鉄道ホビダス

“「西武安比奈線」を歩く”開催。

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本誌の読者の皆さんなら西武鉄道安比奈線をご存知ない方はおられないでしょう。連載トワイライトゾ?ンの“原点”とも呼べる安比奈線は、西武新宿線南大塚駅から分岐して入間川河岸の安比奈にいたる延長3.2kmの電化貨物線です。現在でも全線にわたって線路設備や架線柱が残されており、まさにトワイライトゾ?ンの様相を呈しています。
▲ルビがふってあるように線名の安比奈は「あひな」と読むが、川越市の行政区分「安比奈新田」の登記上の読みは「あいな」だそうだ。

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この安比奈線、よく“廃線跡”のように言われますが、実はまだ「廃止」にはなっておらず「休止」中なのです。最新の『鉄道要覧』(国土交通省鉄道局)の西武鉄道欄にも「南大塚?安比奈間 3.2km 大正11年2月1日免許、大正14年2月15日運輸開始実施 摘要:貨物運輸」とあたかも現役であるかのように記載されています。このあたりの経緯については初期のトワイライトゾ?ンに詳しい(『トワイライトゾ?ン・メモリーズ1』所収)のでここでは割愛しますが、いずれにせよ東京近郊で手軽にトワイライトな世界に浸れる稀有なスポットではあります。
▲安比奈の軌間600ミリの砂利採線では鉄道聯隊からきた機関車や軽貨車が多数使われていた。このコッペルの「E」は1970年代まで廃車体として残って比較的広く知られていたが、安比奈での現役時代を撮影されている方というと数名しかおられない。記念乗車券の台紙にもなっているこの写真は園田正雄さんが1956(昭和31)年に撮影されたものだが、残念ながらすでにこの時点で休車状態である。

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▲“幻の貨物線「西武安比奈線」を歩く”のフライヤー。事前申し込みなしで11月5日(日曜日)の9時30分から11時までの間に南大塚駅へ行けば参加できる。もちろん参加費は無料のうえ、参加記念品ももらえるとのこと。
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とはいえ現在では線路敷の大半は立入禁止で、実際に軌道を歩くことはかないません。そんな状況の中で、西武鉄道が実に粋なイベントを企画してくれました。題して“幻の貨物線「西武安比奈線」を歩く”。西武鉄道新宿線の前身である川越鉄道が久米川から川越まで延伸開業したのが1895(明治28)年3月1日。今年がちょうど111年目にあたることから、小江戸川越観光推進協議会が今日(11月1日)から11月11日にかけて「小江戸川越 鉄道開設111周年記念フェア」と銘打ったさまざまなイベントを繰り広げ、“幻の貨物線「西武安比奈線」を歩く”もその一環として開催されるものです。開催日は今度の日曜日11月5日。上に掲げたフライヤーにあるように、ほぼ全線にわたって軌道敷を歩けるまたとないイベントです。

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▲30数年前に訪れた際の安比奈線。田圃の中を一直線に入間川の河原を目指す草生した線路は、ある種神秘的でさえあった。'74.7.14

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このほかにも「小江戸川越 鉄道開設111周年記念フェア」では川越市役所本庁舎一階を会場にした写真展、さらには本川越?国分寺間を快速急行で直通運転するヘッドマーク付き特別記念電車「小江戸川越111号」の運転(11月11日)など数々のイベントが企画されています。また、今日から発売となった「小江戸川越鉄道開設111周年記念乗車券」は立派な台紙付きの1日フリーきっぷで1000円とリーズナブル。こちらも注目です。
▲現役時代の安比奈線線路図。葛川橋梁や池部用水橋梁などは今でもそのまま残されており、今回のウォークでも見所となる。(本誌トワイライトゾ?ンより)
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▲今日から発売となった「小江戸川越鉄道開設111周年記念乗車券」。来年3月末までの一日限り西武線内乗り放題のフリーきっぷ。
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ところでこの安比奈線、今もって一枚も列車写真が発見されていない極めて珍しい線でもあります。本家の西武鉄道さんはもとより、私もことあるたびに探してはいるのですが、現在のところ発見できていません。安比奈線にいったいいつまで列車が走ったのかも特定できてはいませんが、1963(昭和38)年時点での機関車運用表ではすでに16時台に1往復の設定があるのみで、恐らく1965(昭和40)年頃には実際の列車は入らなくなってしまったのではないかと思われます。ただ、安比奈河岸に敷設された600ミリ軌間の採砂軌道上に取り残された旧鉄道聯隊のコッペル製Eタンク機を求めて、それまでにも多くの先輩ファンが安比奈を訪れており、“本線上”を走る列車の写真がまったくないのは逆に不思議でなりません。「行きは歩いていったが、帰りは電気機関車に添乗させてもらって南大塚に戻った」などという話は何人もの方から伺いましたが、では安比奈線上のその電気機関車の写真は…というと異口同音に「撮ってない」とのこと。安比奈線の“幻の列車写真”探しは、これからもまだまだ続きそうです。
(※万一このブログをご覧の方でお撮りになられている方がおられましたら、ぜひ編集部宛にご一報ください)

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