鉄道ホビダス

『模「景」を歩く』の重版ができました。

arukuhyoushi.jpg3年前の1月に刊行し、その後長らく品切れとなっていたムック『模「景」を歩く』(2400円)を少量ですが重版いたしました。“模「景」を歩く”は『RM MODELS』の月刊化とともに1995年10月号より同誌誌上で開始した連載で、急速に失われつつある模型にしたい「景」(=シーン)を実際に歩き、観察し、なおかつ50mメジャーを持って実測しつくそうという、今さら思えばちょっと破天荒な企画でした。

車輌の取材ならまだしも、駅本屋や車庫、はたまた構内の線路配置といった一般的には趣味対象とは受け止められないものが対象だけに、取材にはかなり苦労した記憶が今もって鮮明です。相手の鉄道会社に企画趣旨を書面で伝え、写真撮影のみならず、時には古い図面まで探して提供していただこうというのですから、おいそれとOKが出るわけもありません。しかもこちらの対象は新築建物ではなく、へたをすると今にも崩れそうな旧い建物です。「来年建て替えますので、是非その際にご取材を…」と断られたところも数知れません。でもなかには当方の主旨をよくご理解いただき、いい機会だからと古い図面類を総出で探してくださるところもありました。

aru%EF%BD%8Bu7023n.jpg幸い当時の『RM MODELS』のコンセプトのひとつとしても読者の皆さんに好評をもって受け入れられ、1997年9月号までの20回を同誌で、続いて第二部ともいうべき9回分を本誌RM誌上(1999年1月号から同年12月号まで)で、足掛け4年半にわたって掲載が続きました。この間に誌面に採り上げた鉄軌道は東北地方から南は屋久島にまでおよび、B滝さんともども、いまさら振り返ってもよく歩いたなと思います。
〔掲載路線〕
西濃鉄道/加越能鉄道高岡軌道線/JR東日本品川運転所/JR東日本鶴見線(大川支線)/三井三池鉄道/茨城交通湊線/JR東日本久留里線/名鉄揖斐・谷汲線/名鉄美濃町線/立山砂防軌道/福島臨海鉄道/鹿島鉄道/蒲原鉄道/新潟交通/小湊鐵道/秩父鉄道/安房森林鉄道(屋久島)
▲扉写真は実写と撮影用に私が作った模型道床との合成写真。たかが3年前なれど、当時はフォトショップでこんな程度の合成をするのも大騒ぎだった。

aru%EF%BD%8Bu5021n.jpgaru%EF%BD%8Bu4020n.jpg
▲建設省(現・国土交通省)の立山砂防軌道は私たち専用のモーターカーまで出して取材に協力してくれた。この立山砂防軌道や福島臨海鉄道(右)のように、旅客営業していない路線にも精力的に取材をお願いした。

連載開始から11年。見直してみると、取材した鉄軌道にとっては激変の年月だったことを改めて思い知ります。加越能鉄道高岡軌道線は「万葉線」となり、鶴見線からはクモハ12の姿が消え、久留里線では腕木式信号機が見られなくなりました。そしてそれどころか、掲載線区のうち三井三池鉄道、名鉄揖斐・谷汲線、名鉄美濃町線、蒲原鉄道、新潟交通が廃止されて過去のものとなってしまいました。それ以外でも、鹿島鉄道のように現在存廃に揺れている線区もいくつか見受けられ、この“模「景」を歩く”の連載が、期せずして近年十年間の鉄道、とりわけ模型にしたくなるようなローカルシーンを携えた鉄道の墓標となってしまった感さえあります。

aru%EF%BD%8Bu3019n.jpgaru%EF%BD%8Bu1017n.jpg
▲実測ばかりでなく、構内平面図や建物の組立図をご提供いただき、これをトレースして多数掲載している。左は鹿島鉄道石岡構内平面図、右は小湊鐵道養老渓谷停車場本屋設計図。
クリックするとポップアップします。

aru%EF%BD%8Bu2018n.jpgaru%EF%BD%8Bu6022n.jpg
▲今となってはふたたび見ることかなわぬ「景」(シーン)も少なくない。左は新潟交通東関屋車庫とその平面図、右は三井三池鉄道宮浦駅ホッパー。
クリックするとポップアップします。

ともあれ、本書には連載分以外にも線路の基本寸法や各種信号・標識の標準寸法図面などもふんだんに盛り込んでおり、レイアウトを志向されるモデラーの皆さんはもとよりのこと、座右の資料としてもおおいにご活用いただけるものと思います。

レイル・マガジン

ネコ・パブリッシングCopyright © 2005-2018 NEKO PUBLISHING CO.,LTD. All right reserved.