鉄道ホビダス

遼東半島に未知の大ナローゲージ網を探る。(7) 最終回

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▲第8塩場から戻ってくる盈車列車。五島運輸站手前の踏切付近で、このあたりまで帰ってくると海が近いとはまったく思えない風景が展開している。なお、この角度ではわからないが、画面左に道路が並行している。'08.3.21
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並行道路のある第8塩場への本線とは対照的に、第5?7塩場方面への本線は五島運輸站を出たその時からまったく道路のない畑地の中を進みます。しかも1キロほどでその畑地さえも途絶え、線路は荒野と呼ぶに相応しい荒涼とした風景の中を一直線に伸びています。

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▲五島運輸站周辺には広範囲に畑地が広がっており、農業用水路を渡る小さな橋梁がそこここに見られる。写真は第8塩場行きで、橋梁の向こう側の築堤が第5?7塩場への本線。'08.3.22
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ディフェンス・マップで見ると、線路は数キロ先で海を渡って対岸の交流島へ、そしてさらにその先の西中島へと続いているはずですが、望遠レンズで遠望しても、ただひたすら地平線とも水平線ともつかない直線がファインダーを二分しているのみです。

fukusyuuwan913.jpg第8塩場では気の遠くなるような“海の中道”を歩き通したものの、さすがにこの第5?7塩場本線を歩く気にはなりません。だいいち日はすでに西に傾きはじめており、深追いは禁物です。やむなく五島運輸站ジャンクションから2キロほど歩いた丘の上で、来るかどうかもわからない件のミキストを待つことにしました。その間にも、第8塩場方面への列車が遥か彼方を去ってゆくのが見えます。第8塩場本線の方が列車密度が高いようで、こちらの第5?7塩場本線は軌道の整備状態も少々劣るようではあります。それを裏付けるかのように、線路脇に塩の山。どうやら本線列車が脱線転覆して積荷の塩が散乱したようです。
▲いったいどれだけの輌数が在籍しているのだろうか。主力のトロはおびただしい数があるが、ことごとく規格品の同形車。実測による主要寸法は端梁間全長2,200㎜×全幅1,600㎜×全高1,800㎜/WB800㎜/車輪径φ457㎜。'08.3.22
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▲第5?7塩場への本線はかなり軌道状態が悪い。ご覧のような遊間のジョイントもそこここに…。'08.3.22 右は第1?4塩場で見かけた石材製の枕木(?)。これなら朽ちようもない.'08.3.21
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小一時間も待ったでしょうか。遥か彼方に何やら芥子粒のように蠢くものが…。望遠レンズで確認すると列車に違いありません。ついに待ちに待ったミキストかと思いきや、10分近く掛かって姿を現したのは残念ながらレギュラー・トレインでした。

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▲軌道両側に塩の山。どうやらこの地点で派手な脱線転覆をやらかしたらしい。遙か彼方に第5?7塩場のある交流島があるはずだが、とても歩く気にはなれない。'08.3.22
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時計の針はすでに17時近く。五島運輸站へと去ってゆく盈車列車を見送りながら、これでタイムアウト、いよいよ波乱万丈だったこのナローを離れる時がやってきたと感慨に浸りながら振り返ると、地平線の彼方からもう1列車がヨロヨロと続行してくるではないですか!

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▲やっぱり“ミキスト”はやってきた! 他機より少々小ぶりで、なおかつツートンカラーの機関車に牽かれてガラガラと引きずられるように走る客車(人車)の中からは、撮影しているこちらに好奇の目が…。'08.3.22
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▲突き刺したような煙突がチャームポイントの人車と有蓋車。遥か彼方の塩場で一日の仕事を終えた人々を乗せた帰りの列車なのだろう。沈みそうで沈まない大陸特有の夕日を全身に浴びて帰路を急ぐ。五島運輸站はもうすぐだ。'08.3.22
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大陸の夕日を全身に浴びて目の前を通過してゆく待望のミキストを見送りながら、このまったく知られていないナローゲージ網の奥深さを改めて痛感していました。遼東半島の塩田はここ復州湾だけではありません。成田からわずか2時間半、遼東半島の未知の大ナローゲージ網の探訪は、いま始まったばかりです。 (完)

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