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レストラン「ばら」4番テーブル。

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レストラン「ばら」をご存知でしょうか。東京駅丸の内の赤煉瓦駅舎内にある東京ステーションホテルのフランス料理レストランです。あの丸の内の赤煉瓦駅舎内にステーションホテルがあることさえご存知ない方が少なくない中で、あまっさえその2階のレストランの知名度は決して高くはありません。
▲東京ステーションホテルの入口。「ばら」はこの正面玄関からだと二階の回廊を巡ってかなり歩くことになる。

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かれこれ20年前、そんなレストラン「ばら」を最初にご紹介下さったのは、当時の国鉄車両部長さんでした。丸の内中央口のわずかに南口寄りにあるステーションホテルのロビーから二階にあがり、迷路のような回廊を南へと進んで行くと、その突き当たりにあるのが「ばら」でした。それまではあのドームの二階の回廊に自由に入れることさえ知らず、二階から見下ろす改札階の喧騒と回廊の静寂のコントラストに言い知れぬ感動を覚えたものです。
▲正面エントランスを入ったホテルロビー。復原工事にともなう休業を前に、フロントでは90年の歴史を振り返る写真集も販売されている。

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東京ステーションホテル内には数々のレストランやバーが入っていますが、その中でも「ばら」はフラッグシップ的存在であるとともに、特筆すべき特徴を有しています。それは、東京駅を発着する列車を目の当たりにしながら食事を楽しむことができることです。聞けば東京ステーションホテルは1915(大正4)年の創業。戦前は鉄道省直営の「テツドウ ホテル」として内外の要人たちを迎えてきました。「ばら」もその筆頭ダイニングとしての重責を担ってきたわけです。

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かつて丸の内に“本丸”と通称された国鉄本社があった頃、この「ばら」は運転局や工作局、さらには総裁室の御用達レストランでした。各局の幹部や、本社詣でにやってきた地方の鉄道管理局長クラスがこの「ばら」に集い、本社会議室では語り尽くせなかった談義を繰り広げていたと聞きます。ひょっとすると、東海道新幹線構想も、ヨンサントウ白紙ダイヤ改正も、はたまた動力近代化=無煙化も、この「ばら」がそのバックグラウンドとして一役かっていたのかもしれません。
▲二階の回廊から南口ドームの改札前を見下ろす(左)。ここに自由に入れる回廊があることは意外に知らない人が多い。右はその回廊の突き当たりに位置するフランス料理「ばら」の入口。

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そんなレストラン「ばら」が、というより東京ステーションホテル自体が、来年3月31日をもっていったん休業することとなりました。ご存知のように来年から開始される東京駅赤煉瓦駅舎の復原工事のためで、工期は実に5年間。2011年に再オープンするまで長いお別れとなります。現在の「ばら」は鋼製の枠にガラスを嵌め込んだ窓、床に置かれたスチーム暖房器、高い天井に古風なシャンデリアと、“やらせ”ではない燻し銀の輝きを放っていますが、改築後もこの味わいが残るものなのかどうかは判りません。
▲21時10分定刻、この「ばら」より一足先に消えてしまう特急「出雲」が10番線を発車してゆく。この写真は“5番テーブル”から。

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12月から休業の3月末まで、日曜・祝日・月曜に限ってすべてのディナー料理が半額になる謝恩キャンペーンが行なわれています。もともとが決してお安いレストランではないだけに、それなりの出費は必要ですが、残された時間はあと3ヶ月あまり。一度は足を運んでみては如何でしょうか。ちなみに、東京駅を出入りする列車が一番良く見えるのは“4番テーブル”ですが、残念ながら半額キャンペーンの日はすでに3月末日まで全部予約が入ってしまっているそうです。
▲赤煉瓦の南端に位置する「ばら」は半円形の室内となっており、線路側のテーブルはそれほど多くない。写真正面奥が“4番テーブル”。

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