鉄道ホビダス

「学鉄連」の時代。

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自宅書庫の一番奥に1970年代の大学・高校の鉄研機関誌が押し詰まった一角があります。何年も見向きもしなかったのですが、昨年末に別の資料を探していて期せずしてこの一角に目を止めてしまい、探し物を中断して暫しあの頃の機関誌の数々に見入ってしまいました。パソコンはもとよりワープロさえない時代ゆえ、もちろんどれもが今や“絶版モノ”の孔版印刷、いわゆるガリ版刷りで、極めて読みにくいながらも書き手の個性がダイレクトに誌面に伝わってきており、それはそれで味わい深いものです。さて、そのなかでふと手にとまったのが薄水色の50ページほどの冊子『関東学生鉄道研究会連盟・連盟誌』第7号でした。
▲大学鉄研華やかなりし頃の機関誌の数々と「連盟誌」。バックの機関誌は右上から時計回りに東京大学鉄道研究会「てつろ」40号、千葉工業大学鉄道研究会「LOCO」18号、早稲田大学鉄道研究会「SWITCHER」75号、東京学芸大学鉄道研究部「列車食堂」1978年版、立教大学鉄道研究会「TABLET」33号、明治大学鉄道研究会「連結器」38号、法政大学鉄道研究会「Carrier」26号。

「学鉄連」と聞いて懐かしさが一気にこみあげてくるのは、関東地方では恐らく1960年代から1970年代にかけて学生生活を送った皆さんではないでしょうか。各大学の鉄道研究会を横断的に連絡しようという「学生鉄道研究会連盟」いわゆる「学鉄連」は、ここにお目にかける1970年代後半に恐らく最多加盟校数となり、さまざまな行事が行われていました。ちなみにこの『連盟誌』第7号奥付から1979(昭和54)年度の関東学鉄連加盟校を列記してみましょう。
青山学院大学・亜細亜大学・幾徳工業大学・学習院大学・慶應義塾大学・大正大学・千葉大学・千葉工業大学・中央大学・電気通信大学・東京大学・東京学芸大学・東京工業大学・東京電気大学・東京都立大学・東京理科大学・独協大学・日本大学・一橋大学・法政大学・武蔵大学・武蔵工業大学・明治大学・横浜国立大学・立教大学・早稲田大学(以上26校)

gakuteturen1n.jpg同様にこの年度の活動報告も見てみましょう。
昭和53年12月16日:前学鉄連当番校横浜国大より事務引継ぎ
昭和54年3月1日:国鉄・大手私鉄・出版社へ新役員の挨拶回り
3月28?29日:リーダーズキャンプ(於:千葉・月崎荘)/各校の活動報告・学鉄連への意見の発表
5月19日:第1回委員会/今年度の行事について
6月23日:第2回委員会/新加盟校承認等(大正・千葉・一橋大学加盟)
7月24日:ソフトボール大会(於:幾徳工大グランド)
10月13日:第3回委員会/模型運転会・写真展・大学祭
11月9日:第4回委員会/模型運転会・写真展サブテーマ
11月17日:写真展打ち合わせ(於:交通博物館)
11月23?25日:模型運転会(於:東京都児童会館)
12月2日?9日:写真展・テーマ「鉄道のある風景」(於:交通博物館)
12月22日:第5回委員会/幾徳工大正式加盟
昭和55年1月19日:総会/次期当番校選出
(※当番校=東京工業大学、模型運転会担当=早稲田大学、写真展担当=千葉工業大学、ソフトボール大会担当=幾徳工業大学)
この連盟誌には各校の活動報告も簡潔に記載されていますので、以下にご覧に入れましょう。あなたの母校はありますか?
▲関東学生鉄道研究会連盟「連盟誌」第7号。(1980年発行)

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▲加盟校活動報告:左頁/青山学院大学・亜細亜大学・幾徳工業大学、右頁/学習院大学・慶應義塾大学・大正大学。
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▲加盟校活動報告:左頁/千葉大学・中央大学・東京大学、右頁/東京工業大学・東京都立大学・東京理科大学。
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▲加盟校活動報告:左頁/独協大学・日本大学・一橋大学、右頁/武蔵工業大学・武蔵大学・明治大学。
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gakuteturen50.jpgちょうど今夜、慶應義塾大学鉄道研究会OB会である鉄研三田会会長の高井薫平さんと一献傾ける機会があり伺ったところ、「学鉄連」は1958(昭和33)年に高井さんらが立ち上げたのがスタートだったのだそうです。創立時の加盟校は慶應義塾大学・東京大学・法政大学・武蔵工業大学・早稲田大学(50音順)の5校。同年9月に発足総会が行われ、記念講演がかの島 秀雄さんと『カメラと機関車』など先駆的鉄道写真で知られる吉川速男さんのお二方だったといいますから驚きです。さらに当時の十河国鉄総裁からも激励を受け、発足直後にはちょうど走りはじめたばかりの「こだま」の試運転列車にも招待されたのだそうですから、「学鉄連」は単なる鉄道好きの大学生の連絡組織という枠をはるかに越えた社会的存在だったわけです。
▲加盟校活動報告:立教大学・早稲田大学。
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当時、各校にはかならず学鉄連委員がおり、写真展、模型運転会、学祭の相互訪問、さらにはソフトボール大会などを通して、他校鉄研のメンバーとも少なからず交流があったものです。それだけにこの『連盟誌』を見ているとすっかり忘れていたはずの他校“同期”の顔が次々と浮かんできます。
現在、関東の「学鉄連」は十年近く前から活動休止中のようです(「関西学鉄連」は活動を続けているようです)。 “上下関係”を嫌って組織に入りたがらない層の増加など、連盟どころか鉄研そのものの存在さえ危うくなってきている昨今、「学鉄連」時代の“熱”が懐かしく思い出されてならないのは、ただ単にこちらが馬齢を重ねてしまったがゆえなのでしょうか…。

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