鉄道ホビダス

「原生花園」の頃。(下)

genseikaencolor.jpg
「原生花園」というと8月、夏休みと連想しがちですが、実は8月の声を聞けば道東はもう夏の終わり。花のシーズンは6~7月なのだそうです。たしかに釧網本線から海岸へと続く砂丘状の小清水原生花園に咲き誇る花の姿はなく、ところどころに名残の花が見られるだけとなっていました。
▲イメージとは裏腹に原野然とした風景の中をC58の牽く客車列車が駆け抜けてゆく。なけなしのブローニー判エクタクロームで写した一枚。'73.8.12 原生花園

kitahamastamp1.jpg1973(昭和48)年当時の釧網本線は、川湯-緑間の補機運用にDE10が投入されていたものの、客車列車は依然としてC58の牽引でした。しかも同線の客車列車は基本的に「混合列車」扱いで、入換えの都合から機関車の次位に貨車を連結するスタイルです。いつまで経っても発車しないので先頭を見ると、機関車は客車をホームに置いたまま入換え作業中…などという現代では想像さえできない光景が日常茶飯に繰り返されていたのです。ちなみに、同線に最後まで“だるまストーブ”が残ったのもこの編成方式と関係があり、同じ混合列車でも編成最後尾に貨車を連結するのではなく、機関車次位に貨車を連結するこの方式だと、機関車からの蒸気暖房管が客車に直通できないためです。

genseikaen3.jpg
あれからちょうど33年、感慨に浸っていると、なんと来年4月からあの原生花園周辺にJR北海道が誇るDMV(デュアル・モード・ビークル)が走りはじめるというニュースが飛び込んできました。しかもこれまでのデモ運転ではなく歴とした“営業運転”なのだそうです。
▲海岸砂丘越しに北浜からやってくる下り列車をのぞむ。茫洋とした風景の中、C58もこころなしかけだるそうに見える。'73.8.12 原生花園

gennseikaennsou.jpgJR北海道のプレスリリースによれば、DMVの運転は浜小清水を起点・終点としたラウンドトリップ。浜小清水をオンレールで出発したDMVは原生花園、北浜を通って藻琴まで11キロほどを列車として走行、藻琴駅でモードチェンジして道路に降り、バスとして周辺観光地の藻琴湖と濤沸湖をめぐって再び浜小清水駅に戻るという行路だそうです。もちろん“営業運転”とはいうものの事前予約による試験的運行で、土日、祝日の一日5~7便程度が設定されるとのことです。来年のシーズンには、あの原生花園を走るDMVの姿が見られることになります。

genseikaen9.jpg
▲暮れなずむ釧網本線原生花園。特有の起伏が道東の鉄路を象徴している。来春、この線路にDMVが走りはじめるのだ。'73.8.12 原生花園

レイル・マガジン

ホビダス・マーケット新着MORE

  • 俺がイル
ネコ・パブリッシングCopyright © 2005-2016 NEKO PUBLISHING CO.,LTD. All right reserved.