鉄道ホビダス

ひとりぼっちの「RhW」。(下)

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あらかじめ購入しておいたスイス政府発行の25000分の1地形図によると、ライネックから終点のワルツェンハウゼンへの道路もあることはあります。ただこれがえらく遠回りで、なおかつ日光いろは坂のようなタイトコーナーが続きます。試しにレンタカーで“登頂”を試みましたが、電車だとわずか6分の所要時間のところを実に30分以上掛かってしまいました。

終点のワルツェンハウゼンはスイスならどこにでもありそうな田舎町で、ただ眺望が良い分、言うなれば高級住宅街の範疇に入るようで、立派なお屋敷やらレストランやらが並んでいます。どうやらこの鉄道は山頂の高級住宅街と“下界”とを結ぶ交通手段のようです。

この鉄道に関しての和文資料はほとんどありませんが、長 真弓さんの『スイス鉄道』によれば、もともとは1896年開通の水重力式のケーブルカーだったのだそうです。ケーブルカーの麓駅と国鉄ライネック駅(といってもわずか4?500mほどですが…)の間は路面電車が連絡しており、乗り換えの不便を解消するために、1958年にこの両者を直通できるラック式鉄道に改築したのだといいます。

▲RhWの電車はライネック駅に降りてくると、5分ほど停車するだけですぐにエンド切り替えをしてワルツェンハウゼンへと戻っていってしまう。折りしもSBBの近郊電車が到着、RhWの方は前照灯を点灯させてわずか6分の運転が始まる。'05.9.27

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ホテルから例のライン河上流工事事務所に通う道すがら、毎日このRhWのアドヒージョン(粘着)区間を横切るので、そのたびに注意して見ていたのですが、いつも乗客は数人。時にはまったく誰も乗っていないことさえあり、よく営業を続けていられるものだと首を傾げてしまいます。ちなみに“職員”は運転士ただひとりで、運転・整備から出改札、さらにはこまめに掃除までこなしていました。ローカル私鉄の受難が続くわが国の状況を鑑みると、こんなミニ鉄道がしっかりと命脈を保っていられる鉄道王国・スイスの底力を痛感した出会いでもありました。
▲ワルツェンハウゼン駅は国道を潜る小さなトンネルを出た所にある。といってもトンネルを出た所が駅の駅建物の中という奇妙な構造。時刻表によると24往復ほどが設定されている。

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