危険な車輌”の印象を与えかねませんので、デザイン的に処理することが重要になってきます」(本誌41号より)と語っておられたのがとりわけ印象的でした。
▲神宮前駅の不思議な踏切。左はJR線で、名鉄線との間にわずか2mほどの“空間”がある。'08.4.19
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▲名古屋本線を快走する豊明発犬山行き1791列車のモ7012展望室。なお、列番の「17」は名古屋駅の時刻、「9」は犬山線系統を示している。'08.4.19
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今は亡き萩原さんの温厚な話しぶりを思い浮かべながら、改めて7000系パノラマカーを眺めてみると、誕生から47年、いささかも陳腐化していないデザインの美しさに気づかされます。年末に予定されている0系新幹線の運用離脱、そして来年の7000系の引退と、時代はひとつの大きな節目を迎えているようです。

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