鉄道ホビダス

ダージリンの決定版、その名も『アイアン・シェルパ』。

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イギリスの鉄道趣味の底力を改めて思い知らされる一冊をご紹介いたしましょう。『The Iron Sherpa』と名づけられた本書は、ダージリン・ヒマラヤン・レールウェイ・ソサエティーの資料担当で、インディアン・スチーム・レールウェイ・ソサエティーの名誉会員でもあるテリー・マーチン(Terry Martin)さんが、その研究成果のすべてを注ぎ込んでダージリン・ヒマラヤン鉄道をまとめたA4版変形368ページにも及ぶ大冊です。

ironsherpa8n.jpgダージリン・ヒマラヤン鉄道は世界遺産にも登録され、いまやレールファンのみならず多くの観光客が訪れるインド屈指のシーニック・エリアとなっていますが、この地に鉄道建設が計画されたのは1878(明治11)年と実に129年も前に遡ります。当時の宗主国・イギリスがヒマラヤの山々に抱かれた避暑地へのアクセスとして敷設した2フィートゲージの軌道は、時にはループを、時にはスイッチバックを駆使して延長80キロあまりで標高差2000m以上を駆け登る壮絶な山岳鉄道です。
▲ダージリンというと“ブルー・エンジン”のイメージが強いが、エンジ色の時代のカラー写真も数多く掲載されている。(『The Iron Sherpa』vol.1より)
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紛争地帯に隣接することから、戦後も長く外国人の立ち入りが制限されてきましたが、イギリス人だけはかつての宗主国とあって比較的自由に撮影・調査を行うことができたようです。それだけに彼らの蒐集してきた写真・資料は膨大なもので、今回のテリー・マーチンさんの著作もそれらを縦横無尽に活用したものとなっています。

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▲最大の驚きはガラットの“走り”写真(左)が掲載されている点。ピーコック製のダージリン・ガラットはメーカー写真(右)など“停まり”はこれまでにも知られているものの、走行シーンは極めて珍しい。(『The Iron Sherpa』vol.1より)

まず何よりも仰天したのは“Dクラス”=ダージリン唯一のガラットの走行写真です。31号機“マウンテン・チーフ”と名づけられたこのガラットは1910(明治43)年ベヤー・ピーコック製。タスマニア・ガラットに次ぐピーコック製ガラットの2作目で、公式写真等はこれまでにも公開されているものの、走っている姿は印刷物としては見たことがありません。

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▲車輌編は続刊とアナウンスされているものの、気になる写真が随所にちりばめられている。左は試験的に導入されながら実用にならなかったというディーゼル機関車。右はBクラス28号にアルミ製のケーシングを被せた“Streamliner”。(『The Iron Sherpa』vol.1より)

さらに後半では、100ページ近くにわたってこれまでほとんど紹介されることのなかった支線について詳述されているのも圧巻です。キシェンガンジ支線、ティスタ渓谷支線と呼ばれたダージリン・ヒマラヤン鉄道の支線はいずれも戦後すぐに廃止されており、これらの支線の詳細が詳らかにされたのはまさに画期的と言えましょう。

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▲これまでほとんど紹介させることのなかったシリグリ?キシェンガンジ間の支線についても、構内配線を含めて詳しく触れられている。遺構の現況探索(右)はさながらトワイライトゾ?ン。(『The Iron Sherpa』vol.1より)
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この大著『The Iron Sherpa』はよくよく表紙を見ると「第1巻・歴史編」とあり、恐ろしい(?)ことに「第2巻・車輌/施設編」が続刊される予定だそうです。まさに英国鉄道趣味の真骨頂といっても過言ではないでしょう。
なお、国内での購入は下記へ、また英国出版社から直接購入の場合は以下のウェッブからお申し込みください。
http://www.theironsherpa.com/
〒950‐0075 新潟市中央区沼垂東四丁目14番15号 銀座軽便倶楽部(工房)
小林吉成さん
電話:025-243-4556 E-mail:qgipk530@ybb.ne.jp
価格:23,000円(本代・海外送料込み、郵送希望の方は銀行振り込みまたは現金書留で)

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