鉄道ホビダス

写真展「中国の炭鉱軌道」開催中。

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▲写真展「中国の炭鉱軌道」から。急速に近代化が進んでいるとはいえ、まだまだ中国全土に小規模な炭礦が無数にあり、そこには必ずと言ってよいほど軌道が敷設されている。P:寺本孝広

東京都心のギャラリー「アートスペース・モーター」で寺本孝広さんの写真展「中国の炭鉱軌道」が開催されています。そのタイトルのとおり、中国各地に存在する炭礦軌道をテーマとした写真展ですが、C2形蒸気機関車の活躍で人気を博している芭石鉄道(四川省)などのいわば“メジャー”筋ではなく、ひたすら中国各地の小規模炭礦に息づく名も知れぬ軌道ばかりを追っているのが異色です。

tyuugokunotannkoutetudou203.jpgエネルギー資源に恵まれた中国では、各地に大規模な炭田があり、近年の目覚しい経済発展とともにその需要は拡大の一途を辿っています。しかし、撫順炭礦(アーカイブ「3連接の凸電」「ジテとの邂逅」参照)のように“超”の付くほど大規模な炭礦がある反面、わずかな鉱区の採掘権だけを頼りに出炭を続ける小規模炭礦も星の数ほどあり、そこには必ずと言ってよいほど運搬用のナローゲージ軌道が敷設されています。
▲会場のアートスペース・モーターは3年ほど前に斉木 実さんと米屋浩二さんが写真展「鉄道遺産を旅する」を開催したギャラリー。新富町駅と八丁堀駅のちょうど中間に位置する。'08.4.26
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寺本さんが情熱を傾けて撮り続けてきたのは、こういった小規模炭礦の軌道で、そこに活躍するのはまるで時代から取り残されたようなプリミティブな車輌たちです。集電装置さえ失われた鉱山用電気機関車は運転士が片手に持つ竿を架線に接触させることによって通電し、“狸堀”のような零細坑では真っ黒になった坑夫が炭車を押す…それはわが国では遥か昔に消え去った光景であるとともに、近代化めまぐるしい中国にあっても、遠からず過去のものとなってゆく姿にちがいありません。

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▲コラージュを別にして展示作品は40点ほど。それぞれの作品には解説とともに所在地をプロットした中国地図が添えられている。'08.4.26

それにしてもよくぞこれだけの撮影が可能になったものだと改めて感心しますが、実はその裏には寺本さんの涙ぐましい努力の積み重ねがあります。地図で“あたり”をつけ、単身、乗合バスで現地に入ったあとは、ひたすら撮影許可の交渉…丸一日歩き回ってすべて断られることさえあるそうですから、その情熱というか根気強さには脱帽です。

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▲各地の炭礦で捉えた寸景がコラージュとして最奥の壁面を埋め尽くしている。軌道のみならず、そこにある人々の営みが生き生きと写し出されている。'08.4.26
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その寺本さん、かつて武蔵工業大学在学中はその名も『立入禁止』という伝説の機関誌を編集しておられました。日本国内の工場専用線や製鉄所、鉱山など、市販誌には馴染まない、文字通り立入禁止区域にある鉄道・軌道を実に丹念に調べ上げられており、天草地方の陶石軌道レポートなど本邦初となる発表も少なくありませんでした。また、圧縮空気機関車の研究でも日本油空圧学会の学会誌に成果を発表されるなどしています。

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この一風変わった(失礼…)写真展、今週土曜日5月3日まで開催されております。最終日以外は夜20時までと会社帰りにも立ち寄りやすい設定となっておりますので、連休谷間の一日、ご覧になってみられては如何でしょうか。

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