鉄道ホビダス

『鋼製雑形客車のすべて』まもなく発売。

RML97001n.jpg今日は62年目となる終戦記念日。焦土と化した中を、それでも国鉄(正確には1949=昭和24年5月までは運輸省)は一日たりとも運転を止めることなく走り続けてきました。ただ、軍需産業として統制化におかれた鉄道車輌工業は壊滅的状況に陥っており、加えて戦中の罹災、そして戦後の占領国軍による接収と、車輌の需給は困難を極め、そのなかで正規の規格とはほど遠いさまざまな車輌が国鉄線上を走りはじめることとなります。RMライブラリーNo.95でご紹介した『特別職用車』もそのひとつと言うことができましょうが、同車のようなプリビレッジな存在の対極に、ほとんど貨車のような“客車”が誕生し、そして歴史の狭間へと消えていったことはあまり知られていません。今月お送りするRMライブラリーはそんな時代の落とし子にスポットを当てた藤田吾郎さんの力作『鋼製雑形客車のすべて』です。

RML97006n.jpg1953(昭和28)年、国鉄は車両称号規定を改正、この際、標準設計によらない鋼製客車54輌を「鋼製雑形客車」として分類し、1000?2999の番号を与えました。これらの客車は進駐軍軍用列車で部隊料理車(形式記号シ)や、販売車、酒保車(形式記号ミ、ミリタリーのミ)など様々な用途に使用されていた軍用貨車からの車種変更客車や、事業用として残っていた買収私鉄から引き継ぎ客車などでした。
▲とても「シ」の記号からは想像つかない外観のホシ1860形1867号。ご想像のとおり出自は貨車ワキ1形で、部隊料理車(Troop Mess Car)として雑形客車に編入されている。車内には冷蔵庫やフィールドレンジや流し、調理台などが備わり、天井には温水と冷水のタンクがぶら下がる。(『鋼製雑形客車のすべて』より)
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▲世にも不思議な“寝台冷蔵荷物車”(?)ホミ85形の成れの果て尾久客車区救援車ナエ2704(左)と、返還後の冷蔵荷物緩急車(!)オニ6320への改造手順(右)。(『鋼製雑形客車のすべて』より)
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▲買収私鉄の鋼製客車も「雑形」として編入された。相模鉄道からは将来の電化を想定して電車然としたスタイルのホ1形などが“国鉄客車”となった。(『鋼製雑形客車のすべて』より)

RML97008n.jpg本書はこの車両称号規定改正以前に消滅した車輌を含め、ワキからの転用車38輌、私鉄買収車編入客車16輌、軍用車輌運搬車13輌、キハ42000改造車1輌の計66輌(2軸車および暖房車を除く)を鋼製雑形客車と捉え、その生涯を貴重な写真と図面で詳述したもので、客車ファンのみならず模型ファンにとっても驚きの連続、必見の一冊に違いありません。
▲中国鉄道買収車のホハ7・8はもと加藤車輌製のガソリン動車。最終的には移動診療車コヤ2600となって北海道で働いた。移動診療車の車内写真も…。(『鋼製雑形客車のすべて』より)

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▲移動診療車コヤ2600への改造手順(左)。右はどう見ても乗客が乗れない「客車」チホニ1900形。ただの長物車=貨車に見えるが客車の仲間で、速度制限を受けることなく客車列車として運転できる利点がある。(『鋼製雑形客車のすべて』より)

このRM LIBRARYNo.97『鋼製雑形客車のすべて』(定価:1,050円)は来週には店頭でお求めいただけるはずです。既刊『関東省電の進駐軍専用車』『特別職用車 ?占領の落とし子 薄命の歴史?』と合わせてご覧いただければ幸いです。