鉄道ホビダス

遼東半島に未知の大ナローゲージ網を探る。(4)

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▲五島運輸站機関庫。8線の収納線と検修設備を持つ規模の大きなもので、現在は11輌の機関車が配置されているという。'08.3.22
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JR東日本の「スーパーグリーン車」、そして新型スカイライナーと、2日続けて時代の最先端をご紹介したあとだけに、いささか気後れしてしまいますが、話を再び復州湾塩田に戻すことにいたしましょう。

fukusyuuwan420.jpg翌朝、満を持して五島運輸站へと向かいました。途中の金城運輸站で案内役の孫副長と合流、先導されて昨日とは違う道を五島めざして軽快に飛ばします。今日は土曜日。最近では中国でも週休2日制が普及してきているようで、金城運輸站が休業なら孫副長も本来お休みだそうですが、わざわざエスコート役として出てきてくれたわけです。
▲五島運輸站正門。機関区とヤードへの立ち入りはこの守衛所によって厳しく管理されている。'08.3.22
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昨日とは違って守衛所のある立派な正門から構内へ。正門横には金城運輸站との間を結ぶ“本線”が併用軌道となって入ってきています。改めてこの両運輸站間の列車が定期的に運行されていた数年前に来ていられれば…と思わずにはいられません。

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▲検修庫内の車輌たち。奥には派手な塗色の客車(人車)の姿も見える。左の機関車は他機とは違うツートンの塗り分けだ。'08.3.22
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右側に広大なヤードと塩の山を見ながらしばらく進むと、小さな集落の脇にえらく立派な機関庫が見えてきました。目指す五島運輸站機関区です。工場を兼ねた機関庫には8本の線路が櫛の歯状に入り込んでおり、折りしも3号機と5号機が庫外でエンジン調整中でした。

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▲3号機のキャブ内。思いのほかゆったりとしたレイアウトで右側には添乗者用のロングシートも備わっている。クラッチペダルの横はフットブレーキなのだろうか…。'08.3.22
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▲キャブ後方(左)とウィリソン式に類似した簡易自連(右)。自連には足踏み式(?)の解放装置が付けられている。'08.3.22
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聞くところではこの五島運輸站所属機は現在11輌。現車の確認をできたのは6輌ほどですから、少なくとも残る5輌は出払っていることになります。いずれもコロッとした箱型車体の6?7t機ながら、よくよく見ると個体差が激しく、2輌として同じものがないほどです。

fukusyuuwan410.jpgまぁ、それもそのはず、なにしろ“職場”は塩田ですから、工場内で車体更新中のものを見ると、とにかく良くぞここまでボロボロになったと感動するほどに腐食が進んでいます。さび落ちた部分を現物合わせで切り継ぎ、切り足ししているわけですから、歳月とともにスタイルも変わっていってしまうのでしょう。ただ、検修掛に聞いたところでは、かつてはどれも箱型車体ではなくL型だったそうで、確かに下回りに目を転じると、鋳鉄台枠は“加藤くん”などでお馴染みの形状をしています。帰国後、加藤製作所の戦前の納入台帳をひもといて見ると、1942(昭和17)年以降「大日本塩業」向けに軌間762㎜の6t機が複数納入されており、ひょっとするとこの時代の台枠を砂型コピーして今日まで使い回してきているのかもしれません。
▲構内に転がっていた鋳鉄製の台枠。こうやって分離されてみると、基本的な足回りが加藤や酒井の内燃機関車とまったく同じいわゆる“プリムス”タイプであることがはっきりとわかる。'08.3.22
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▲少し小ぶりな2号機はすでに休車のようで、フロントの窓ガラスも割れている。この五島運輸站所属機はどれもこの「247-1002」のような番号標記がされており、末尾から2号機と判断したが、「247」がいったい何を意味するのかはついにわからなかった。'08.3.22
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▲3号機「247-1003」と5号機「247-1005」。3号機は側窓がサッシ化されており、一方の5号機は角度のついた正面の2枚窓が特徴。'08.3.22
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fukusyuuwan422.jpg庫内を見ていると壁面にうやうやしく掲示された「軽軌機車」操作規程と安全管理制度が目に入りました。飲酒運転禁止などの「8つのやってはいけないこと」をはじめ、始業点検は怠りなくとか、続行運転の際は先行列車との間隔を500m以上開けろとか、事細かに規程が作られているのはいっぱしの「鉄道」です。そのなかでちょっと目を引いたのが「冬季厳禁用明火?車」の規程。直訳すると冬場に車輌を?って(いって)はいけない…となります。いったいどういう意味かと思い巡らしてみましたが、ハタと思い当たりました。わが国の小さな専用線などでも、寒冷時のディーゼル機関の始動には油を染ませたウエスに火を点けてオイルパンの下に投げ入れて予熱する“荒技”を見かけることがありましたが、どやらそれを戒めたもののようです。
▲機関庫の壁面に掲げられた運転規程文書。なかなか本格的な規程集で見ていて飽きない。'08.3.22
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まだまだ調べたいこと、聞きたいことは山ほどあれど、慌ただしく機関区見学を終え、いよいよ本命の塩田が広がる海へと向かうことにしました。

■金曜旅倶楽部「鉄道とっておき話」が始まります。
NHKラジオ第1放送「つながるラジオ」の「金曜旅倶楽部」中に、今週から「鉄道とっておき話」のコーナーが始まります。第一回の放送となる明日(11日)は私が担当いたします。15時23分から5分ほどの生放送ですので、お時間のある方はぜひお聞きください。もちろんNHKラジオ第1放送ですので全国どこでもお聞きいただけます。(詳しくは→こちら

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