鉄道ホビダス

カラミ電車?

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新居浜市の愛媛県総合科学博物館に「カラミ電車」なるものが保存されていると聞き、かねてより一度訪ねてみたいと思っていましたが、先日ようやく現地を訪問する機会を得ました。
▲一見「列車」とは思えない異様な外観の「カラミ電車」編成。こちらサイドに機関車の窓はない。うしろは博物館本館建物。'07.7.21
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karami4n.jpg「カラミ電車」…なんとも聞きなれない言葉ですが、「カラミ」とは鉱滓(slag)のこと。新居浜沖約20kmの瀬戸内海上に位置する四阪島の銅の精錬所で、このカラミを運搬するのに使われていた電気機関車なのだそうです。四阪島の製錬所は別子銅山支配人の伊庭貞剛が計画立案、1905(明治38)年に操業を開始したもので、1976(昭和51)年の精錬終了までの71年間で実に220万トンにもおよぶ銅を生み出したと言います。
▲集電はさながら竿竹のように長いポール。'07.7.21
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▲キャブ窓のある側。実測によればゲージは2フィート6インチ、ホイールベースは3フィート(914mm)であった。側面の「6」の切り抜き文字はシリアルナンバーであろうか? '07.7.21
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博物館裏庭に展示された「カラミ電車」は何とも形容しようのない珍奇な形態の2軸トロリー電機で、うしろには鉱滓を積む鍋型転倒車が連結されています。

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▲コントローラーとハンドブレーキ程度しか装備のない極めてプリミティブなキャブ内。戦前、四阪島には日本輸送機が3t電気機関車を仕向けた記録があるが、本機との関連は不明。'07.7.21
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karami7n.jpg説明看板からその解説を引用すると、「1921(大正10)年から昭和30年代まで、溶鉱炉から流出するカラミを液状のままカラミ壺に受け、海岸の処理場までけん引して捨てていました。一列車にカラミ壺2?3個を連結して、当時のカラミ運搬に活躍しました。別名お壺電車とも呼ばれました」とのことで、四阪島の崖っ淵から海へと灼熱の“カラミ”を落とす様が写真付きで紹介されています。海中から立ち上るもうもうとした蒸気…今ではとても考えられない豪快(?)な産廃処理風景です。
▲バッファーと呼ぶにはあまりにお粗末な緩衝器。連結装置はこれまた原始的なピン・リンク式。'07.7.21
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▲巨大な“鍋”は高温のカラミを入れるため肉厚のがっしりしたもの。転倒はギアによる手動。'07.7.21
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それにしてもこの「カラミ電車」、製造メーカーなどの詳細はいっさい不明で、いったいどういった経緯で保存されることになったのかもわかりません。ただ、現役時代はまったく顧みられるとのなかったであろうこういった産業車輌が、公的な博物館に収蔵・展示されているのはなんとも嬉しい限りです。なお、この愛媛県総合科学博物館には館内にもクラウス製蒸気機関車のレプリカをはじめ、いくつかの特筆すべき鉄道関連展示がありますが、こちらはまたいずれ機会をみてご紹介してみたいと思います。

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