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北越急行「ゆめぞら号」に乗る。

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梅雨明けが待たれる7月下旬、北越急行(ほくほく線)を訪ねる機会に恵まれました。1997(平成9)年3月の開業以来、首都圏と直江津・富山方面のアクセスは上越新幹線→特急「はくたか」が一般的となり、かくいう私も幾度となく「はくたか」のお世話になっています。ただ、「はくたか」には乗っても、北越急行線に乗ったという実感がまったくといってよいほどありませんでした。北陸アクセスのショートカット路線としての大きな使命を担って誕生した第三セクター鉄道だけに、無理からぬことかもしれませんが、北越急行にはちょっと申し訳ない思いを抱いていたのも事実です。
▲天井いっぱいに映し出される映像と音響に、夏休み最初の週末に乗り合わせた家族連れからは歓声が上がる。上映されているのは「花火編」。'06.7.22

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▲北越急行オリジナルの普通列車用車輌HK100形には4バージョンあり、両運転台タイプも一般タイプ(HK100-1~7・10/写真下)、イベントタイプ(HK100-8/写真上)、それに「ほしぞら号」(HK100-9)の3タイプに分かれる。'06.7.22

そんななかで、今回は六日町から北越急行の一般列車に乗車するチャンスがめぐってきたのです。しかも北越急行社長の大熊孝夫さん自らがご案内くださるとあって、二重に願ってもないチャンス到来です。まずは六日町の車庫を見学。「はくたか」用特急車681系はJR管理となっているため、自社車庫で検修を行っているのは「HK100」形と称する普通列車用車輌のみですが、このHK100形にもさまざまなバリエーションがあって興味が尽きません。基本的には両運1M車ながら、160km/h運転の特急を縫って走るための加減速性能をはじめ、豪雪地帯ならではの細部のヒーター装置など実に手間のかかった車輌です。

hoshizora5.jpg合計12輌在籍しているこのHK100形の中で、片運転台仕様の第3次車101+102の2連が「ゆめぞら号」と名づけられた“シアタートレイン”です。ほくほく線は全長59.5kmのうち実に40.3kmがトンネル。車窓展望もないトンネル内でも観光客の皆さんに楽しんでもらおうと考案されたのがこの「ゆめぞら号」です。車内の鴨居部に設置されたプロジェクターとミラーによってさまざまなDVD映像を天井に投影するシステムで、これが実によくできています。隧道内に入ると自動的に車内照明が減光し、DVDショーが始まるのですが、大熊社長のお話では車内の騒音をセンサーで検知して自動的にDVD音量を調節する機能まで搭載しているそうです。
▲在来線最高速の160km/h運転を支える総合指令室。自ら説明してくださっているのは北越急行大熊孝夫社長。'06.7.22

hoshizora4.jpg映像は「花火」「天空」「海中」「星空」の4種類が用意されており、しかも2輌それぞれ上映方式が異なるのですから、その拘りようにはまさに脱帽です。この「ゆめぞら号」、普段は一般車輌として運用されており、シアタートレインとなるのは土日、祝日等で、上映列車はあらかじめ時刻表やホームページでアナウンスされています。もちろん静かな車内環境で乗りたい…という方には間仕切りされたデッキ部ロングシートも用意されています。
▲個性的な駅舎が多いほくほく線内でもとりわけ印象的なのがくびき駅。銀色に輝く卵型の駅舎はまるで宇宙船。'06.7.22

本年末には神岡鉄道が、来春にはくりはら田園鉄道が鉄道事業から撤退してしまうなど、第三セクターは相変わらず厳しい経営状況を強いられていますが、ここ北越急行は磐石な経営を誇っており、実に全第三セクター鉄道の営業利益の8割以上を北越急行が叩き出しています。もちろん短絡アクセス線としての地の利もありましょうが、在来160km/h運転への果敢な挑戦や、はたまた一方で、この「ゆめぞら号」のようなきめ細かな乗客誘致があってからこその成果に違いありません。

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