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産声をあげた“風の高原鉄道”。

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『今日からはじめる庭園鉄道』などでプロデューサー役としてもその多彩ぶりを発揮してくれている岡本憲之さんから、「実は栃木県に引っ越すことになりまして…」と控え目な電話をいただいたのは、確か夏の気配が残る頃でした。にわかに事情が呑み込めず反問すると、かねてより夢描いていた保存鉄道が実現に近づいており、これに本腰を入れたいからとのことでした。

季節は巡り、雪の便りも聞こえる中、件の岡本さんから、ようやく夢の保存鉄道の概要が紹介できるようになった旨のメールをいただきました。それによると、岡本さんが代表を務める「けいてつ協会」を運営主体とする保存鉄道の名は“風の高原鉄道”。栃木県塩谷郡塩谷町にある農業庭園の一角に敷設されるもので、軌間2フィート(609mm)の“たかはら線”とライブスチーム(127mm、191mm)路線の“みはらし線”から成り、後者はすでに部分開通済みとのことです。“たかはら線”の方もこれにあわせて「むさしの村」で使用されていた協三工業製蒸気機関車を譲受するなど準備が着々と進んでいるようです。
▲「むさしの村」からの協三6t蒸機も加わって本格始動を待つ「けいてつ協会」の車輌たち。手前の凸電は元向ヶ丘遊園の東芝製4t蓄電池機関車。P:けいてつ協会

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この一帯は“風の高原”と通称される「心のゆとり」を提供することを目的にした施設だそうで、キーワードは「スローテーマパーク」。子供を中心としたファミリー、とりわけ健常者と障害者の区別なく自然を体験し、その中で産業遺産としてのナローゲージに触れてもらいたいというのが趣旨だと聞きます。「けいてつ協会」も来年度にはNPO法人としての登録を目指すそうで、岡本さんの夢はいよいよ本格的に始動することになります。

ところで、岡本さんとの縁は実に不思議なきっかけでした。もう20年以上前になりますが、ある日突然、私の自宅に高校生だった岡本さん、いや岡本君から電話が掛かってきたのです。ナローゲージに強い興味があり、かねてからいろいろと聞きたかったので会ってもらえないか、という内容でした。電話番号をどこで知ったのかと聞けば、私が学生時代に調査に行った鬼怒川の砂利屋で名刺を見せてもらったとのこと。何とも破天荒ながら、そのがむしゃらな情熱に打たれ、お付き合いは今日まできています。思えば今日、バーチャル空間での“交流”は盛んながら、あの時の岡本さんのような、パーソン・トゥ・パーソンのいわば体当たりは絶えて久しいのではないでしょうか。
▲こちらは間もなく開業するライブスチーム線の「みはらし線」。127mmと191mmのデュアルゲージとなっている。P:けいてつ協会

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この“風の高原”施設内の茶房・十割そばとカフェテラスは今月中にオープン予定だそうで、このオープンに合わせてライブスチーム路線も走り始めます。2フィート軌道の方は車輌の修理や路線の敷設を含めて来春より本格的に始動するとのこと。岡本さんの夢がいったいどんな鉄道になるのか、今からオープンが楽しみです。
▲「玉生」=たまにゅう、とは何とも懐かしい地名。そうここは元東武矢板線の沿線にあたる。

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